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YAMAHA AW16GのHDD換装とファームウェア更新について

2012年08月26日 | プアミルク(趣味の音楽制作)
また音楽のハナシで恐縮ですが、面白いネタであるので紹介します。
おそらく、本邦初公開となる情報です。



AW16G


掲題のAW16Gというのは、ヤマハはヤマハでも発動機ではなくって楽器の方のヤマハの商品です。
いわゆる、「MTR(マルチトラックレコーダー)」ですね。
MTRというのは、楽器商品に分類されます。その用途は、私のような根暗な宅録野郎や、バンドマンの皆さんが、デモテープを作るために用いる、多重録音機のことです。
MTRはハコモノ機械だったのですが、PC時代の現在ではこれに相当する「DAW」と呼ばれるPC用ソフトウェアが主流です。
つまり、MTRとDAWソフトは、ワープロとワープロソフト(Microsft Wordなど)の関係に相当します(ワープロは多分絶滅しましたが、MTRは今でも細々と売られているようです)。
このAW16Gは、ハコモノMTR末期のモデルの一つで、発売されたのは2002年。ヤマハは現在ではハコモノMTRの販売をしていません。ヤマハのMTR最終機から数えて2番目のモデルです。

今時AW16Gに執着しているのは私くらいかもしれません。
最大の理由は、関東近辺の音楽スタジオチェーン、「スタジオペンタ」によくに置いてあるからです。要するに、趣味音楽の相方(シンガーの小豆君)と、手ぶらでスタジオに集合して、彼女の歌を録音してもらうのに都合が良いわけです。CD-R1枚でデータの持ち運びが可能なので。

実は私もとっくにDAWソフトを導入しているのですが、いっぽうMTRもどうしても手放せないんです。
DAWは、特に編集やミキシング時メリットが多いです。しかし、こと録音時となると、ツマミやフェーダーをシュッシュと動かすMTRの方が直感的な作業が出来て、好きなのです(もう時代遅れのオッサンなのかなあ)。

さて、先週のこと。AW16Gの前面パネルにあるRECボタンがぶっ壊れて、機械本体内部に陥没しました。よくギターを弾きながら足でボタン押していたので、割れてしまったようです。
D.I.Y.が身上である私は、躊躇なく分解修理にかかりました。RECボタンが、ボタン類全部を留めている樹脂パネルから剝脱してしまっていたので、そのパネルがABS樹脂であったともあり、必殺プラリペアで補修しました。こんなん、バイク修理では日常茶飯事の類です。


ボタンの修理


この時、ハードディスクドライブへのアクセスが非常に容易であることに気がつきました。とにかく、ハコを開ければスグに手が届く位置にHDDが置かれています。

AW16Gの最大の弱点は、20GBしかないハードディスク容量ではありませんか?私は以前からずっとそう思っていました。
今回の補修をきっかけに、「これ、カンタンに載せ換えられるのではないかな?」と直感的に思い、色々調べてみました。
ネットで調べたところ、日本国内サイトにおけるAW16Gの情報はほぼ皆無という意外な事実と、海外サイトではAW16Gをカスタムする刺激的な情報が公開されていたという、2つの意外な事実に直面したのです!

「The DijonStock AW16G digital recording support forum」
http://www.dijonstock.com/

(英語が出来る方へ→上記参照ください。私が以下に記した記事は原則あなたには不要ではありますが、一部、上記サイトで語られていない有用な情報もあるかもしれません)
(英語が苦手な方へ→以下の記事をご参照ください。)

上記引用の海外サイトにおいては、私が求めていた「AW16GのHDD換装の情報」の他、「ファームウェアバージョンの更新」というナゾの情報が書かれています。
結論として、私は上記記事を参考として、自分のAW16GのHDDを40GBに換装し、ファームウェアのバージョンを更新することに成功しました。
正直なところ、ファームウェア更新の効果は、今のところ全く分かりません。使い勝手は、更新前と同じままです。
しかしHDDの容量増加の方法については、現在でもAW16Gを愛用している個人ユーザーには極めて有用であると信じていますので、以下に紹介したいと思います。

まず、取り扱い説明書に書かれていない裏コマンドからご紹介

(A)「ユーティリティ」ボタンを押しながら起動
  →BOOT OS、FIRM OSのバージョン確認が出来る

(B)「セレクト」「リモート」「ソング」の3ボタンを押したまま、電源を投入
  →CD-Rドライブ経由で、BOOT OS、FIRM OSの更新が可能となる

(C)「リモート」「ソング」の2ボタンを押したまま、電源を投入
  →CD-Rドライブ経由で、FIRM OSの更新が可能となる

続いて、上記サイトによれば、HDD換装には以下の条件が付されているようです。

(1)未フォーマットの新品HDDが必要

(2)ヤマハが正式サポートしているHDDのスペックは、40GB・4200rpmまで(国内ではそんなサポート情報は皆無!)

これら記事が書かれた時期は今から5年くらい前ですが、上記条件のうち(1)(2)ともに満たすHDDは、現在入手不能です!古いHDDですから。
しかしテストの結果、フォーマット済の中古HDD(40GB・4200rpm)にて無事に換装できました。

以下は、もうカンタンにhow toで書いちゃいますね。

1.40GBのHDDを購入。
私の購入したのHDD品名は以下とおりです。もちろん中古。
IC25N040ATMR04
ヤフオクで商品名で探せばナンボでも出てきます。昔のノートPCに使われていたものです。私はじゃんぱら店頭にて1000円程度で購入しました。

2.ファームアップ用CDを作成する
上記サイト内の当該ページから、
AW16G boot & prog + instruction
をダウンロード。
解凍して出てきた2つのBINファイルを、PCにて、CD-Rのカレントドライブに焼いて、ファームアップCDを作成してください。

3.分解
AW-16Gをひっくり返し、まずCD-Rドライブを撤去(AW16Gのマニュアルの通り)。
続いて、「裏面」のネジを全部撤去。
続いて、「背面」のネジのうち、パネル留め部分のネジを全部撤去(オーディオケーブル端子周りのネジは取り外し不要です)
すると、AWは、前面と背面でパックリと2つに割れます。

写真のように、前面パネルを左側に開いて、立てて置いてください。


左側に開く。背面部に見えてるのがHDD


前面と背面は、左側部分で各面の基盤がケーブルで繋がっているので、こうするのが良いんです。
(ボタン修理では全部のケーブルを抜かないといけませんでしたが、HDD交換はケーブルを繋いだままでいけます)
HDDはネジ4本で留めてあるので、撤去。(うち1本は、基盤の放熱板か何かと干渉して、ドライバが入り難い場所にあるので、一旦HDDを土台ごと外せば、ラクに撤去できるよ)

4.40GBHDDのフォーマット(もしかしたら不要かも?)
上述通り、海外サイトでは「未フォーマット新品のHDDが必要」ということが叫ばれています。理由はよくわかりませんが、windowsでフォーマットされたディスクは受け付けない、とか書かれているのです。AWのHDDフォーマット基準はAW専用のものだから、だとか英語で書かれている。ホントかしら。
そこで、試みに私はこういう手段をとりました。
(1)オリジナルの20GBのHDDでAW16Gを起動(単純に40GBのHDDに差し替えただけでは、AWは起動してくれません)
(2)起動後、前面のHDDアクセスランプが点滅していないことを確認して、電源入れたままHDDを40GBに差し替える←かなり、危険!
(3)HDDを40GBに差し替えた後、すかさずAW16Gにて、「HDDにフォーマットをかける」
これで、「未フォーマットのディスクが必要」という条件はクリアできたのではないでしょうか?!PCではなく、AW16Gによるフォーマット済HDDができたことになります。

しかし、この方法でフォーマットされた40GBのHDDは、ソングデータの読み込み書き込みこそ出来たものの、電源ON時に、相変わらず起動してくれません。
どうやら、オリジナルの20GBのHD内には、起動用のプログラムが含まれているらしい。かつ、AW16GのコマンドによってHDDをフォーマットをしても、起動プログラム情報は書きこまれないらしいのです。
そこで、以下の作業が必須となります

5.ファームアップ用CDから起動する
正直ファームアップ自体は全く希望しないのですが、HDDに起動情報を書き込むために、この作業が必要になると思われます。
(1)はじめに、オリジナルの20GBのHDDにてAW16Gを起動させます。
(2)上記2で作成したファームアップ用CDをCD-RWドライブへ挿入します。
(3)一旦電源を切ります。
(3)電源OFFの状態で、HDDを、オリジナルの20GBから、40GB(私の場合、AW16Gでのフォーマット済)に差し替えます。
(4)「セレクト」「リモート」「ソング」の3ボタンを押したまま、電源を投入します。
(5)AWが、CD-Rドライブ経由による「ブートOS、ファームOSの更新」を尋ねてくるので、更新に応じる

以上!これで、換装したドライブからAW16Gの起動が可能となりました!!!!ヒャッホウ。

一点疑問なのが、上記2.で入手できるの2005年時点のドイツヤマハ製による当時の最新OSをインストールすると、BOOT OSのバージョンが「1.00」になるんですね。
しかし、2002年当初から私のAW16GにバンドルされていたBOOT OSは「1.02」です。バージョンアップならぬダウンに見えるのですが、謎です(ファームOSは、1.03から1.06へと更新されます)。多分、2005年配布の商品にて最新と謳われているので、BOOT OS「1.00」は何ら問題ないと思っています。

私は、BOOT OSすなわち起動用のOSと解釈し、単体起動しない40GBのHDDに再度ブート情報を書き込む必要があるのだろうと解釈し、BOOT OSを1.00に戻しました。
しかし、もしかしたら、BOOT OSを改めなくても、HDDから起動できるかもしれません。

BOOT OSのバージョンダウンを嫌う方については、上記5.(4)にて「セレクト」ボタンを押すことを割愛してください。「リモート」「ソング」の2ボタンのみで起動すると、BOOT OSの更新はスキップされます。
ただし、それにて換装後の40GBのHDDで起動が出来るのかどうかは分かりません。

興味のある御方は、色々お試しくださいませ。自己責任でネ♪

2012年08月23日 | ただの雑談
私は今待っている。
何を待っているかというと、MTRという宅録用音楽機材から、作成データがCD-Rへバックアップされるのを待っている。その量たるや実にCD20枚分に及んでいる。何故敢えてCDなのかというと、CD以外のメディアが使えないからである。私の機材は2002年モデルだからだ。

そろそろ趣味で音楽にカムバックしてから3年が経ようとしている。この3年間色々なことがあった。20曲くらいを世に出したかしら。しかし何かが変わったかというと何も変わっていない。バイクに乗らなくなっただけだ。

本当はもっと変わるはずだった。
古き良き音楽が再評価されるために、私は音楽を続けてきた。正確には、「古き良き」という言葉には語弊がある。古いから良い、のではない。「良いものが古いものにしか見当たらないだけ」だ。

私の駄作どもは、2010年代に作られた今様音楽である。
しかし、今様を求める、将来ある若い世代に対して、私が何を根拠に今様の音楽を作っているのか、そして本当に価値のある音楽は何なのかを問いかけたいと思っていた。私が生み出したプアミルクブランドをきっかけに、若い世代を深淵なる洋楽レコード・コレクターの世界に招待したかった。ちょっとでも我がプロダクツに興味を持つ者がいれば、いつでも真実の世界を見せてあげる準備ができていた。

しかし、所詮私にそのような能力は無かったということである。
相変わらず世の中には愚にもつかないなんとかポップがのさばっていて、つまらんピコピコ・ビートだけが幅を利かせている。冥土でリック・ウェイクマンがむせび泣いているのが、わたしにははっきりと聞こえる。
(間違えた、リックじゃなくてジョン・ロードか)

今、3年分の録音資料のバックアップを作っている。
このMTRなる録音機材のハードディスクを、フォーマットするためだ。たった20GBしかないHDDドライブであるが、3年分のわが闘争が凝縮されている。
フォーマットを施して、全てが水泡に帰してしまうことを、私は未練がましくも躊躇っているのだ。

さようなら、20GBのHDDよ。
今までありがとう。
私は今、40GBのハードディスクに換装するべく、MTRの改造に励んでいる。
わが闘争はもう少し続く。