壺中日月

空っぽな頭で、感じたこと、気づいたことを、気ままに……

雪にやならん

2009年12月16日 23時38分56秒 | Weblog
          鳴海、出羽守氏雲宅にて
        面白し雪にやならん冬の雨     芭 蕉

 挨拶の句である。「面白し」は、冬の雨が雪に変わろうとする気配を感じとって、雪を待つ心が思わず、口をついて打ち出されたものであろう。
 「雪にやならん冬の雨」という句の拍子には、雪を待つ心のたかぶりが、おのずからあらわれていて楽しい気分になっている。
 雪を待つその心の拍子には、何か童心に似たものさえ感じられるようである。

 「氏雲」は、本名 岡島佐助、俳号 自笑。刀鍛冶。
 季語は「冬の雨」

    「この宅に、俳諧の友と会していると、冬の雨が降るうち、しだいに寒さが
     増してきた。この調子だと雪に変わるであろう。待つ間、まことに面白い
     趣であるなあ」


      寒けれどにぎりしめたき御所人形     季 己