人骨

オートバイと自転車とか洋楽ロックとか

スズキEN125の復活

2012年10月12日 | メンテナンス実演(その他)
人骨クリニックの新しい患者です。正確には、昨年の暮れから入院してましたが、私がなかなかオペにかかる気が起きずに自宅で放置されていたものです。

今回の患者は、これまで拙ウェブログでも数度紹介された、T課長の「前妻」こと、スズキEN125であります。
T課長は、このEN125を平成19年に購入し、長らく愛していたものの、数度にわたる私からの請願(注)を受け入れ、平成23年晴れて中型免許を取得しホンダCBR250に乗り換えました。

(注)ツーリングにお誘い頂けるのは嬉しいが、課長が125ccで高速道路NGのため、多摩地区在住の私にとって過酷な「房総縛り」が課されるため、「中型に乗り換えて下さい」と請願し続けたモノ。

課長曰く

「あなたのせいで乗り換えたのが1点、おいらバイク王が大っきらいなのが1点、というわけで骨ちゃんが売りさばいてよ!」

趣旨はよく分からないのですが、2011年11月、わたしは課長宅まで電車で向かい、EN125を譲り受け、我が家へ引き取りました。
それが約1年を経て、このたび晴れて売りに出すことになりました。
1年間どうしていたか?何もしていません。引き取ってきたまま放置プレイ(屋根下・カバーかけなのでとりあえず安心)。むろん、乗ってもいません。作業遅れの理由はと言いますと、私の趣味が音楽やらカメラやらキノコやらに移ってしまい、オートバイに触る気が中々起きなかったことによります。自分自身、1年で1000kmも走っていない有様…

引き取り当時の状態は

「チェーンさびさび」
「アイドリング不調」
「フロントブレーキふにゃふにゃ」
「シフトチェンジむっちゃ固!」
「メインスイッチ接触不良」

です。
まあこの辺の修理は得意なので急ぐこともないや、ということで引き取ったEN125は全く顧みられることなく、我が家で熟成されたところ、10ヶ月後はさらに

「バッテリーあがり」

が症状に追加されました。

というわけで、診て参りましょう。



フルード交換

一番最初にブレーキ関連。
1年間何もしてないのに、ブレーキのエア噛みは放置後さらに悪化してました。もう、握っても全くブレーキが掛からない状態。これでは取り回しすら出来ない!
原因は分かりませんが、直す方法は一つしかありません(普通にフルード交換)。
最初はこのように手作業でやってましたが、途中で面倒くさくなってワンマンブリーダー使って一気に作業終えたよ。
原因が気になり、油圧系統をくまなくチェックしたけど、ブレーキホースやキャリパー、マスターシリンダなどから液漏れなどの様子は一切見当たらない。もしかしたら、ホースの材質そのものが空気を通しているんじゃないかしら…その辺が中国製。。。



さびさびチェーン


整備後

サビサビのたるみまくりの状態。T課長は、バイク愛はあるのにメンテ欲が無いストイックな方。クリップ式のノンシールという原付仕様チェーンなので、クリップでラクラク、チェーンを車体から取り外してワイヤーブラシでサビを落とし、給油し、張り具合を調整して完了。スイングアームにある張り目盛も超ラフ。コレダだってこれよりは良い目盛です。中国だ。。。
シールチェーンだとこうは行かず交換コースになるところであった。



得意のキャブ全バラ

続いてお得意キャブレター。
全部バラして洗浄液浸けこみコース。アイドリング不調もこれで解消。吹けあがりも良好になりました。
EN125のキャブの注意事項としては、メインジェットホルダを外した後に、そこからジェットニードルホルダがポロリと外れてくることでしょうか。付ける時は向きに気を付けてください。
なお、通常は存在するエアスクリュー用Oリングが無く、スクリューとスプリングを直接キャブ本体にぶっ込む仕様。エアスクリューの戻し回転は2回転ぴったりでした。
指定のアイドリング回転数は不明ですが、音から察してタコメーター読みで1600程度が適当と思われます。

イグニッションの接触不良
T課長曰く
「メインスイッチがとってもセンシティブで、OFF状態から一旦ON状態にして、そこからホンのちょっとOFF側に戻さないと通電しないのよ。」
そんな箇所がセンシティブである必要性はゼロなので、問答無用でばらしてみると、ON時に導通される接点が腐食していました(写真ナシ)。フッツーにヤスリで磨いてグリスを塗って修復しておきました。

シフトチェンジめっちゃ固
これは単なる給油です。シフトペダルはリンケージ式なのですが、このリンケージの接触部分のゴムブーツが死んでいます。そこでゴムブーツは破り捨てましたが、どうせブーツが付いてるのなら、ブレーキキャリパーの可動部分と同様でグリスが封入されるべき箇所と思います。ボロボロになっていたブーツ内部にそもそもグリスが充填されていたのかどうかも不明な状態。今後こいつにスムーズに乗り続けるためには、チェーンへの給油と同じく、シフトリンケージへの給油が欠かせないと思います。


あとはバッテリーを交換し、エンジンオイルを交換するなど…。
作業は2日で完了。

今回分解して思ったこととしては、いたるところでこれまで見てきた諸バイクと比べて「しょぼい」箇所があるところです。キャブレターのダイヤフラムのゴムはかなり薄くて頼りない感じがしましたし、イグニッションの接点不良も何故こんなところが腐食するのか不思議でしたし、ボルトも全般的にモロくてナメ易い印象があります。中国製・・。

ヤフオク的な商品情報は以下とおり。誰か、もらってください(笑)


スズキEN125-2A

2007年新車購入。現在走行3600km。事故・転倒歴いっさいナシ。走行性能は極めて良好。外装は普通(タンクに1ヶ所小ヘコミがあるのが自分的には最大の瑕疵ですが、他は小キズ程度)。フロントフォークにサビあるものの、摺動部分ではないので実用に支障なし。メッキ部分は色々小サビ浮いてます。リアキャリアつき。タイヤ山は十分ですが、グリップはしないと思うので交換をお勧めします。

ワンオーナー。前オーナーは私のバイク仲間です(書類上は、課長の後に一旦私名義で登録しているので2オーナー)

当方素人ですが一通りのセルフ整備技術あり。ブレーキフルード、エンジンオイル、バッテリーは新品です。他の不具合箇所は全て一通り整備済みです。
低速でよく粘る乗りやすいキャラクターです。ファーストバイクや女性にお勧めと思います。

取りに来て下さる方限定。とりあえず登録済みで自賠責もわずかに残っているので、名義変更ちゃんとしていただく契約のもと、乗って帰っていただいても結構です。
受け渡し後は返品不可ですが、後日整備のご相談があれば可能な範囲で対応したいと思っております(整備好きですので)。
コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする