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奈良まで遠足

2006年11月01日 01時50分48秒 | 携帯より

 金欠月間を乗り切りました。

 途中、親が遊びに来たため食費が浮いたのでだいぶ楽になりました。でも、頑張ればできるよ、1日400円生活。

 そして久々にお休みなので、一万円をにぎりしめて奈良にいってきました。一応、目的は正倉院展。 なぜか早朝に目覚めて、あまりの天気の良さに引かれて、突如決行。

  午前中は法隆寺にいってきました。斑鳩の路地を散歩して柿の木やなんかを見て、なんだかほっとします。「柿食えば鐘が鳴るなり法隆寺」って、与謝蕪村あたりかと思ったら、正岡子規なんですね。実際には僕がいる間には鐘はなりませんでしたが、都会にばかりいては見逃す四季がありますね。

 バス停を一つ手前でおりて歩いていったので、裏側から行くことになりました。

 最初に来たのが夢殿。聖徳太子がここにこもって仏様にあったんでしたっけね?なんだか、法隆寺って玉虫厨子とか、夢殿とかどこか幻想的なイメージがあります。

 法隆寺は小学校の修学旅行以来。その間、タイやカンボジアの仏教遺跡にいったり、少しばかり長く生きたせいで、見え方は違いますね。やはりこれはすごい建築なのでは?  古い分、色あせていたりはするのかもしれませんが、なにしろできてから1400年もたっているわけです。いまどきの2×4住宅なんて30年もするとガタがきたりするんだから半端じゃありません。


 そして、いまでも日本人なら一生に一度は訪れたいところですから、幼稚園児も小学生も高校生も見学にきていました。幼稚園児はきっと見ても何にも分からないので近所の幼稚園で遊びに来ていただけでしょう。

近所の幼稚園児たち

修学旅行の小学生たち。エンタシスはギリシャの影響を受けているだの、五重塔や金堂のいわれを説明してもらっていました。ぼくも前来たときは、こんなんだったんだよな~。

高校生。修学旅行で記念撮影ポイント。
次から次へと修学旅行生が並びます。

お弁当を食べて、奈良公園にやってきました。
興福寺あたり。阿修羅さんにあいに行きます。

どうやら正倉院展にあわせて、興福寺の他の国宝も公開してました。
三重塔やら北円堂やら。まあ、歴史の知識も、美術の知識も、建築の知識もないので、見てもよく分からないけど、ありがたいものだと思います。

北円堂

それから宝物館へ。千手観音や阿修羅さんが国宝の国としては、ゴジラや大魔神、鉄人28号はいうに及ばず、キングギドラもヘドラも発想するんですね。なんか原点を見せられた気がします。なんだかんだいって日本人て普通にシュールな想像する民族なのかも?



 それから国立博物館へ。正倉院展。
 思ったより地味な感じだけど、昔から偉い人はキラキラが好きだったのね。いろんな意匠を尽くした、品に々は日本の起こりを感じます。当時の生活が現れているようなものもあって面白かったです。靴はフェラガモ風でしたし。それよりなにより人が多すぎる。正倉院展って人気なんですね。ついでにいうと、正倉院の宝物は宮内庁の管理下にあるので国宝指定はしない慣例なのだそうですね。天皇家の私物と宮内庁管理下の文化財は国宝にはならないのだそうです。国宝以上なんでしょうか?

 それから本館も見ました。やはり国宝の仏像がいっぱい。このごろ国にいろいろ文句があるくせに、国宝とか重要文化財とかいわれると、なぜかありがたい気がします。きっと昔これらの仏像を検分してランク付けした学者や当時の為政者のことは知らないから、立派だと思い込めるせいだろうと思います。ていうか実際にはいつだれが国宝や重要文化財を決めたのか知らないんですがね…。

 国宝についてのWikiの説明はこちらです。

 続いて東大寺。

 大仏樣はやっぱりでかい。当時のことは「マンガ日本の歴史」で読んだことがある(しかも25年も前)というテイタラクだが、食うや食わずの状況のなか、国を守るという名分のもと行われた、壮大な無駄遣い。人類たるもの偉大な文化を作るためには、効率やら科学的世界観を捨てないといけないのかもねー。もう今の時代には不可能だけど。でもある種の公共事業の拡大なのかも?ニューディール?

 そう思っていたけど、いまWikiで見てみたら、やっぱり当時の水準で考えても、でかすぎたみたいである。当時のジニ係数ってどんなんだったんだろうねえ? 日本では路上生活者もそうそう餓死はしなさそうであるから、そんなもんじゃなかったはずですね。壮大な文化遺産、世界に誇れる文化遺産を作ろうとすると、その時代を生きる人びとは、極めてお気の毒な状況に直面させられるということでしょう。

 きっとピラミッドもアンコール・ワットもベルサイユ宮殿も万里の長城もそうに違いありません。そうやって、間違ってできちゃったものは、観光資源としてでも利用させていただくが、そのために国費を浪費する社会には生きたくないなあと思います。巨大な文化はそういう狂気をもってしか成立しないものですね。
 つまり文化というのは、できちゃったら褒められるけど、できちゃうまでは基本的に社会の中で称揚されるものではないということです。世界遺産だとかいって騒いでますが、基本的には「この地域を世界遺産に認めさせよう」ということはみんな言うけれども、「未来の世界遺産になるような建造物や銅像を作ろう」とは言わないのは、そんなところに秘密があるんですね。生活に根ざした合掌造りのような「民芸」的な文化でなければ、文化は社会を圧迫する方向になりがちなものなんですね。未来永劫観光資源としてお金儲けをしてくれるとしても、それを負担する世代にとってみれば、アホみたいに重い税金を取られることになるわけです。
 ぼくは負担は最低限ですませていただきたいです。いまでも十分も大きいんだから…。


 次に四月堂、三月堂、二月堂。横に校倉造の掘っ立て小屋があると思ったら、それも重要文化財だそうで、なにげにいっぱいあります、このあたり。

 

 そろそろ夕暮れで雲一つない空に赤く輝く太陽。奈良盆地には薄く霞が下りています。向こうの山に消え行こうとする太陽は、気温が高くても秋の空一面を染め上げています。カンボジアでもサンセットが見える遺跡は夕刻には大混雑をしていましたし、サンセットが部屋から見えるリゾートホテルの部屋はちょっと高かったりするそうで、サンセットは洋の東西を問わず人の関心を引きますね。あれはなんででしょう?



 さらに春日山のふもとを通り抜けて、春日大社へ。暗くなるまであと30分ほどのトワイライトには、あの大量にある灯籠は幽玄の世界を演出する。奈良のお寺はたとえば真言密教のような壮麗さはなく以外とあっけらかんとしているが、神社は日本的アニミズムにも深く根ざして、宗教的な雰囲気を作り出すよね。

 奈良時代なら仏教は国家をかけた新興宗教なわけだし、風土に同化してなくても当然なんだろうね。きっと当時の人たちは、「妙なものを持ち込んだねえ」とかいってたんじゃないかと思いますよ。だって阿修羅だの千手観音だの……。あれはきっと外来のありがたい文化だということにしたから成立しているようなものなんじゃないだろうか。荒川修作とマドリン・ギンズの養老反転天命地なんかより、よほどアバンギャルドだよ。それで、外来のもののほうがありがたいというのは、たとえば中国のような自分が世界の中心だと思っている国ではありえないことですよね。自国のものが一番すごい。このあたりに、日本人が「愛国」を唱えだしたときに違和感を覚えてしまう原初の感覚が見て取れるような気がします。日本人は外国から取り入れたものを「カッコイイ」と思っていた時期が長いので、いわゆる「日本的」なものも、元をただすと外国からの輸入文化だったりするわけで、じゃあ日本古来のものはなにかと思うと、困る。輸入文化が「カッコイイ」時代と、外国人の考えることは訳が分からないから交際することに疲れて自国で輸入文化を発酵させている時代(国風文化やら元禄文化やら)が交互にやってくるわけです。その中で、昔からずっと変わらず続いているのは?と考えると、だれもがふと天皇を思いつくわけですね。

 そう思うと、神社はどこか日本的で「現実的」だと思いました。


 薄暗くなった道を鹿煎餅を鹿にやりながら帰ってくる。
 人間にとってはまずいけど(食べてみた)、鹿にとってはおいしいんだろうねー。芝やドングリを食べていた子たちが鹿煎餅をみるとよってくる。山の人が少ないほうの鹿は警戒心が強いし、東大寺などの方では人懐っこい。一般にメスの方がよってくる確率が高く、オスは見えていても近寄ってこないことが多い。しかし、オスは近寄ってきたにもかかわらず、餌を与えないと頭突きをしておねだりする。メスはあきらめが早い。かと思ったら、餌をやったあと立ち去るとき最後まであとをついてくるのはメスだった。きちんとデータをとったわけじゃないけど、鹿の採餌行動の行動選択には雌雄差がありそうですね。その進化的な意義はどうなんでしょう?奈良公園の鹿なんて身近な動物なんで、ちゃんとした研究者がいれば、卒研でもできそうだから、やってないのかな?

 興福寺の五重の塔がライトアップされ、午後6時半に70度のほぼ半月が光ってました。

 

 それから猿沢の池端を通って駅の方へ。フラフラ歩いていたら、格調高い奈良漬け屋があったので、奈良漬けを買い、スーパーで三個100円のコロッケと柿の葉寿司を買って、ついでに見つけた見慣れぬ「つるの子柿」ってのを買って帰りの電車に乗り込んで、帰ってきました。

 柿は小さいけど完全に熟した柿でおいしかったです。関西方面ではよくあるんだろうか? スーパーってこういうご当地ものがおいてあるのが楽しいですね。

 帰りはお金がなくなってきたので、急行を乗り継いで帰りましたよ。三時間半ほど(笑)。奈良は日帰りで、1万円あればあれこれ遊べるお手軽な観光地であることが分かりました。いつも近鉄で奈良県あたりは通り過ぎていたのだけど、結構ほかにも見所はいっぱいあるみたいだし、また行こうと思います。ちゃんと休みの日に朝起きれれば、太陽光をたくさん浴びれるしこういうのもいいですね。


 

 

 

 


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