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彼らの犯罪 樹村 みのり 朝日新聞出版 このアイテムの詳細を見る |
ずっと以前から敬愛する樹村みのりさんの本を久しぶりに見かけたので、
読んでみました。
この本はずばり、犯罪をテーマとした短編集。
人はどういう状況でどんな心境で罪を犯すのか。
そして、それを裁かれる時の気持ちというのは・・・。
実際にあった事件から取材しているため、ずっしりと重い内容となっています。
冒頭が表題作の「彼らの犯罪」
4人の少年が、1人の少女を誘拐監禁。
40日の強姦・暴力・性的陵辱の果てに、
死亡した彼女の死体をドラム缶にコンクリート詰めにしたという壮絶な事件。
その監禁場所はその1人の少年の自宅なのですが、
両親も同居していたのです。
いかに共働きとはいえ、そのような気配を感じていなかったのか・・・。
少女はなぜ逃げ出すことができなかったのか。
4人の少年は、全員がそのように粗暴・残虐な性格とも思えないのに、
どうしてそれを止めることができなかったのか。
結局この本を読み終わってさえも釈然としない部分は残る。
人間は時にどこまでも残酷になることができる。
私たちは、普段そこに目をつぶっているだけなのかも知れません。
その人間の本性を見極めることは勇気がいります。
今後の裁判員制度のことなどを考えると、やはりちょっとひるみますね。
こんな事件に出会ってしまったら・・・、
もう、人間を信じることができなくなってしまいそうです。
真実を見極められるのか、ということ以前に、
人間の本性を目の当たりに見てしまうことの怖さ・・・
そういうこともあるんですね。
万が一裁判員を務めることがあるとしたら、生半可な気持ちでなく、取り組まなくてはなりません。
・・・というか、できればやりたくない、というのが正直なところでしょうか。
満足度★★★☆☆