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山里に生きる道草日記

過密な「まち」から過疎の村に不時着し、そのまま住み込んでしまった、たそがれ武兵衛と好女・皇女!?和宮様とのあたふた日記

世界でも珍しいという茶色い翅

2023-08-23 22:35:45 | 生き物

 夕飯を食べ終えてけだるい眠気と戦っているとき、突然大きな音を立てて闖入した者がいた。アブラゼミだった。アブラゼミは目が悪いのか障子に何回かぶつかりながら灯火を目指していた。放っておくとうるさいので捕まえることにする。

           

 アブラゼミは茶色い模様の翅だが、世界のセミは透明な翅であるのが普通だ。日本でも透明な翅のセミが多数派だ。オラの感覚では、セミというと茶色いアブラゼミがまずイメージされる。都会の覇者はアブラゼミだった。最近はその勢力地図も変わってくるほどにアブラゼミが少なくなりつつあるという。湿気を好むアブラゼミは、地球温暖化の影響か、広がる乾燥化に対応できなくなってきているのかもしれない。

          

 その翌日だったか、庭にいた和宮様が「大変じゃぞ、セミが捕まっておるぞよ」と叫んでいる。まさか、昨日釈放したセミではないだろうなとは思いながら、現場に直行する。すると、メスらしきアブラゼミがカマキリに捕まった瞬間のようだった。オスなら大騒ぎするところだが、もう観念していたようだ。

       

 翅をしっかり捉まえてこれから悩殺して頭から食べようとする直前だった。残念ながらそれを目撃する余裕を作れなかったが、一般的には野鳥による捕食が多いらしい。セミにとって地中にいる数年間が最も安定・安心な環境なのだが、地上で生きる現実はせちがらい。人間だっていまだにそうなのだ。

 ちなみに、アブラゼミの名前の由来は、身体の油っぽさではなく、その鳴き声が揚げ物を揚げている音に似ているからという説の方が有力のようだ。メスは鳴かないから、メスを呼ぶオスの鳴き声の必死さがつらく聞こえてくる。いのちをリレーしていくのは日本人の現在では難しくなっている。それは昔より今日のほうが進歩していると言えるのだろうかと考えてしまう。

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ちょっと見ではイチモンジみたいだったが…

2023-07-21 22:47:21 | 生き物

 連日のように、わが家の灯火を頼って生き物がやってくる。蜘蛛は無賃の同居人として居座ってしまっている。ときどきゴキブリも出てくるが、汚い民家の割には少ないともいえる。同居人の蜘蛛が家賃代わりに警備を担ってくれているのかもしれない。何と言っても目立つのは大小様々な蛾で、昨日は「シロスジトモエガ」(ヤガ科)が久しぶりにやってきた。

      (画像は2019.9.25我がBLOGから)

 最初は、「アサマイチモンジ」(上の画像)かと思ったが、蝶が灯火に来るはずもない。まずはその蛾を捕捉してその特徴である左右の「巴紋」を確認。また、その触覚を見ると間違いなくメスだった。メスの触覚は真っ直ぐな「鞭状」、オスは羽のような「櫛歯状」。

      (画像は2015.6.2マイBLOGから)

 ちなみに、以前捉えた「シロスジトモエガ」(上の画像)はその触覚からメスだったこともわかった。トモエガの中でも、シロスジトモエガは北海道や北東北にまで分布を広げているなかなかの覇者ということだ。   

 また、トモエガの模様は現代アートのような気配がある。個体差も多様過ぎるくらいだ。そういう模様の面白さから、外国では蝶より蛾の方が人気があるらしい。さらに、その特徴の渦状の眼状紋は相手に睨みを利かす防禦機能があるようだ。引きこもり状態のオラの狭い「井戸」からでも、広い世界が見えてくるのが愉快至極ではないか。若者よ、闇バイトなんかやっている場合ではない。

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謎だらけの羽衣だが…??

2023-07-17 22:58:50 | 生き物

 日本各地で39度・40度を超える暑さが襲っている。地球の軋みが現実となっているが報道は暑いことしか伝えられない近視眼にうんざりする。きょうは炎天下での農作業はやめて、日陰で蚊取り線香を点けながら、雑草に負けそうなポット鉢の整理に追われる。そんななか、ケヤキの葉にナニコレ珍昆虫を発見。 

          

 植物の茎に吸汁している白っぽいアオバハゴロモかと思ったが、「ベッコウハゴロモ」の幼虫(ハゴロモ科)だった。形は金魚のような、セミのような、ロケットのような怪しい雰囲気をまき散らしている。畑にある桑の木・茶樹・ヤマウドなども吸汁していたのかもしれないが、ワグネルほどの残虐性はない、控えめな農業害虫のメンバーでもある。

 何と言っても、お尻にある羽毛のような「毛束」ファッションが、モデルの山口小夜子顔負けの異形なスタイルを発信する。ロウ物質でできている毛束というが、その意味するものがわからない。敵からカムフラージュするくらいの効果はわかるが、「羽衣」と言われるほどの注目を浴びる必要はあるのだろうか。

    (画像は、「石黒の昔の暮らし」webから)

 ハングライダーのような成虫は蛾としか見られないが、カメムシの仲間に分類される。翅の模様のようすから、「べっこう」という名がついたようだ。羽衣をロウ物質にしなければならない理由、そしてそのスタイルは謎だらけだ。宇宙を争奪するより、こうした身近な謎を無駄な予算を分散してわかりやすく解明してもらいたいものだ。

   

 

 

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毒蛾ではなかった

2023-07-12 19:19:20 | 生き物

 野生化したイチゴの群落の近くに毒蛾の幼虫らしきものを発見。触るのは危なそうといつもの透明の昆虫ボックスに入ってもらった。ドクガ特有の背中のまとまった「毛束(ケタバ)」がなく、前胸に対となった長い毛束もないので、ドクガではないと予測する。

         

 そこで、毛むくじゃらの毛虫は「ヒトリガ科」に多いので、そこを小学館の『イモムシとケムシ』のチョウ・ガの幼虫図鑑で検索する。クワが食草というので、たしかに畑には大きな桑の木がある。昨年から病気にかかり実にも障害も出ている。石灰を撒いたが改善していない。大胆な強剪定しないと改善しないらしい。そのせいだろうか、幼虫がイチゴ群落までやってきたというのは。

    

 幼虫の発達段階で姿が大きく変わるのでいつも同定が難航する。それでもなんとか、赤と黒のツートンカラーの「フタスジヒトリ」と同定する。ドクガに擬態して敵を欺いているようだ。逃げ足は意外にも早い。

         (画像は、岐阜大教育学部理科教育講座から) 

 成虫は、翅に「X」字状というか「大」字状というか、その模様がシンプルでかっこいい。人によれば、ウルトラセブンの敵=白地に黒の怪獣「エレキング」みたいだというが…。この毛虫は、毛むくじゃらで「熊毛虫(クマケムシ)」とも言われている。ドクガに見せながら戦わずに生き残りをかける戦略は、力による一時的な支配よりはかなりしぶといのではないかと思われる。

           

 名前の「フタスジ」は、成虫の帯状の筋を言いたいらしい。「ヒトリ」は、街燈にやってくる「火盗り」から。「ヒトリ」には悲哀のストーリーがあるといいなと期待していたが。夏の季語でもある「ヒトリガ」は日本固有種でもある。        

 

 

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ますます脳髄がクモってきた!?

2023-06-30 23:23:09 | 生き物

 わが家には数種類の蜘蛛が居候している。日本最大級の大きさのアシダカグモ軍曹のおかげか隙間だらけの古民家の割にはゴキブリは少ない。また、天井に巣くう小さな蜘蛛が食事中にツーッと天井から糸とともに降りてくることもしばし。そんな蜘蛛屋敷の中に、身体に一対の白線のあるキシダグモがやってきた。

    

 日本の蜘蛛研究の先駆者だった岸田博士の名前がつけられたキシダグモは、模様も多彩で同定が難しい。「スジボソハシリグモ」かと思ったが、「イオウイロハシリグモ」の「スジボケ型」か、「スジアカハシリグモ」かなどと、いろいろ検討したがなかなか結論が出ない。学会でも図鑑でも混乱の跡もみられる。こりゃー、オラの脳髄がクモってしまうのも忘れっぽいのもヨシとするしかない。    

  ほとんどの蜘蛛は、8個の眼を持っているというが、あまりに小さくて肉眼ではなかなか確認できない。それはトンボのような複眼ではなく、2列の8個の単眼があるという。それぞれの機能・役割があるようだ。自然界には知らないことがまだまだ天文学的にある。(イラストは福光村昆虫記から)   

           

 その翌日、畑で白線が一本の蜘蛛を発見。こちらはキシダグモではなく、「コモリグモ」の仲間のようだ。あまりに毛深く単眼の位置がよくわからない。コモリグモはタランチュラの仲間で、1973年までは毒グモ科所属だった。しかし、毒の心配はなく、子育てに特徴があるので「子守り」グモとなって独立した。しかも、害虫を食べてくれる有益な味方でもある。なにしろ、蜘蛛研究が発展途上なのが残念。防衛費の一部を削っても予算を増やしていきたいものだ。

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戸を開けたらオニかギンか??

2023-06-14 23:24:16 | 生き物

  10時半ごろいつものように、郵便がポストに届いた音がした。なのでおもむろに、郵便を取りに玄関の戸を開けてポストへ向かう。あっと、さっきまではいなかったはずのトンボを踏みそうになる。よく見たら、黒と黄色のツートンカラーで腹側を見せて転がっている「オニヤンマ」だった。郵便屋さんが届けてくれたとしか考えられない。

    

 しかし、オニヤンマの碧眼の目玉が見当たらない。黒っぽくなった片目だけが残っていた。長さを図ったら95mmもあった。トンボ界最大級の大きなジャンボトンボだ。なにしろ、時速80kmも飛行するというつわものだ。いままで、飛行するオニヤンマを撮ろうとしてもとても無理、なかなか止まってくれない。だから、オニヤンマが飛んでいてもカメラを向けることは諦めていた。

            

 ギンヤンマはなかなか出会うことは少ないが、オニヤンマは水辺に行けば出会うことが幾たびかあった。なぜオニの名前がついたかは定説がないようだが、黒と黄色のカラーから鬼のパンツを連想するところからというのが一般的な解説だ。

            

 しかし、背中側の模様を見てみると鬼の形相が見えてくる。歌舞伎役者の「隈取」のような化粧にも見える。これは大発見と小躍りしたが、とあるサイトに同じような記述があった。残念。

   

 トンボの羽にはナノクラスの凸凹があるという。それが微風でも強風でもスムーズに飛翔できる秘訣だ。最近はその原理を使って大電力用の超小型「マイクロ風力発電」の研究もされ実用化の検討もされつつある。さらには、その羽には微細なナノ構造の突起があり、それによって細菌やカビが付いても破壊できる抗菌作用があるという。こちらはすでにエアコンに取り付けるなどの実用化段階に入っている。トンボの羽の秘密はじつに深い。

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アリはハチが進化したもの

2023-06-09 23:20:17 | 生き物

 畳に15mmくらいのでかい「クロオオアリ」が歩き回っていた。時期的に雨後の晴れた日に多数のオスアリとメスアリが「結婚飛行」をして交尾するというが、それにはずれた一匹がむなしく来たのだろうか。とにかくデカイ。日本の最大級のアリだけに迫力がある。

       

 クロオオアリの女王の寿命は10~20年で数万匹のコロニーを形成するという社会性のあるアリだ。女王が死ぬとその巣も崩壊する。寿命が1~2年の働きアリの任務も細分化されコロニー形成に大きな役割を果たして死んでいく。毒はないので無害だけど咬まれたら痛そうだ。基本的には幼虫や死骸、さらには花の蜜を集める平和主義者でもある。あまりに大きいので女王陛下のお出ましかとびっくりした次第だ。アリはハチが進化した優れ者だ。

   

 また、おとなしそうな「フタオビハバチ」らしきハチもやってきていた。「葉蜂」らしくふだんは葉を食べて成長する。蜂を見ると刺される心配があるが毒針はないハバチだ。日本には500種以上もあるだけに、同定には手こずってしまう。

      

 しかしながら、似た仲間に「ハグロフタオビドロバチ」というドロバチがいる。こちらのほうがより近いかもしれない。ハバチのほうの帯が黄色に対しこちらは帯の色が橙色というのは決定打なのだろうか。

 そのうちに、同定に迷走しているうちに「エントツドロバチ」というのに出会う。正式名は、「オオカバフスジドロバチ(大樺斑條泥蜂)」というが、覚えにくい。そういえば、わが家にはドロバチの巣がいくつもある。竹の筒に泥の巣があるときもある。そういう状況証拠からこれが最終的にはぴったりだという結論に至るが…。

 

 

   

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X字は何を意味しているのか !?

2023-05-24 23:14:14 | 生き物

 防獣柵に白い「X」字を発見した。このところ、害獣に破られてばかりの防獣ネットだったが、侵入禁止のサインという援軍なのだろうか。見事な「X」にしばらく見とれる。しかしこれは間違いなく蜘蛛の網には違いない。

           

 X状の蜘蛛の網となると、コガネグモが有名だ。それは網だけでなく、手足2本ずつ束ねて体でX状のパフォーマンスも体で表現する。その理由は謎だ、Xだ。体の模様も黒字に黄色の横線が美しい。しかし、今回発見したクモは黒字に黄色の横線ではなかった。えっ、どういうこと??

                                   

 そういえば、昨年の8月に撮ったコガネグモの雌のお尻をスクープしていた。お尻にある糸の発射管「糸いぼ」から糸を出している所を激写。レディには失礼だったがコガネグモのお尻側だ。つまり腹側の画像は図鑑に出ていないうえにネットでも極端に少ない。そのためコガネグモであることがわからなかった。

          

 白いX状の網は、「隠れ帯(オビ)」とも言われ、自分の身を隠して獲物を待つ。この白い隠れ帯は紫外線を反射するので、昆虫の目にはそれが花のように見えるという。そこで昆虫が喜んで近寄ってしまうと餌食になってしまうというわけだ。白いX状の網はかなり入念に構築していた。まさか、害獣を獲ってくれるのか、もしくは侵入禁止サインを作ってくれたのかと、勝手な妄想で心強く思ったのだった。 

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仲間が多過ぎるけど…

2023-05-10 23:18:04 | 生き物

 夜間また、ゴミムシがやってきた。今まではオオゴミムシの訪問が多かったが、今回は「オオホソクビゴミムシ」のようだ。大きさは約20mmくらい。「コホソクビゴミムシ」というのもあるようだが、こちらは9mmくらい。頭と胸が飴色でなかなか美しい。足はもも下が黒いのも特徴だ。

           

 名前の通り、首が細いの特徴のようだ。多くのゴミムシは首が見られないまま胸と直結しているのが多い気がする。言うまでもなく、ゴミムシは森の掃除屋で循環環境の旗手でもある。だから、家にいるということは、わが家が汚いということにはならない、と強調したいところだがね。

  以前には、紋が二つあるしゃれた「アトボシアオゴミムシ」も来たことがあった。ゴミムシというと黒い印象が強いが仲間にはカラフルでメタリックな模様の仲間もいる。

         

 ところで、オオホソクビゴミムシを捕まえてケースに入れていたところ、ひっくり返って元気がなくなっていた。足も一本とれてしまった。あわてて外に解放してみたが無事でいるだろうか。

 欧州では開発が進みすぎて、地表を徘徊する甲虫が少なくなっているのが問題になっているという。逆に、飛翔する小型の甲虫が多くなったという。それは日本だって、都会からゴミムシは駆逐されているのと同じだとも言える。その意味で、ゴミムシがわが家にやってくるのは、この地域の環境が豊かだという証左ではないかと胸を張ってはみるが。

   

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ルーキーは夜盗虫だった!!

2023-05-08 22:16:06 | 生き物

 桜の木にいたやや太っちょのアオムシくんはスズメガではなかった。一見した感じからスズメガと思いきやしっぽの突起が違うようだった。スズメガの幼虫だと「尾角」が針のような角だが、これはトンガリコーン型だった。改めて調べなおしたら、1996年に新種としてオオシマカラスヨトウから独立したばかりの「ナンカイカラスヨトウ」(ヤガ科)であると判明。

     

 体の脇の白線にある呼吸器官・「気門」の中心が白で回りが黒であるのが決め手だ。南方系の蛾なので、「南海・烏夜盗蛾」というわけだ。雑食の大食漢なので、あっという間に食害されるので注意が必要だ。桜のバラ科をはじめグミや果樹も好きなようだ。

 

 今年もやってきた「シロシタホタルガ」の幼虫。相変わらずポップなスタイリストだ。外敵に毒を持っていることを知らせている警告色をしているため隠れることはしない。それに、食樹の「クロミノニシゴリ」だけに来るというのが面白い。葉が柔らかいからか。近くのヒサカキも食べるらしいが見たことはない。クロミノニシゴリの成長が遅れたりするとシロシタホタルガは生存できなくなる事例もあったようだ。お互いに寄生的な関係があるのだろうか。わが畑の隣にクロミノニシゴリがたまたまあったというのが貴重だ。里山の多様性の存在を持続しなくてはならないとあらためて思う。

         

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