活字の海で、アップップ

目の前を通り過ぎる膨大な量の活字の中から、心に引っかかった言葉をチョイス。
その他、音楽編、自然編も有り。

ISASメールマガジン   第233号       

2009-03-15 23:16:15 | メルマガの海
【 発行日- 09.03.10 】
タイトル   : 宇宙の電池屋ー走るー
コラムニスト : 宇宙探査工学研究系、宇宙の電池屋・曽根理嗣
                       (そね・よしつぐ)

週刊モーニングに連載している「宇宙兄弟」が、面白い。

幼い頃に、とあるエピソードをきっかけに、共に宇宙飛行士に
なろうと決意した兄弟。

年が流れ、弟はその夢を実現したが、兄はヘタレた人生を余儀なく
されている。

弟へのコンプレックス。嫉妬。
そして、それを上回る宇宙への憧れ。情熱。
そんな、自分の心の奥底の声にやっと気がついた彼は、
JAXAの宇宙飛行士募集にエントリー。
宇宙飛行士を目指す仲間たちと、あるときは諍い、あるときは
共感しながら、一つずつ試験をクリアしていく。

果たして、彼は無事宇宙飛行士になれるのか?
そして、兄弟が宇宙に出て、その夢を実現する時は訪れるのか?…

といった内容である。


この作品の中で紹介される、宇宙飛行士の資格を手にするために
設けられた試験がどれも面白い。

なるほど。
確かに狭い、プライバシーも碌に無い船内で長い時間を共有する
ことになるのだから、単に成績順だけでは駄目なんだ。
特別な篩(ふるい)が必要なんだ、ということが、よく分かる。


でも。
この本にあるように、JAXAによる宇宙飛行士募集は、現実に
行われていて、今宇宙に行った日本人の飛行士は、皆その募集に
応じて馳せ参じ、選ばれた者たちなのだ。

決して、そのこと自体、絵空事ではなく、現実に生じている出来事
なんだ。
そして、どんな夢も、諦めないでいる限りは、実現の可能性を秘めて
いるんだ。

そのことを、きちんと分からせてくれたのが、今回取り上げたコラム
である。

このコラムを書いた曽根さんは、実に熱い文章を書く人である。
既にISASのメルマガを購読するようになってから、何回か
この方のコラムを読む機会を得たが、その度に大いに笑い、かつ
感銘を受けてきた。

だが。
今回のコラムは、一味違っていた。

今回は、なぜ曽根さんがNASDA(現JAXA)に入ったのか?
その秘密が語られる。
そして、その秘密の原動力となった、曽根さんの夢も…。

曽根さんは、宇宙飛行士になりたいという夢を、ずっと胸の中に
抱いている人である。
そして、40代に突入した今も、その夢は胸の中で萎えるどころか
常に新しい燃料を補給され続けている。

勿論、人間だもの(笑)。
これまでの人生の全ての期間をかけてそうだった、という訳では
ない。
一時期は、仕事に追われ、体重も80Kgまで膨れ上がっていた
時期もあったそうな。

だが。
宇宙飛行士の募集という、たとえどんなに細い可能性でも、
その道を通過することが不可能ではないと確信できた時、
彼は人生をきちんと見据え、自らの夢に向かって人生を再構築
する。

その結果、20Kgの減量を実現。
勿論、体重の減少と反比例して、様々な知識の習得やブラッシュ
アップに努め、試験に挑み続けている。

直近の試験では、いいところまで行ったが、惜敗。涙を飲む。
だが、その試験を通じて、同じ夢を追い続ける者たちが、
どれほどいることか。そして、彼ら彼女らが、どれほど自分の
夢に真摯に向き合っているのかを知り、ますます彼はそうした
仲間と共に宇宙に行きたいという夢を募らせる。

彼が落ちた試験では、彼のNASDA入社の同期である山崎直子
宇宙飛行士が選出された。
彼が、彼女に送るエールに微塵の曇りも無い。
それは、自らも精一杯の努力を積み重ねてきたことを、誰よりも
彼自身が自信を持って誇れること。
そして、その誇りにかけて、また次のチャンスに挑もうとする
折れない心を持ち続けているからに他ならない。

自らの半生を賭けた夢を、こうしてメルマガで開示する彼の
ことを、素直に凄い!と思う。

そして、僕もまた、僕の夢に向かって頑張ろう!と、改めて
心に誓う。

いい、文章を読ませていただいた。
曽根さんの熱い気持ちを、そして、曽根さんの奥さんの言葉
(夢は諦めたときに終わる)を、僕も心の加速装置にしていこうと
思います。

ありがとう。曽根さん。


(この稿、了)




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