人骨

オートバイと自転車とか洋楽ロックとか

今後のバイクいじりの予定

2007年12月17日 | バイク雑談
ハイ。いつも必要以上にオートバイのメンテナンスばっかやってる人骨だよ。
またまた整備が必要になりました、自分的に。

まず一つはバルブクリアランス調整。いわゆるタペット調整である。
最近めっきり寒くなったが、途端に始動直後の冷間時のカチカチ音が酷くなった。春から秋にかけては特に気付かなかったし、今でも暖まれば止むのだが、規定値をオーバーしているのは間違いないだろう。というか、とにかくうるさい。
この作業は以前VT250Fでやったことがあるので初めてのトライではないが、調整に用いるシックネスゲージというのはある程度慣れないと使いこなせない様子だ。とにかく「スキマに入れば良かろう!なのだァー!」だとタカをくくっていたところ、0.10mmが入らない隙間に0.08mmと0.07mmを2枚重ねると入ったりという具合で、自分の使い方はチェリーボーイでヘタクソであることを思い知らされた。満を持してべっとりシール剤を塗ってクランクケースカバー貼り付けたところ、余計に五月蝿くなってしまい衝撃を受けた記憶がある(VT250FEにはタイミングホールカバーがなく、いちいちクランクケースカバーごと開けないといけなかったのだ)。結局2度手間を踏んだ。
VTRはタイミングホールカバーがあるので、こことヘッドカバーさえ開ければタペット調整が可能だよ。よって仮にやり直しになったとしてもそれほどダメージはあるまい。ただヘッドカバー周りにゴチャゴチャと環境対策のホースが着いているので、これの処理が面倒そうだ。なおラジエターは外さずにずらせば良いらしい。いずれにせよフレームその他が邪魔で手狭な隙間にゲージを差し込むことになるので、面倒くさそうではある。
今回はなるたけ厚いゲージは使わず、薄いゲージを重ね合わせて入れること。それから「現状よりは締める」という基本を念頭にプレイしようと思う…。


二つ目は、クラッチ板の交換である。
今月始めに高速道路を走った時にとある事実に気付いた。4速あるいは5速で8千回転以上くらいをキープしアクセルを急に緩めると、その瞬間タコメーターの針が一気に500回転弱ほど落ちるのだ。
んー?これはぁー何だァ?
冷静に考えて、クラッチが滑り始めているのではないかという推測に至った。
クラッチ滑り時に見られるという「低速ギアで急発進→回転だけ上がりスピードが着いて来ない」という症状こそ無いのだが、クラッチレバーの遊びは適正範囲内であるし(遊び少な目が好み、ではある)他にこの症状を説明できる理由は見当たらない。走行距離(3万kmを過ぎた)からしても十分起こりうるだろう。
クラッチ交換に際しては、結局クランクケースカバーを開ける事になる。タペット調整だけなら開けずに済むところだったが、こうなればタペットと一緒にやってしまいたい。なお工程にはクラッチハウジングのセンターボルトのロックナット外しという難関作業が含まれる。このロックナットは「曲げかしめ」が施されているそうで、こいつを戻してから外すそうだ。曲げカシメというのがどんなのか想像もつかないが、とりあえずポンチとタガネと貫通ドライバーを用意すればなんとかなりそうだ。
また、ナットを外すのには共回りするクラッチハウジングを専用の特殊工具で押さえながら大トルクを掛けなくてはいけない様子だ。
しかしはっきりいってそんな特殊工具は欲しくない。代わりに、今後の諸々のメンテナンスのためにも、今回思い切って「電動インパクト」を購入した!(自分の冬のボーナスの使い途ったら、その程度です)


これ


アストロプロダクツの14千円程度の安物である。これは初めて使う工具である。電動ドリルと違い、トリガーを弾く強弱で回転速度が調整できる。トルクもこれで調整できるに相違ない。最大トルクは30kgfmくらいなので、オートバイの整備なら全てカバー出来る。またアストロ製の特徴として、ビット部分が最初から1/2サイズのソケット用になっていることが挙げられる。

ちょうど我が家の自家用車であるAZワゴンのホイールローテーションをやりたいところであったので、車輌を浮かせてから試みにホイールナット(10kgfmくらいで締まってる)にこの電動インパクトを当ててみた。

「がたたたたたたっ!」

おお、余裕で緩んだ!
同じ作業を普通にレンチで緩めようとすると、浮かせたリアタイヤはパーキングブレーキを引いてあってもレンチと一緒に共回りしてしまうのだが、電動インパクトを使えばボルトだけ確実に緩む。
これならクラッチにも特殊工具は要らない!こいつはスゴイよ、感動したッ。

なおインパクトレンチは上述のとおりかなり北斗神拳なので、ソケットにはワレに強い専用品を用いなければならない。また締めすぎるとボルトやネジ山の方がぶっ壊れるので、原則としては緩め専用に使わなければならない。締めるときは特殊工具は要らないのかって?まあ何とかなるさ。


※ ※

ということで、クラッチディスクやらガスケットやら、必要なパーツは全部用意した。ドラスタの純正部品取り寄せサービスには本当に感謝しております。
年末が楽しみじゃん。

キャブレターの分解と洗浄5

2007年12月05日 | メンテナンス実演(VTR250)
さて、あとは組み付け作業のみです。原則として分解の逆でOKですので、ほとんどの説明を省略しますね(投げやり)。そうです、自分は整理整頓が苦手で何事もやりっぱなしという性格なのです。2歳児と一緒になって家の中を散らかしまくっています。そして組み付けの説明を省略し尻切れトンボでこの投稿を終えるのです。

それはさておき、組み付けで注意すべき点だけまとめると…。

○全てのOリング類を新品に換えること。

○エアスクリューは、めい一杯まで締めこんでから、規定回転数戻すこと。2と1/4です。ただし自分の車体は後ろだけ2と1/3くらいでした。前述の通り純正セッティングはやや薄めだと思われるので、気持ち(1/8回転くらい)締め気味にしておきました。エアスクリューは、修理完了後も車体にドライバー1本突っ込めば調整できるので、調子に変化があるようならばあとで再調整するからOKです。


バキュームチャンバーの噛み合せ

○バキュームチャンバーにフタをするときは、気付くと思いますが、噛み合せがあるので間違えないように。ただし写真は分かり易いようにフタを天地逆さまに置いていますので悪しからず。


リンクのピン

○リンクロッドを留めるときは、ここのピンは新品に交換します。本来は単なる使い捨ての割ピンが使われていますが、自分はこの形のクリップピンの方が、付け外ししやすく再利用できるので好きです。


エアーファンネルの取り付け

○「さら」をつける時、このエアーファンネルも取り付けることになります。前後で長さが違うので、取り付けるとき注意がいります。写真で参考にしてください。このことは何故かサービスマニュアルに書かれておりませんが、唯一、ホンダオフィシャルサイトに載っている「ファクトブック」という中にVTRの項目があり、そこにこのファンネルの前後の長さが書かれております(偶然見つけた)。


スロットルバルブ。全閉状態。

○同調
今まで何度もスロットルバルブという言葉を書きましたが、ご紹介が遅くなりました、これのことです。アクセルワイヤーと連動してこのバルブが開閉されます。ピストンバルブは負圧で動くと説明しましたが、スロットルバルブはワイヤーで直接動くのです。スロットルバルブの開度でベンチュリー内にかかる負圧が調整され、結果としてピストンバルブが動くわけです(多分)。
で、何故今このスロットルバルブに注目するかというと、最後に同調を取るためです。

上の写真でマルを付けたあたり。写真には写っていませんが、バルブを開くとこの付近に混合気だか燃料の吹き出し口が3つばかりあります。不勉強のため残念ながらどの穴が何の役割なのかは自分には判りかねます。ただ単に、この穴を目印にしてザックリと気筒間同調を取ることが可能なのです。
キャブレターいじりに片足を突っ込むと、「同調」っていうのはよく聞く言葉です。同調を取るため調整するのはずばりこのスロットルバルブです。同調というのは、要するに前後それぞれのキャブのスロットルバルブ開度がしっかり揃っているということです。4気筒の場合は4つスロットルバルブがありますし、VTは2個です。また単気筒は1個しかキャブがないので同調調整不要になります。分かりますよね?中にはSRXみたくシングルなのに2個キャブがあるモデルもありますが、これは例外です。たまにヤフオクの車体出品を見てると、どう考えても単気筒シングルキャブなのに「キャブレター同調済み」とか書かれていますが、これはハッタリですね。
それでは何をもって「スロットルバルブが揃っている」と言えるのかというと、「アイドリング時の吸入負圧が各気筒で一致していること」です。これを計測するためにバキュームゲージというのを使います。バキュームゲージというのは、口でホースを加えて吸うと、針が動くゲージです(ちなみにホースを吹いてもマイナスの方へ向かって針が動きます)。吸引力を数字で示すゲージなわけです。自分はインターネットでかじった方法で、1つのゲージに水槽用のホース分岐ジョイントを繋ぎ、これに耐油チューブを繋いで使っています。
が!
わざわざこのゲージを買わなくても、スロットルバルブを目視することでかなりの精度で同調を取れます。もちろんOHでキャブを取り外した時でないと、スロットルバルブを目で見ることは出来ません。つまりバキュームゲージを使うのは、車両本体にキャブレターを装着してある状態で同調を調整したい時が主ということです。

では目視による具体的なやり方を書きます。

1.OHが終了し、キャブと「皿」の結合を完成させ、リンクロッドも取り付けてある状態であること。

2.アイドリング調整ねじで、スロットルバルブを調整する。アイドリング調整ねじで調整するのは後ろ側キャブのスルットルバルブのみです(前側も一緒に、動くけど無視)。
調整の目安は、スロットルを完全に閉じた状態で、3つの穴のうち一番最初の穴が、スロットルバルブの陰からほんの僅かに顔を出す程度か、ギリギリで隠れている程度です。写真赤丸のあたりを見て調整します。

3.下の写真の同調調整スクリューを回し、今度は前側キャブのスロットルバルブを調整。同調調整スクリューは、リンクロッドを介して前側キャブのバルブだけを調整できる仕組みです。調整規準は2と全く同じ場所にすること。この時後ろ側キャブのバルブは動かないので安心してください。

4.前後キャブの調整が済んだら、アクセルワイヤーホルダーを回してスロットルバルブを開閉させ、間違いなく前後のキャブが同じ開閉度で連動していることを確認する。


同調調整スクリュー(=前側キャブのスロットルバルブ開度調整スクリュー)


以上で終了です。4気筒の同調はめんどくさいので、再びVTは素晴らしいなと思う次第。あとは取り外しと逆に組み上げて終了!アイドリングの回転数も、多分上の1~4の行程でおよそ規定値付近になっているはずですので、あとは微調整をしてください。一度同調が揃えば、あとはアイドリングネジで回転数を変え(スルットルバルブ開度を変える)ても、OKです(同調調整スクリューは前シリンダーだけを調整するもので、アイドリング調整スクリューは前後連動で調整する仕組みのため)。お疲れ様です。
なおキャブOH後の始動時は、コケてオーバーフロウした直後と似て中々エンジンがかかりません。キャブの中のガソリンがカラなので仕方ないですね。しばらくセルを回していればかかりますが、その後乗る予定が無いためバッテリーをあまり消費したくない場合は、ガソリンコックの負圧チューブを口で吸って予めキャブにガソリンを流してやるのが良いです。

※ ※

なお余談ですが、組み付け時に凡ミスがありました。エンジンをかけたところ、かかるはかかるのですが、なんと言うか非常に回転が弱々しい!おまけにアクセルを開けるともたつき、ワイドオープンでストール。薄すぎの症状です。


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
そんなはずはないッ!このわたしが、まさかッ!!



2日間悩みました。
悩みぬいた末、前シリンダーのイグニッションコイルの配線を接続し忘れたことを思い出した。つまり片肺であった。なーんだウッカリじゃんこれで直ったよヤレヤレと思いきや、いまだに薄い症状は変わらず。
さらに2日悩みました。同調をいじったりスローをいじったり。
結局、修理前タンクからガソリンを抜いた時、抜きすぎて単なるガス欠になっていたことが判明。
われながらうかつでした(結局同調はバキュームゲージを使って取り直しました)。

ゲージを使った同調の取り方は他にも色んなサイトで紹介されているので端折りますが、コツは後ろのシリンダーヘッドにだけ標準装着されてるガソリン負圧コック用の「負圧取り出しプラグ」を、純正部品でもう1本取り寄せ、前シリンダーの負圧取り出しネジ穴に使うことです。前後ともしっかりホースが挿さるので計測がラクになります。

これにて一件落着です。
1日くらい走ってみてプラグの焼け色を見ると、相変わらず白っぽいものの、前後とも同様の焼け方で問題ナシ。
で肝心のアイドリングのばらつきは直ったかと言うと…
ブラボー!おお…ブラボー!完璧です。英語で言えばイッツ・パーフェクト、仏語で言えばイル・パフェです。見てくれこの躍動感溢れるソリッドでヘヴィなアイドリングを。メーターはピタリと1300回転を示して微動だにしない。アイドリングだけは今ならビッグマシンやスーパースポーツにも負ける気がしないぜこのオレはッ!
どうでも良いですね。

今回得た教訓は、距離を走った分だけ、エアー通路はベタベタした汚れで段々と詰まる、ということです。

糸冬

キャブレターの分解と洗浄4

2007年12月03日 | メンテナンス実演(VTR250)

クリーナーを吹いて放置

バケツとかにキャブ本体を置き、洗浄します。使うのは例の強烈な溶剤、キャブレタークリーナーです。自分が使ったのはベリティの泡タイプです。吹き付けるとはじめは泡になってその場にとどまり、ゆっくりと液状化していきます。作業は素手でやらざるを得ないので、まるで盟神探湯です。

クリーナーは汚れているボディ全体のほか、穴という穴に吹き付けてください。
先ほどジェット類を取り外したフロートチャンバー内は、ガソリンが溜まる場所ですので、当然ここの穴はガソリンを吸う穴です。一方でエアクリーナー側にニョキニョキ突き出してるジェット(取り外し不可)はエアーを吸う穴です。目では見えない通路内で両者がブレンドされているわけです。
バキュームチャンバー内にも何箇所かジェット類があります(取り外し不可)。
これらの穴全てにしつこくクリーナーを吹きかけます。
なおさっき取り外したジェット類については、バケツ内の溶剤が溜まったところへ置いておけば勝手にきれいになります。
ボディの外側のしつこい汚れに関しては、歯ブラシでこすり落としました。
一通り吹き付けたら、汚れとともに溶剤が流れ落ちるまでしばらく放置しておきます。放置しておくべき時間は、使用する溶剤の強さによって違う気がします。見当のつけ方としては、キャブ本体の目で見えている汚れがどれくらい経てば溶けるのかを見ておけば良いと思います(キャブの外側にこびり付いた何だか分からないガンコな黒い汚れが、みるみる溶けていきます。目に見えない箇所も同様に違いない!という理屈…)。自分のVTRのキャブは超キレイな部類ですので、1時間も放置しておけば十分そうです。

なお今回清掃して分かったのは、エアー系統は結構汚れているということです。エアー系統のジェットへクリーナーを吹き付けると、ドス黒い汚れが流れ落ちてきました。
おそらくブローバイガス還元装置のせいではないかな、と思います。VTR250にはオイルキャッチタンクが無いので、タンクがあれば結露して貯まる未燃焼ガスを全て吸気側のフレッシュエアに混ぜて戻しています。「アイドリングの微妙な乱れは、エアー系統の詰まりが原因なのでは?」という推測が頭をよぎりました。これでは先日使った「フューエルワン」(名前の通り、燃料に混ぜる添加剤)は、効きようがなかったことになります。
一方の燃料系統についてはほとんど汚れが無いようです。こちらには添加剤の効き目があったのかな?(そもそも汚れていなかったという可能性も、高いです)

放置が済んだらキャブクリーナーを洗い流します。スクーターのキャブとかなら水でジャー流してドライヤーで乾かしちゃいますが、一応大切なVTRですので、パーツクリーナーを使います。長い缶をまるまる1本奢る覚悟で洗い流します。


洗浄後のフロートチャンバー内部

ぴかぴかですね。とくにこすったりはしていませんが、こんな感じになります。よく拭き取り、あとは組み付けになります。

ここで今回取り寄せたキャブのインナーパーツを改めて紹介します。

○ガスケット、Oリングのセット。数量は、前後キャブに各1点ずつ。
○フロートバルブとバルブシートのセット。数量同上。
○ジェットニードル。前用と後ろ用で違う部品なので注意。
○メインジェットホルダー。前後に各1点ずつ(はっきり言って、要らなかったかも…)。

なお交換しなかったゴムのパーツは例のピストンバルブ(のダイヤフラム)と、エアーファンネルです。まあどちらも当面交換する必要はない部品です。両方とも台所の中性洗剤で洗いました。



新旧フロートバルブ

フロートバルブの拡大写真です。左が使用済みで、右が新品です。使用済みの方は、三角のゴム部が微妙に磨り減って段が付いているがお分かりでしょうか?
フロートバルブは、フロートの爪の所に引っ掛けて(2つ下の写真参照)、逆立ちの状態で装着します。チャンバー内にガソリンが満ちてフロートが浮き上がると、バルブが押し上げられバルブシートを塞ぎ、タンクからのガソリン流入が止まる仕組みです。これは水洗便所のタンクの水が一定の水量まで貯まると勝手に止まる仕組みと一緒です。便所のタンクの仕組みをご存知でない方は、今度うんこした時にぜひフタを開けて覗いてみてください。
また写真では隠れてしまっていますが、フロートバルブのお尻のほうには「ボタン」がついてます。押すと凹み、手を離すと勝手に戻ってきます。詳しい理由は省略しますが、バルブ先端のゴム部分の磨耗を防ぐためにこうなっていると思われます。



油面の高さを計る

ガソリンが満ちると、フロートが持ち上がり、バルブが閉じると上で書きました。この油面調整というのは「バルブが閉じるためのガソリンの高さ」を決めるもので、これもマニュアルで定められている数値を規準に、全体的なガスの濃さの様子を見ながら決定するのがキャブセッティングの極意のひとつであります。
で、写真で定規を当てている高さを測定します。6.8mmというのがマニュアル規定値です。サービスマニュアルには、「フロートを指で持ち上げ、フロートと接触するギリギリのところで押さえ、測定する」
みたいなことが書かれてますが、面倒くさいからキャブをひっくり返して写真みたいに定規を当てればOKです。フロートをそぉーっとバルブに当たるまで下ろし、あとは重力に任せておけばOK。あまり勢いよくフロートをひっくり返すと、フロートバルブの「ボタン」が押された状態になってしまい、正確な油面が測れません。
正確と言っておきながらなんですが、自分はノギスを持っていないので、写真のような単なる物差しです。まあ大体合っていれば良いんです。どうせ走行中はガタガタ揺れてますしね。ご覧のように7mmよりチョイ下に、大体で合わせておきます。なお高さを測るのは、キャブ本体とフロートチャンバーのフタとの「あわせ面」から、フロートの浮きの「一番てっぺん」までです。
ちなみにこの測定値を6.8mmより高くすると、混合気は濃いめになるか、薄めになるか、どちらでしょう?
頭の中で上下をひっくり返せば分かりますね。ここで測定する浮きの高さが高くなれば、逆さにひっくり返せば、ガソリンの量が少ない状態でバルブが閉じることになります。すなわち油面は下がります。つまり測定して6.8mmより高ければ、例えば7mmとか8mmとかならば、油面が下がって混合気は薄めになります。逆に5mmとかだと濃いめになります。
フロート測定値と油面の高さは、逆になるので気をつけてください。


油面を変えるにはこのツメを曲げる

具体的に油面の高さを変えるにはどうしたら良いのかというと、その方法は超アナログです。
写真をご覧ください。上に書いたフロートバルブをひっかける場所、つまりフロートの爪が見えますね。マルを付け忘れたので分かり難いですが、左の方のツメではありません、写真でバルブがぶら下がってるところです。このツメを「曲げる」のです。ツメを上のほうに曲げれば測定値が上がって油面は下がり、下に曲げればその逆です。曲げるために特に工具は不要です。親指でグッと押して、曲がったかどうか分からないくらい曲がれば十分です。試行錯誤で高さを合わせてください。
ちなみに今回はバルブシートを新品に換えました。バルブシートはねじこんで留める箇所ですし、また1枚柔らかいワッシャも噛んでいますので、案の定油面がズレました(調整しました)。

ここで脱線します。
以前まだVTRに乗る前のこと。友人たちとの集団ツーリング寸前に、忙しくて自分で作業をする時間が無く、超有名ショップにキャブレター不調のバイクを預けてOHをしてもらったコトがあります。ところがツーリングに出かけてみたら何か不調になってました。なんというか、加速がもたつく。後日時間が出来てから改めて自分で開けてみたら、油面がムチャクチャ高め、つまり濃い目に振られておりました。規定値に直したら今度は完調に。ショップは全国的にも有名で某添加剤の国内総代理店とかやってるくらいで、とっても信頼できそうだったのに、ちょっぴりお金返してって思ってしまいました。
また、まだ自分がバイクをいじり始めたばかりだったころ、最初にお世話になっていたバイク屋さんとキャブのメンテナンスについて相談していたところ、「旧車は油面調整で薄めに振ると調子良くなるよ」なんていうことを話していました。実際そのお店ではそういう調整をして中古販売していました。確かに薄めだとエンジンが軽く回るような錯覚を受けます。

なおVTRは、プラグの焼け色から察するに、混合気規定値はギリギリの薄めのところに設定しているのではないかなと思われます。エアクリーナーが汚れていくと段々濃くなるのでそういう設定なのかも分かりませんし、あるいは排ガス規制の影響なのかも分かりません。VT250Fはプラグ電極はいつもキツネ色でしたが、VTRは新車時からかなり白っぽい焼け方をしていました。

(つづく)