人骨

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70年代ロックファンのためのMP3プレーヤー導入ガイド(後)

2009年01月13日 | 70年代ロック雑談
続いて3。かのipodっす。現在いちばんシェアを獲得している。何しろ世界標準になってしまったのだから。専用ソフト「itunes」もパナソニックやソニーと違って汎用性がある。
このソフトでは原則としてAAC形式のうち拡張子m4aという自分勝手な種類のファイルにてリッピングするのがキホンである。MP3エンコーダーも付いているのでMP3にも出来るが、かなり音質が悪い。m4aを使わせるために敢えて下げているという説すらある。
itunesに限っては、現在はプレーヤーのメーカー各社がこぞってこれにひれ伏しており、プレーヤー側でitunesに対応するようにすり寄っている気配がある。他社製品のプレーヤーは次々と「itunesでリッピングしたm4aファイル対応」という謳い文句を打ち出してきていることからもそれは明らかであろう。これはあわよくばipodユーザーからプレーヤーだけ乗り換えさせようという魂胆なわけだ。実際、itunesでリッピングした音源はほぼすべてのプレーヤーで使えるのではないかな。

しかし!

私はこのitunesというソフトが大嫌いだ!
怖いからじゃあない!

まず本体の動きがメチャクチャ重たい。あのカミソリみたいなグレーも刃物恐怖症の自分には好感ゼロだ。そしてクイックタイムとかいう付随ソフトがウイルスのごとく何度も何度も勃起してくるし(殺そうと思っても、私の記憶では完全アンインストールは不可能だった気がする)、それより何より自分は性格上少数派につきたがるクセがあるから、アップルだかニップルだか知らんがそんなわけの分からんヤツに独り勝ちはさせたくないのだ。こんな時こそ国内メーカーに頑張ってもらいたいところじゃないか。
ちなみに私はwindowsユーザー。だからマイクロソフト社の奴隷である。その点で言動の辻褄が合っていないって?細かいことは知らん!私の感覚が絶対優先なだけである!

そういうわけで私は一貫してアンチipod。アンチ巨人と同じね。
ちなみにケータイもウィルコム(旧DDIポケット、要するにPHS)を10年以上使い続けているよ。
そういうわけでウィルコムのクソミュージックプレーヤーを放棄した後で、2007年初頭に葛藤の末パナソニックのSD-Audioを買った。その魅力は、(専用ソフト限定ながら)完璧なるギャップレス再生をこなす点と、メモリを内蔵せずSDカードを記録媒体として使うことで事実上無制限の音楽ファイルをコンパクトに携帯できる点である。後者については、他メーカーがいずれもプレーヤー本体が記録メディアそのものである点と比べれば有利である。実際私は2GBのSDカード5枚にほぼ全てのCDライブラリーを納めることに成功した。

しかしその代償として、私は付属のSD-Jukeboxというクソソフトに支配されることになった。このソフトはitunesと同じくらい最低だ。重いし、頭も悪い。タグ編集はほぼ不可能。MP3へのエンコードもできない(金を払えば出来る)。道具として認められないクソソフトだ。
それでも私は200枚のCDをSD-jukeboxに捧げてしまった。我慢して一生パナソニックに付き合おうかと思ってたところで、ある日突然「楽曲配信が廃止」という一方的な通告がなされた。あえなく撤退宣言をされてしまったのだ。
「今まで負け組に付き合ってくれてありがとう、もう解散するんで好きにしてくれ」
と言われたに等しい。それでもなお、今後は細々とアフターサポートのみにすがって生きていこうと思っていた。SDオーディオD-snapは優秀なイコライザを搭載しており、音質だけは非常に良かったから。AACコーデックも音質に不満はなく、ipdのm4aと比べても全然良い。

そんな折、つい先月必要に迫られて自宅PCのHDDのフォーマットを行った。大量のSDオーディオ用の音楽データを外付けHDDへバックアップして残した。残したのだが、単に別のドライブへ移して残すだけではいけなかったらしく、全て暗号化されたまま読めなくなってしまった!これには専用ソフトのバージョンアップをして正式なバックアップ手続きをしておくのが必須だったのだ。単に私のやり方がいけなかったのだが、ここでパナソニックと決別する決意は容易についた。私を見捨てたパナソニックを、ついに見限ることにした。
汎用性は非常に大事なのだ。
私はこれから手持ちのCDをまたゼロから1枚1枚リッピングしなくてはいけない…。

もしマックユーザーなら、多分親和性の高いであろうituneを使うのが一番だと思う。しかしwinndowユーザがマックのソフトを使う場合は「おまえもこの際MACに乗り換えろー」という企業の論理のお仕着せをヒシヒシと感じることにならざるを得ない。企業の論理だから、もっともなことだと思う。だから私はwindow一筋でいくしかない。itunesなんぞは要らない。

※ ※ ※

私はこのたびパナソニックSDオーディオを捨て、買い替えを断行しました。
買ったのがコレっす。



そう、私が行きついたのは上記のビクターである。
何しろこの機種は対応する全てのエンコードでギャップレス再生を可能としている。
なおかつ専用ソフトを持たず(いちおう、ウィンドウズメディアプレーヤーが指定されているが、ファームアップならびに動画転送時以外は不要)、皆が好きにPCからデータを取り込めば良いと来ている!ソフトなんて使わずに、単にウィンドウズのエクスプローラからコピーして貼り付けるだけで良いのだ。フォルダ単位でアルバム管理もできるし、プレーヤー側の検索機能も優れている。昨年夏の発売当初はitunesのm4a非対応だったが、そこはファームアップによって抜け目なく対応している様子だ。

かくして私は、強制音楽管理ソフトから解放された!
とはいえ管理ソフトが何も無ければ、CDを取り込むこともできないので、いずれにせよ何かしらを使う必要がある。そこで私の意志で自由にソフトを選ぶことにした。私が導入したのは、フリーソフトのfoobar2000というものだ。私はゴチャゴチャ五月蠅いのが嫌いなのだが、こいつは軽くて良い。スキン(アプリケーションウィンドウの「見た目」)などは無いに等しく、まるでテキストエディタのような殺風景さだ。その代わり起動時間は実に0秒!質実剛健で実によいソフトだ。プラグインを駆使してエンコードも自由自在である。タグの編集もラクラクで自由自在。まあ操作の容易さで言えば海外ソフトということもあり難しいレベルとは思うが、ちょっとオタク心を刺激すればすぐにマスターできる。つくづくSD-jukeboxはクソだったなあ…。

自慢じゃないが、そもそもうちのパソコン自体がクソなんである。メモリ256、クロック1.1、HDD60という、7年前の格安モデルだから。12月にメモリ768、HDD310と微妙にグレードアップさせたが(HDDのフォーマットはこれの関連)、はっきり言って焼け石に水をかけただけの焼けクソだ。先にPCを買い替えるべきなのは分かっている。しかしソフトさえ選べば充分使える。道具と頭は使・い・よ・う。PCへの投資はまだまだ先になるだろう。

わたしの結論:黙ってビクターのアルネロを買うべし

実際に試してみたところ。肝心のギャップレス再生にはやや難があった。というのも、曲間自体はつながるのだが、よく聴くと「ップ」という小さなノイズが入るケースがあるのだ。しかし私はこれに及第点を与えた。主たる使用シーンは騒音の多い屋外である。はっきりいって屋外では全く気にならないレベルである。しかしipodのほぼ完璧なギャップレスに一歩譲るのは否めない。それは認めよう。

音質については、SDオーディオのドスの聴いたドンシャリ感になれた耳でも充分通じるコッテリしたイコライジングが可能だし、よりナチュラルな再生もウリにしている。イコライザが何種類も入っていてそれぞれの意味がまだよく分からない面もあるが、とにかく音質に関しては非常に気配りがされている。「音の良さ」で差別化を図ろうとしているであろう意気込みは充分伝わってくるはっきり言ってこれは音が良いよ。付属のカナル型イヤホンも耳栓効果が高くて驚いたし、おまけイヤホンにしては低音域から高域までクセなく抜けていて音質はじゅうぶん良い。
あとは何の心配もせず、200枚のCDを外付けの専用HDDにでも適当にリッピングしておけば、今後機種やメーカーを換える日が来ても、きっと役に立ってくれるはずだ。

※ ※ ※

あと、これを教えないとアンフェアだから教えます。私と違ってマイノリティ指向でない方は、ipodで充分グッドでしょう。何しろ世界標準だから種類が豊富だし、アクセサリーも豊富。コンポ側でもipodドッキング対応機種は多い。本体の動きだって早い。最近のモデルならギャップレスも完全に対応。
itunesを使わずに「i氏のつぼ」ほかフリーソフトを使って直接データ転送することも可能らしい。興味ないからよく知らないけど。
マックユーザーの方ならびに陽の道を歩みたい方は、ipodへドウゾ!
労働者階級の英雄になりたければ、私へ着いて来い!

あと、ipodは音質についてはあまり評判が宜しくありません。AAC(m4a)はMP3より高圧縮高音質を実現するはずなんだけど、ビットレートによるかもしれないが容量をケチると全く聴けないくらいヨレヨレの感じの音でエンコードされるし(シンバルの音とか、フニャフニャ歪むんだよ!)、CDウォークマンとかでドンシャリを楽しんでいた人にとっても、ああいうイコライジングは難しいようです。やっぱり音質なら日本製ということだろうか?

※ ※ ※

なお今回は触れなかったが、ケンウッドからも「惜しい」製品が出ている。

実はパナソニックのSDオーディオで私が捨てがたかった点が一つだけある。それは「SDカード対応」。つまり本体と記録メディアが分離している点だ。これなら事実上ライブラリは無限に増やせる。私が今回買ったビクターは最大容量を選んだがそれでも8GBだ。
その点、ケンウッドは同じく「マイクロSDカード」に対応している。しかし致命的なことに、ギャップレスには全く対応していないのだ。

現時点では「専用クソソフトからの解放」「ギャップレス再生」「外部メモリ対応」の3点全てを満たす商品は存在しない。これが現れたらまた私も考えるかもしれないが、当面はXA-V80ならびにfoobarと共に歩むことになりそうである。

※ ※ ※

ともあれ、時代は変わったなぁ(=自分がオッサンの領域になったということである。それは認めよう…)
小学生の昔はエアチェックと言ってFM雑誌片手に聴きたい曲が放送されるのをひたすら待って録音したものだ。当時のステレオやラジカセはタイマー録音機能がやたらと充実してたものだ。
その後MDが普及したころになって、ミュージックバードというCSデジタル音楽放送が始まり、こりゃスゲーと思った。何しろ番組時間が74分でしたから。うろ覚えだけど、契約してアンテナとチューナーを買わなきゃ受信できなかったんだけど、いつか欲しいとずっとずっと思っていた。
ところが今じゃネットで曲を買える時代になったのだ。アナログとCDの違いどころじゃないよこれは。
そして聴きたい曲だけ携帯プレーヤーへ放り込んで、飽きたら削除。外部メモリが普及しない理由は著作権とかもあるだろうけど、そもそもあまり必要でないのかもしれない。
実は、XA-V80をいじってて、プレイリスト画面の中で「まだ聞いていない曲」という項目があるのに気がついた。これを見て少しハッとなったよ。
自分だけかも分からないけど、学生の頃はCD1枚買うのも金銭的に大変なことだった。だからこそ買ってガッカリということもあったけど、原則その1枚をスミからスミまで聴きつくしたものだよ。カセットテープにはアルバム単位で「ダビング」していた。なるたけ製作者の意図を感じたいと思いながら。私が好んで聴いていたのは、トータルアートとしてのアルバム作品ばかりだったから…。
だからカセットテープの中に「まだ聞いていない曲」が存在する余地はなかった。だってA面の頭からB面のケツまで全部聞くしかないんですから。スキップとか頭出しはほぼ不要であった。「レボリューションNo9」だって、ホワイトアルバムを聴いた回数だけ聴いている。
CDでも同じことが言える。プレーヤーに1枚入れて出かけたら、原則1日そのアルバムばかり聴いていた。CDをキャリングケースに入れて持ち歩くのってめっちゃ不便でしたから。このこともやはり「しっかり通して1枚聴こう」という強い動機づけになったものだ。
とにかくスミからスミまでよく聴いたさ。だからバンドの練習でも私は曲の構成もコード進行も一発でコピーしたものだ。
だけど今ではそういう聴き方は時代遅れだね。かくいう自分も「1枚持って出かける」という重さを、今ではすっかり忘れている。かつては、持って出かけてしまったら、とにかくその日はそのアルバムと付き合うしかなかったのだ。もちろん現在でもアルバムで通しで聴くスタンスに変わりはない。無いんだけど、何というか、目移りしやすくなっている。特に、移動時間の都合等で一旦再生を停めてしまうと、なぜか続きを聴く気が失せてしまうことが多い。続きはまたにしようと考えて、別のアルバムを頭から再生しちゃったり。
そう、自分の中でも「まだ聞いていない曲」が生まれつつあるのだ。

音楽はある意味では芸術的な「作品」である。またある意味では消費対象の「商品」でもある。後者の意味においては、顧客がどのように音楽と接しているのかが、音楽を作る側にとって重要なファクターになり得る。
世の中みんながMP3プレーヤーを持っている昨今。それに見合った「商品」が生まれてくるのは当然である。しかしこのことが「作品」の創造までを制限してしまうことがないのだろうか。
もちろん、カセットテープのウォークマンで電池を気にしながら巻き戻しと早送りをしまくってた子も知っているし、常にCDを20枚くらい持ち歩いていたヤツだって知っている。MP3プレーヤーで、音楽への接し方が変わったと思うのは、ぼくだけかも分からない。分からないけれども、何かフトもの寂しく思ってみたりもしました。
上で書いたけど、ウチにはいまだに立派なカセットプレーヤーが残っている。懐古趣味も兼ねて、いずれの日にかアレが復活する日が来るのかもしれないなぁ、とも思いました。ちゃんと仕舞ってあるかなあ、押し入れをチェックしてこよう!

(おわり)

70年代ロックファンのためのMP3プレーヤー導入ガイド(前)

2009年01月09日 | 70年代ロック雑談
音楽をどうやって聴きますか?私はもっぱら外出中や電車移動中に携帯プレーヤーで聴きます。
自宅で腰を据えてゆっくり聴くのが理想ではありますが、結婚して以来なかなかできないっす。音楽を聴くって、BGMならどうでもよいんですが、しっかり聴きたいときは、誰の邪魔もされずに1対1で音楽と対峙するに限る!もともとがミュージシャンくずれ(自称)なんで、結構細かいところまで聴かないと気が済まないクチなんです。ましてやチビどもが五月蠅い劣悪環境にある現在、自宅ステレオは可哀想なことにほぼ単なるAMラジオと化しています。
よって、ケチで貧乏でセッカチで通勤時間や待ち時間は時間の無駄以外の何者とも思えない私は、その間もっぱらジックリ音楽を聴くことで時間の有効活用をしているわけです。
私の妻はそんな私を指して「時間貧乏」と呼びます。意味はよく分かりませんが、とにかくのんびりできないヤツということなんでしょう。

ということで今日は携帯音楽プレーヤーの話でもしようか!すなわちDAP(デジタルオーディオプレーヤー)、俗にMP3プレーヤーというヤツについてである。なおかつ、私のウェブログは偉そうに人様へ教えを垂れることを是としているので、「ロック・ファンが初めて使うMP3プレーヤー」とでも銘打とうかと思う(便宜上正確にはMP3形式でないものも全部まとめてそう呼びます)。
いまどきの若者ならばそんなもん全て常識的に知っていることだろう。物心ついた時にはソレが当然のように存在していたんだから。だが我々の世代以上だと、興味はあってもわけワカメな方も多いことであろう。そんな方にとってデビューの一助になれば幸いである。
1点だけ最初にお断りしたいのは、私は映像に全く興味がないため、最近のMP3プレーヤーの多くが搭載している動画再生機能とかは一切無視しています。その点はご了承ください。

※ ※ ※

サテ私が初めてMP3プレーヤーと出会ったのは、遅ればせながら2006年のことである。
それまで私にとって携帯音楽プレーヤーといえばCDプレーヤーとMDプレーヤーであった。2006年当時の私はアル中状態で日常的に泥酔していたため、それらをいずれもカバンごと盗まれてしまった。CDプレーヤーを失って何か新しいものをと思っていた矢先、たまたま購入したウィルコムのケータイがミュージックプレーヤーとしての機能を備えていたことが、MP3プレーヤーとの出会いだった。しかしこのケータイの音楽再生は所詮はオマケ機能のクソであった。とにかく音量が小さくて外じゃ全然聴けやしなかったし、リッピング(CDの読み込み)ソフトも不便だし、音質・使い勝手ともに最悪だった。

一方で、PCからCDを取り込みプレーヤーへ転送するだけという「メディア準備と持ち歩きの手間が無いこと」には多いなる感銘を受けた。

そう、私の世代なら誰だってウォークマン用にカセットテープを何本も用意していたはずだ。ハイポジとかメタルテープとか、超懐かしいよね。私も、カセットプレーヤーはAIWAのお気に入りのモデルを持っていたっけ。私が酒に溺れる前に既に現役を引退して静態保存されていた関係上、今でも大切に持っているよ。
ちなみに現在のMP3プレーヤーが普及する1世代前に「MP3対応CDプレーヤー」とか「MDLP」の時代があったはずなのだが、これらは私は体験していない。おそらく普及する間もなくあっという間に過ぎ去ってしまったムーヴメントであったのではなかろうか…。

実際のところMP3プレーヤーはメディアフリーなわけではない。プレーヤーそのものが大容量のメディアなわけだ。それでも物理的に嵩張るせいで大量のメディアを持ち歩くことはできなかった頃と比べればえらい進歩だ。

のっけから余談だらけで恐縮であったが、かくして2006年頃には「私も満を持して専用のMP3プレーヤーに乗り換えるかッ」という機運が盛り上がってきたのだ。

※ ※ ※

さて、ケータイ電話プレーヤーへ不満があったのは上述の通りだが、もうひとつ書き忘れてはならない重要な不満ポイントがあった。
それが曲間に生じる無音部分である。これは、エンコード(音楽CDから音楽データへ変換すること。同時に容量を圧縮するケースが多い)の形式にもよるそうだが、MP3形式では避けられない問題である。解決するにはプレーヤー側でこれを処理して繋がって聞こえるようにするそうだ。これをギャップレス再生という。よく覚えておいてほしい。

声を大にして言いたい。私と同じく60~70年代の洋楽ロックを愛する紳士淑女ならびに外道の皆さん!
あなたたちのCD棚の楽曲は、必ずどっかメドレーになってるでしょう?
アビーロード、太陽と戦慄、オペラ座の夜、何でも良いっす。当時コンセプトアルバムというのが流行していたこともあり、アルバムはA面B面合わせて一つの「アルバム」という作品だった場合が多い。私の好きなプログレ作品なんてよく頭からケツまで全部1曲に繋がってたりしますよ。
で。こいつらをMP3プレーヤーへぶち込むと、何と1曲1曲いちいち途切れるのが原則的な仕様なのだよぉぉ!これでソフト・マシーンのVol2を聴かされた日には、ウサギでもマジ切れするだろう。イエスソングスを聴けば、曲間で聴衆が一瞬完全に黙る寒いライヴに早変わりだ。もっと具体的に言うなら、私自身は「幻惑のブロードウェイ」をこのケータイへ転送してしまい、ケータイを真っ二つに叩き割った(実際には、「割る妄想をした」が正しい)。
だから、上で紹介した「ギャップレス再生」は、必須中の必須。もうこれが無ければMP3プレーヤーなんて要らないとまで私は断言したい。

ところが、繰り返しになるけどMP3は仕様上どうしてもギャップが生じる。だから、いま現在でもギャップレス再生に対応しているプレーヤーはむしろ少数派なのだ。パフュームしか聴かないなら何ら問題ないのだろうが、我々のようなロックファンやいかにせん?

実は繋がっている複数の曲をまとめて1曲としてエンコードしちゃうことも可能で、こうすればトラックの分断そのものがなくなるから、繋がって聴こえる。しかし当然ながら複数の曲はまとめて1曲になってしまうので、頭出しが全く出来ないのは言うまでもない。いくらオタクな私でも、初めて聴くCDをいちいち曲間のメドレー箇所を確認してからリッピングする気にはなれない。手間を惜しむならA面、B面で各1曲エンコ、あるいはアルバム1枚をまるまる1曲としてエンコという手もあるが、なおさら聴きにくいだろう。よってこのやり方は却下。
私の持論であるが、人間が道具に合わせるのはナンセンスであると思う。道具が人間に合わせてあるべきなのだ。

ということで、MP3プレーヤー入門とか言っておいて何だけど、もうこの時点でかなり選択肢は限られているんです。そろそろ市場は成熟期を迎えそうな感触であるが、現在も海外製含む数多のMP3プレーヤーメーカーが乱立している。しかしチョイスは以下の4点。これらオンリーで良いです。それ以外の機種は論外、知らん。敢えて言おうカスであると。



ギャップレス再生が可能なMP3プレーヤー
メーカー名称主要な対応コーデック
 1.ソニー ウォークマンATRAC・MP3・WMA・AAC
 2.パナソニックSDオーディオ(D-snap)AAC・MP3・WMA
 3.アップルコンピュータipodAAC・MP3・WAV
 4.ビクターアルネオMP3・WMA・AAC




上記のうち、1と2についてまず話そう。
これらはいずれも専用ソフトとして「sonic stage」「SD jukebox」とかいうのがそれぞれ用意されている。ソフトの役割は音楽ファイルの管理である。具体的には、CDから音楽を取り込んだり、ネットで買ったり、それをプレーヤーへ転送したりするわけだ。
しかしこの専用ソフトがどちらもクセモノなのだ。

MP3プレーヤーを持って町に出る前には準備が要る。私にとって「一番手間のかかる作業」は大量のCDをPCへリッピングすること。そして「一番気を使う作業」は楽曲を購入すること。ひとたび専用ソフトを使ってこれらの作業を行うと、それ以降はかなりそのソフトウェアに縛られることになる。というのも、原則これらのソフトは他メーカーの機種を排除しようとしてくるからだ。

パナソニックのSD-jukeboxは、他のプレーヤーには全く使えず、著作権保護だか何だかで完全に暗号化したデータSAACなる形式でリッピングしてしまうので、取り込んだCDのデータは終生パナソニックでしか使えず汎用性ゼロとなる。
ソニーはATRAC形式を推進して独自の路線を歩んでいる。なお私が最初に使った携帯電話のプレーヤーもATRACだったっけ。つぶしが効かないのはパナソニックとまったく同様。
ただし、どちらもミュージックプレイヤー機能を持つ携帯電話向けの音楽管理ソフトとしての役割を持っているため、それなりに基盤を持っている。

一方これらのソフトは、他のコーデックでのリッピングも出来るし、別のソフト等でリッピング→変換済の他コーデックの読み取りやインポートも可能である。だからソフトウェアによる縛りは一見何も無いように見える。「単なる転送専用ソフトと割り切れば良いじゃない?」と思うだろう。

しかしここで大きな問題がある。というのも、上記ソニーとパナソニックでは、私たちが一番大事にしたい「ギャップレス再生」は、原則として付属の専用ソフトを使って、メーカーイチオシのコーデックへ直接CDからリッピングした時以外は、対応不可なのだ。
むろん全て試したワケではないし機種にもよるかも分からないが、私の使ってるパナソニックのD-snapは専用ソフトで直接CDからリッピングしたものしかギャップレスさせない。WMAとかでリッピングしたアルバムを後からSD-jukeboxを使って変換・転送すると、見事に曲間が途切れるのだ。何を隠そう現在私が使ってるモデルがパナソニックだ。
ソニーでもこの点は同様と聞いている。

ただし、MP3形式の場合、エンコードの形式次第によっては、パナソニックもソニーでもMP3のギャップレス再生が可能という未確認情報もある。lameという著名なMP3エンコーダーを使い特定の方法でエンコするのが条件となるらしいが、ギャップレス再生機能自体は機種依存のはずだし、現時点では未確認の情報なので何とも言えない。
唯一言えるのは、私が使用しているパナソニックD-snapのSD-370Vというモデルでは、何をどうあがいてもSD-jukeboxなるクソソフトを用いて直接CDをリッピングしなければギャップレスの恩恵は受けられないということだ。
しかし私が発見した情報によれば、違う機種では出来るとも書かれていた。
少なくとも自分の機種では出来ないことを確認するため、延べ50時間は費やしたであろう。

要するにこれらのソフトどもは、自社のシェア獲得のことしか考えていない。これは特定のエンコード形式によって独占的囲い込みを行おうという企業側の方針であって、ユーザーが何をほざいても止むを得ないことだ。企業側は極力自前のフォーマットで音楽を管理するようユーザーに圧力をかけることとなる。
しかし両社ともその戦いに疲弊しきっており、遠からずMP3プレーヤー市場から撤退あるいは自社推進規格の放棄を行うのではないか、というのが私の想像だ。

実はパナソニックはすでにSDオーディオという方式から事実上撤退すると囁かれている。現行のカタログモデルはいずれも品薄マークが付記されており、ニューモデルの発表も今のところない。またSAACコーデックによる音楽配信についても、去年突然廃止された。ソニーは上で書いた通り海外向け製品でATRACコーデックを放棄している。詳しく知らないけどオリコンが1年くらいでATRAC配信を止めたと聞いていることもあって、ソニーも似たような未来ではないだろうか。今後の国内におけるATRAC普及は難しいだろう。それでもウォークマンのシェアは国内で市場2位ということ、携帯キャリアへの普及もあって、今後も当面ATRAC時代による「暗黒支配」は続くかと思われる。

ということで、1と2は辞めた方が無難というのが私の見解だ。確かにギャップレス再生できるよ。しかし怨霊のようなクソソフトに縛られることになるのだ。VHS対βといい、ブルーレイとナンタラといい、メーカーとはそういうことをするものなのです。

(続く)