原題:『To Rome with love』
監督:ウディ・アレン
脚本:ウディ・アレン
撮影:ダリウス・コンジ
出演:ウディ・アレン/ロベルト・ベニーニ/アレック・ボールドウィン/ペネロペ・クルス
2012年/アメリカ・スペイン・イタリア
ストーリー間を交錯するコントラストの妙について
イタリアにおいて、このようなオムニバス作品はよく見かける。例えば、、ロベルト・ロッセリーニ、ジャン=リュック・ゴダール、ピエル・パオロ・パゾリーニ、ウーゴ・グレゴレッティ共同監督による『ロゴパグ』(1963年)やロジェ・ヴァディム、ルイ・マル、フェデリコ・フェリーニ共同監督による『世にも怪奇な物語』(1967年)や、ヴィットリオ・デ・シーカ監督の『昨日・今日・明日』(1963年)もイタリア映画であるのだが、イタリアでオムニバス映画がよく制作されていた理由ははっきりしない。
コメディーという作品の性格上、余計な説明は不要であるとしても、例えば、仕事場で自分の意見を聞いてもらえないことに不満を持っていたレオポルドが、ある日突然「有名人」としてパパラッチに追いかけられ、特別な才能を何一つ持たない男の一挙手一投足が騒がれる様子と、ジャンカルロの歌手としての才能を見出した元オペラ演出家のジェリーがジャンカルロの才能を引き出すための悪戦苦闘のコントラストや、あるいは、ベテラン俳優のルーカ・サルタに夢中になるミリーと、売れない女優のモニカに夢中になるジャックというコントラストの妙は指摘しておきたい。