MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『洗骨』

2019-03-12 00:47:00 | goo映画レビュー

原題:『洗骨』
監督:照屋年之
脚本:照屋年之
撮影:今井孝博
出演:奥田瑛二/筒井道隆/水崎綾女/大島蓉子/坂本あきら/鈴木Q太郎/福田加奈子/筒井真理子
2018年/日本

特異な風習を描くことで精一杯の作品について

 冒頭のシーンは沖縄県の離島である粟国島・粟国村の新城家で執り行われている葬儀である。新城信綱の妻の恵美子が亡くなり、東京で働く息子の剛や名古屋で美容師をしている優子など親戚が集まっているのだが、それから4年後、「洗骨」という風習を行なうために再び家族が集うのであるが、妻が亡くなった後、信綱は酒浸りとなり部屋もろくに掃除をしていない状態なのである。しかし4年も経過している中で、信綱はどのように生活していたのかよく分からない。息子の剛も唐突に離婚したことを告げるのであるが、その理由も具体的に描かれてはおらず、優子が臨月で帰郷してきたことが唯一の具体的なサブエピソードで、全体的なストーリーは単調である。
 例えば、冒頭で信綱が持つグラス越しに家に入って来る剛が映るカメラワークなどは良かったのだが、その後目を見張るようなカットはラストくらいで、ギャグは全体的にスベリ気味で「洗骨」という儀式を具体的に描いたところが唯一本作が制作された意義であろう。
 因みに韓国にも「洗骨葬」というものがあって、これは三年後に行われるらしい(『朝鮮民族を読み解く』 古田博司著 ちくま学芸文庫 2005.3.10 p.90)のだが、その顛末の方が本作よりも面白いと思う。


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