原題:『Rush』
監督:ロン・ハワード
脚本:ピーター・モーガン
撮影:アンソニー・ドッド・マントル
出演:クリス・ヘムズワース/ダニエル・ブリュール/オリヴィア・ワイルド/ナタリー・ドーマー
2013年/アメリカ・イギリス
女性を巡る天才たちのその後について
メカに詳しく「コンピューター」と呼ばれるほど冷静沈着にレース運びをするニキ・ラウダと、レース前には嘔吐をするなど決して度胸がいいというわけでもなく、マシンの細かい規定にこだわらないくらいに自由奔放で人気を得る天才型のジェームズ・ハントの物語は、皮肉なことに1976年のドイツのニュルブルクリンクにおいて、豪雨の中のレース開催を反対したラウダが瀕死の重傷を負い、決行に賛成したハントが無傷という皮肉な結果に終わり、シリーズ最終決戦の日本の富士スピードウェイにおいても豪雨であったためにラウダは途中リタイアしてしまう。
このラウダとハントの対照的な性格は、もちろん生まれつきのものではあろうが、女性関係においても違いがうかがえる。ラウダはマルレーヌ・クナウスと結婚し、さらに慎重なレース運びを試み、結果的に1976年は1ポイント差でハントに逆転され、世界チャンピオンになれなかったが、ハントはスージー・ミラーと結婚したものの、やがて離婚してしまい、失うものが無くなったためにその年の世界チャンピオンになれた。しかしこの生き急いだハントはレーサーとしての活動期間を縮め、45年という早世につながったのではなかったのか。