原題:『Green Book』
監督:ピーター・ファレリー
脚本:ピーター・ファレリー/ニック・バレロンガ/ブライアン・ヘインズ・クリー
撮影:ショーン・ポーター
出演:ヴィゴ・モーテンセン/ハーシャラ・アリ/リンダ・カーデリーニ/P・J・バーン
2018年/アメリカ
人種問題に隠れていたLGBT問題について
主人公のトニー・“リップ”・ヴァレロンガはカサブランカ・ナイトクラブで用心棒として働いているのであるが、そもそもこのトニーという男はなかなかの「香具師」で、ある大物の帽子を隠して、クラブのクロークに預けた帽子が無くなったことに激怒したその大物がクラブを閉鎖させたのであり、その後トニーはあたかも自分が見つけた振りをして小銭をせしめたのである。
やがてトニーがアメリカ中西部のコンサートツアーの運転手を務めるアフリカ系アメリカ人ピアニストであるドン・シャーリーもただ黒人という以上に変わった人物で、大学で音楽の他に心理学の博士号を持っているほど優秀なのだが、1952年の暮れに結婚していたが離婚してトニーと出会った頃はカーネギーホールの上に一人で暮らしている上に、どうやらバイセクシャルなのである。
香具師だったトニーはその後プロの俳優として活躍するようになり、ドンもミュージシャンとして一流なのだから、これだけお互い才能があるならば人種問題などは問題にならない尊敬をお互い得られるという典型的な物語であろう。