50歳のフランス滞在記

早期退職してパリへ。さまざまなフランス、そこに写る日本・・・日々新たな出会い。

人間「世界遺産」。

2007-08-10 00:32:16 | 美術・音楽
人間国宝って、日本にありますよね。重要無形文化財の保持者として認定された人の通称、だそうです。そのユネスコ版、ともいえそうな写真展が、パリ7区のユネスコ本部で行なわれています。



ユネスコ本部を囲む鉄柵に展示されている写真の数々。ユネスコといえば、「世界遺産」をすぐ思い起こしてしまいますが、写真に撮られているのは建築物や自然ではなく、「人間」。さまざまな土地で生きている人々の、さまざまな表情を紹介しています。



“patrimoine vivant”(生きている遺産)と紹介があるように、文化・伝統を伝える「人間」がテーマです。生きている世界遺産・・・UNESCOは、これまで民族文化財、フォークロア、口承伝統などと呼ばれてきた無形の文化を人類共通の遺産としてとらえ、保護していくことを目的に無形遺産条約を発効させ、さらに2001年から隔年で、そうした文化遺産を「人類の口承及び無形遺産の傑作の宣言」として発表しています。その中から代表的なものを今回、展示しているようです。無形文化財・・・日本が以前から行なってきた文化保護政策、それに近いとらえ方なのかもしれないですね。何しろ、1999年11月からユネスコの事務局長は日本人。しかも日本は予算の重要な拠出国。日本の視点が反映されてもしかるべきかも知れません。日本のシステムが国際機関の活動に生かされることは、日本人としてとてもうれしく思います。



前置きが長くなりました。ユネスコ版・人間世界遺産。写真を基に、興味を惹きそうなものをいくつか選んでご紹介しましょう。


(カンボジア)クメールの影絵芝居。雄大なシーン。アンコール・ワットなどの文化遺跡で上演されたら、さらに素晴らしいものになるのでは、と思えてきます。


(セネガル)一瞬、なまはげかと思いましたが、イニシエーションの儀式。アフリカでは、イニシエーションが各地で行われているようです。


(エジプト)楽器の演奏付きで、叙事詩を語っているところ。日本にも、一人完結ですが琵琶法師とかの伝統がありますね。


(イタリア)シシリー島での、マリオネットの上演です。外国勢力と勇敢に戦ったシシリーの人々を描いているのでしょうか。


(中国)昆曲。蘇州で生まれた伝統的歌劇で、京劇のルーツ。悠久の時の流れ、中国。文化的伝統も、しっかり受け継がれているようです。


(トンガ)戦士たちの踊り。地理的に近いせいか、ラグビー・ニュージーランド代表「オールブラックス」の試合前の踊りにそっくりですね。


(バルト三カ国)エストニア、ラトビア、リトアニアのバルト三カ国で、100年以上前から行なわれている民族伝統の歌と踊りのお祭りだそうです。


そして、日本からは歌舞伎。kabukiとして、国際的に有名になっています。また、能楽、人形浄瑠璃文楽も紹介され、さらに、人間国宝(Tresors nationaux vivants)という制度があるという紹介もされていました。

いかがでしたか。世界各地の、さまざまな文化とその継承。こうした人々がいてこその、伝統です。いかに伝統を守り、いかにそこから新しい文化の萌芽を生み育てていくか―――。伝統文化を守り、明日に伝える人々にはもっとスポットが当たっても良いのではないか、と思えてきます。ユネスコの活動に、拍手!! (できれば、もう少しPRを。)

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