MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『スウィート・スウィートバック』

2016-03-01 00:01:38 | goo映画レビュー

原題:『Sweet Sweetback's Baadasssss Song』
監督:メルヴィン・ヴァン・ピーブルズ
脚本:メルヴィン・ヴァン・ピーブルズ
撮影:ボブ・マックスウェル
出演:メルヴィン・ヴァン・ピーブルズ/サイモン・チャックスター/ヒューバート・スケールズ
1971年/アメリカ

エクスプロイテーション映画の「お手本」とされる作品について

 主人公で孤児のスウィートバックは娼婦たちに引き取られ、セックスの手ほどきを受けながら成人になり、セックスクラブで本番行為を見せる役者として活動している。
 ある晩、殺人事件の捜査をしている2人の白人の刑事がクラブを訪れ、クラブ経営者のビートルと交渉していた。誰かを差し出せばクラブ内のことは表ざたにしないということで、あいにく従業員のジョージが休んでいたために代わりにスウィートバックが連れていかれることになる。
 警察へ連行中に2人の刑事は暴動が起きている現場に向かい、首謀者とされるモーモーが2人に暴行を受け、見かねたスウィートバックが2人の刑事を手首にはめられていた手錠を使って仕返しをする。
 当初は重要参考人扱いだったスウィートバックが犯人として追われることになり、スウィートバックの居所を掴もうとビートルに拳銃を向け、ビートルは両耳を負傷したり、スウィートバックに間違われた黒人が暴行を受けたり、逆に、スウィートバックに遭遇した2人の警官が返り討ちにあったりと攻防戦が続くのであるが、警察内にもビルなどの黒人警官はおり、一応白人警官も黒人に気を使っているということは暗示される。
 一度は手錠を抜いたスウィートバックが追って来た警官が仲間を殺した仕返しに反撃する際にいつの間にかはめられていた手錠で殺すというシーンは明らかに演出の間違いであろうし、後半は本人が歌う「Come on Feet」などが流れる中、逃走するだけでもはやストーリーは無きに等しく、ラストは警察が連れてきた警察犬を殺害してメキシコに逃げ延び、いつか復讐を試みるという字幕が最後に流れるのであるが、『勝手にしやがれ(À bout de souffle)』(ジャン=リュック・ゴダール監督 1960年)と『死刑台のエレベーター(Ascenseur pour l'échafaud)』(ルイ・マル監督 1958年)を組み合わせたような本作はアメリカン・ニューシネマというよりもフランスのヌーヴェルヴァーグの影響を強く感じる。


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