人骨

オートバイと自転車とか洋楽ロックとか

血の話

2007年09月20日 | ただの雑談
父方の祖母が他界した。通夜と告別式が済んだところである。
ぼくの祖父母はみんな健康だったが、90歳前後で一人二人三人と世を去っていってしまった。あと一人だけになってしまい寂しい限りなのだが、それでもみな長寿だった。改めて現代日本人の平均寿命って長いんだなあと実感する。

父方の親戚一同が約2年ぶりに集まった。育ち盛りの子供ならばともかく、成人ともなれば2年程度ではあまり変わらない。そんな中ぼくは2年前と比べて気の持ちようがやや変わっている。何が変わったかというなら、社会に馴染むように、注意深く客観的に周囲を見るように、空気を読むように、つまるところ日本人らしく振舞えるようになろうと、試みている点だ。

今回親戚一同を見て感じたことは「血で血は争えない」ということ。
初めて会った父の従兄弟の声が、父の兄の声にソックリだったので驚いたこともあったが、それより各人が醸しだす「雰囲気」が似ている。故人の孫世代であるぼくと従兄弟たちも、互いにどこか似ているようだ。そうかぼくはこんな感じに見えるんだな。孫世代で既婚者は、ぼくと、従姉妹のうちの一人だけ。今回その旦那くんが来ていたが、明らかに我々とは違うオーラを発していた。

一方葬式と言えば料理とお酒だ。拒む理由はなくなったので、酒もちびちびと頂いてきた。席の途中、ある従姉妹が核心を突く発言をした。

「っていうか原則○○家の人間(われわれ)って、口下手で人付き合い苦手だよね」

なんというか、ぼくがぼくなのは仕方がないことなのだな。そういう思いを改めて強くする。

ぼくが、奈良にあるというルーツ探しをしており、3世代ぶりに交流を果たしたいと思っていることを従兄弟たちに説明すると、皆興味をもってくれた。未だ見ぬ、「同じオーラをまとう同世代の人間たち」がいるのかもしれない。協力してくれると言う従兄弟もいたし、ある人には当家の家紋を教えてもらうことができた。これからが楽しみだ。


※ ※


荼毘に付された祖母の遺骨を箸で拾う。
人一倍人骨が大好きなぼくであるが、焼骨を拾うのは何とも微妙な感じだ。こんなカサカサの骨になる気持ちは、どうなんだろう…。やっぱりぼくは土葬が良い。あまり焼骨は興味の対象にならない。



「言うだろうな~」と思ったらやっぱり言ったのが、火葬場の職員のセリフ。

「お年の割にはしっかりしたお骨ですね…」

これを云われると一同頷く。誉めてるんだか何だかわからないけど、まあ挨拶みたいなものなのだろう。


もうひとり、「言うだろうな~」と思ったらやっぱり言った人がいる。
祖父が他界した時、父が奇妙な発言をしたことと、果たして祖母が他界した時に父はどんなことを言うんだろうか心配だという話を、以前ここで書いたが、今回も父の出番である。

ぼくは自他ともに認める骨好きだけど、祖母の焼骨を目前にしてちょっと萎えていた。そのぼくそっちのけて、身を乗り出して自分の母親の遺骨を食い入るように見る父。骨を指差しながら火葬場の職員に尋ねて曰く、

「このグリーンのは、何?」

職員「手向けのお花か、ご遺体を包んでいた毛布の色が落ちたのでしょう」


※ ※


会食中に父の兄と話した。彼も趣味人間で、リタイアした現在はひたすらそちらにのめり込んでいるそうだ。詳しくは書かないが、話を聞くにつけ素人レベルを超越している熱中ぶりのご様子だ。

趣味の話を聞かれたのでぼくのおたくな素行について話すと、こんなことを聞くことができた。

「そうかそうか人骨君も相変わらず凝り性なんだね。実は人骨君の父さんも昔から変わっていてね、ほら普通小さい子供といえばみんなで野球とか缶蹴りとかして遊んでたもんだけどさ、何故か父さんはひとりでひたすらアリンコの巣の観察とかしてる子だったんだよな。なんというか、人間の世界には興味が無い感じだったよ」


これを妻に話したら

「やばい、それってうちの子と一緒じゃん…」

確かに近所の子が揃ってカケッコとかやってるのに、誘ってもらってもチビは無視。いつまでも一人で「コンビカー」を漕いでいたり、ひたすらアリンコを追いかけていたり、原付に跨ってブンブン言っていたり、草木に水やりばかりしていて、他の子供たちにはあまり興味が持てない様子だ。

ここでは登場しないが、わが弟はじめ、他の従兄弟たちにも強烈なキャラクターの持ち主が多い。8人しかいない従兄弟も平均年齢は30をとっくに超えているが、子供がいるのはぼくだけ。この血筋が途絶えそうなことに、ふと焦りを覚えた。何か前世の呪いがかかっているのかも知れない。
絶やしてはいけない。
恐山でも行ってイタコに聞いてみるかな。いや絶対行かないな。青森いくなら三内丸山とキリストの墓に行っちゃうよなあ。

別のおじはこんなことを云っていた。

「兄貴たちの話にはついてけないよ。二人とも真面目でさ。俺だけ若い頃から泥酔して救急車で運ばれたり自転車盗んでパトカーで連行されたりだったからなあ」

もういいや。