思いがけずすれ違う幼なじみの二人に、涙
* * * * * * * * * *
絵師を目指す伊三次の息子・伊与太は
新進気鋭の歌川国直に弟子入りが叶い、ますます修業に身が入る。
だが、伊与太が想いを寄せる八丁堀同心・不破友之進の娘・茜は、
奉公先の松前藩の若君から好意を持たれたことで、
藩の権力争いに巻き込まれていく。
伊与太の妹・お吉も女髪結いの修業を始め、若者たちが新たな転機を迎える。
* * * * * * * * * *
本作では伊与太の身に変化があります。
これまで修行していた師匠が急逝し、行き場を失ってしまったところを、
新進気鋭の絵師、歌川国直に拾われ、弟子入りが叶うのです。
国直は若く気さくで、伊与太には居心地が良さそうなのが良かった!
「手妻師」はある手妻師(=手品師)が興行主との諍いで興行主を殺めてしまうという、
事件そのものは単純な話なのですが、
伊三次とその手妻師、手妻師の母親とのやり取りがなんとも人情深い、
ステキなストーリーになっています。
そしてラストがまたイカシてるのです。
これぞイリュージョン!!
松前藩の跡目争いに巻き込まれストレスを爆発させて
事件を起こしてしまった茜は、一旦松前藩の下屋敷に居を移します。
そこでは穏やかな日々を過ごせているのが幸い。
しかし、その後に一波乱あるのは間違いありません。
そんな時に偶然道端で伊与太と茜がすれ違う。
「お嬢、お務めがんばれ。つらいことがあっても辛抱しろ」
思わず、呼びかける伊与太でしたが、茜は仕事中。
でもその後で、茜は必死で嗚咽を堪えているという場面があり、
思わずもらい泣き・・・。
実際どうなっちゃうのでしょうねえ。
茜が松前藩若君の側室に???
そ、それだけは勘弁を・・・。
そしてラストではついに龍之進のところで第一子誕生!!
おめでとう!!
龍之進もこんな時代の常識を破り、
妻の出産に立ち会っちゃいました!!
彼がこんな風にしきたりとか常識をあっさりと踏み越えてしまうところが好きです。
そうそう、本作で龍之進と鉈五郎が飲みながら語り合うシーンがあって、これがいい。
龍之進は子供の頃から嫌味な物言いをする鉈五郎が苦手だったのですが、
今のような歳になって、結局は信頼のおける友人関係となっている。
いいもんですよね、友達って。
さて、現在発売されている文庫版の伊三次シリーズは本巻が最後なのですが、
実はまだ文庫化されていない単行本があと3冊もあります。
文庫化を待つか、あるいは・・・。
気がはやりますが、ここのところ伊三次に集中しすぎているので、
少し時間を置きたいと思います。
「名もなき日々を 髪結い伊三次捕物余話」 宇江佐真理 文春文庫
満足度★★★★★
![]() | 名もなき日々を 髪結い伊三次捕物余話 (文春文庫) |
宇江佐 真理 | |
文藝春秋 |
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絵師を目指す伊三次の息子・伊与太は
新進気鋭の歌川国直に弟子入りが叶い、ますます修業に身が入る。
だが、伊与太が想いを寄せる八丁堀同心・不破友之進の娘・茜は、
奉公先の松前藩の若君から好意を持たれたことで、
藩の権力争いに巻き込まれていく。
伊与太の妹・お吉も女髪結いの修業を始め、若者たちが新たな転機を迎える。
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本作では伊与太の身に変化があります。
これまで修行していた師匠が急逝し、行き場を失ってしまったところを、
新進気鋭の絵師、歌川国直に拾われ、弟子入りが叶うのです。
国直は若く気さくで、伊与太には居心地が良さそうなのが良かった!
「手妻師」はある手妻師(=手品師)が興行主との諍いで興行主を殺めてしまうという、
事件そのものは単純な話なのですが、
伊三次とその手妻師、手妻師の母親とのやり取りがなんとも人情深い、
ステキなストーリーになっています。
そしてラストがまたイカシてるのです。
これぞイリュージョン!!
松前藩の跡目争いに巻き込まれストレスを爆発させて
事件を起こしてしまった茜は、一旦松前藩の下屋敷に居を移します。
そこでは穏やかな日々を過ごせているのが幸い。
しかし、その後に一波乱あるのは間違いありません。
そんな時に偶然道端で伊与太と茜がすれ違う。
「お嬢、お務めがんばれ。つらいことがあっても辛抱しろ」
思わず、呼びかける伊与太でしたが、茜は仕事中。
でもその後で、茜は必死で嗚咽を堪えているという場面があり、
思わずもらい泣き・・・。
実際どうなっちゃうのでしょうねえ。
茜が松前藩若君の側室に???
そ、それだけは勘弁を・・・。
そしてラストではついに龍之進のところで第一子誕生!!
おめでとう!!
龍之進もこんな時代の常識を破り、
妻の出産に立ち会っちゃいました!!
彼がこんな風にしきたりとか常識をあっさりと踏み越えてしまうところが好きです。
そうそう、本作で龍之進と鉈五郎が飲みながら語り合うシーンがあって、これがいい。
龍之進は子供の頃から嫌味な物言いをする鉈五郎が苦手だったのですが、
今のような歳になって、結局は信頼のおける友人関係となっている。
いいもんですよね、友達って。
さて、現在発売されている文庫版の伊三次シリーズは本巻が最後なのですが、
実はまだ文庫化されていない単行本があと3冊もあります。
文庫化を待つか、あるいは・・・。
気がはやりますが、ここのところ伊三次に集中しすぎているので、
少し時間を置きたいと思います。
「名もなき日々を 髪結い伊三次捕物余話」 宇江佐真理 文春文庫
満足度★★★★★