MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『あの日のオルガン』

2019-03-13 00:56:01 | goo映画レビュー

原題:『あの日のオルガン』
監督:平松恵美子
脚本:平松恵美子
撮影:近森眞史
出演:戸田恵梨香/大原櫻子/佐久間由衣/三浦透子/堀田真由/福地桃子/田中直樹/橋爪功
2018年/日本

実話を描くことで精一杯の作品について

 東京から埼玉県へ疎開した戸越保育所を巡る実話を基にした物語なのだが、例えば、『月光の夏』(神山征二郎監督 1993年)も同様に実話を基にしたもので、ベートーヴェンのピアノソナタ第14番「月光」が重要なモチーフになっているのだが、本作においてオルガンがタイトルに冠するほど重要な要素になってはいないし、仕方がないことだが主人公を演じた大原櫻子が歌う「この道」は最近公開された『この道』(佐々部清監督 2019年)と被ってしまっており、やはり「本家」の方が強い。
 あるいはストーリーの細かな点を見るならば、例えば、主人公の野々宮光枝が行方不明になったと児童たちが泣いて帰ってくるのであるが、枯葉に埋められて疲れも手伝って眠り込んでしまった光枝を枯葉で覆ったのは児童たちなのだから矛盾しているのである。
 「疎開保育園」の実話を知る機会にはなるものの、映画としてのスリリングさには欠けているのではないだろうか。


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