MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『ふたりの女王 メアリーとエリザベス』

2019-03-22 20:30:45 | goo映画レビュー

原題:『Mary Queen of Scots』
監督:ジョージー・ルーク
脚本:ボー・ウィリモン
撮影:ジョン・マシソン
出演:シアーシャ・ローナン/マーゴット・ロビー/ジャック・ロウデン/ジョー・アルウィン
2018年/イギリス・アメリカ

「ゲイ」で身を亡ぼす女王について

 本作は『女王陛下のお気に入り』(ヨルゴス・ランティモス監督 2018年)よりも100年以上前の話で、なおかつほぼ史実に忠実な伝記映画である。
 1561年、イングランドの女王だったエリザベス1世はプロテスタントで、そこにフランス出身ながらイングランド王位継承権者を持つメアリーが夫のフランソワ2世が亡くなったことからスコットランドに帰国してきたのだが、メアリーがカトリックだったヘンリー・ステュアートと再婚したことから話がこじれだす。
 本作の特異さは夫のヘンリーとメアリーの秘書のデイヴィッド・リッチオが同性愛者として関係があったことが描かれているところなのだが、それならば何故それが分かった時にメアリーは夫は赦さずにリッチオは赦したのか辻褄が合わないと思う。結果的に、知性があって優しいヘンリーの「性癖発見器」となったリッチオに感謝するという意味があったのかもしれないが、はやり同性愛者のヘンリーとメアリーの間に子供ができるという描写には強引さを感じる。
 しかし本作で重要な点は活発に女王として行動するメアリーがじわじわと自分の首を絞めることになるのとは対照的に何もしない(あるいは出来ない)エリザベス1世は死ぬまで自分の地位を守ることが出来たというアイロニーであろう。原題にエリザベス1世の名前が無い理由がそこにある。


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