原題:『東京難民』
監督:佐々部清
脚本:青島武
撮影:坂江正明
出演:中村蒼/大塚千弘/青柳翔/山本美月/中尾明慶/金子ノブアキ/井上順
2014年/日本
強引な「負のスパイラル」について
ちょっとしたことがきっかけで「負のスパイラル」に落ち込む主人公が描かれていることは理解しつつも、まるで敢えて苦難の道を選択しているように見えるのは、大学生であるにも関わらず、同級生から全く支援が無いとか、お金が底を突いた時でも携帯電話だけはつながるといった些末な部分を論う以前に、例えば、川辺瑠衣に騙されたことをきっかけにホストになる主人公の時枝修が、ツケをためて行方をくらましていた瑠衣が都内に戻ってきたところを捕まり、ソープランドに売られようとする寸前で、ホスト仲間の順矢と共謀して瑠衣を彼女の実家に逃がして自分たちも建設会社に逃亡するのであるが、それだけの知恵があるならば、その前に修自身が常連客として指名してくれていた北条茜を連れてホストクラブから逃げ出すはずなのである。
修が茜が働いている病院まで会いにいった際に、迷惑がかかるために居場所を教えなかったはずであるが、茜から修の居場所を突き止めて児玉篤志が2人が住む寮に現れるシーンにも違和感が残り、ストーリー展開の「無理やり感」は否めない。