李下が妻の悼み
被き伏す蒲団や寒き夜やすごき 芭 蕉
『新古今集』巻十九神祇歌の
夜や寒き 衣やうすき かたそぎの
ゆきあひのまより 霜やおくらん
の口調を学んだのであろうと、考えられている。
李下は、蕉門初期の門人であるが、詳しい伝はわからない。
「すごし」は、寒く冷たく、骨身にこたえるようなさびしい感じをいう語。
「蒲団」が季語で冬。これはもちろん掛け蒲団。貞徳の『俳諧御傘』によると、衾(ふすま)は、哀傷や恋に関係が深いものとして意識されたようである。この蒲団も、そういう気持ちが底にあったものであろう。「寒し」も冬の季語である。
「李下が、連れ添った妻を喪(うしな)って、かなしみに沈んでいる。李下にとって、今は
独り寝のひきかぶって伏している蒲団が、寒く感ぜられているだろうか、それとも、この
夜ごろの寂しさが身に沁みているだろうか。寒さ、すごさ相まって、妻を喪うた悲嘆をい
よいよ深刻なものとしていることであろう」
底冷えや母の座椅子のきしきしと 季 己
被き伏す蒲団や寒き夜やすごき 芭 蕉
『新古今集』巻十九神祇歌の
夜や寒き 衣やうすき かたそぎの
ゆきあひのまより 霜やおくらん
の口調を学んだのであろうと、考えられている。
李下は、蕉門初期の門人であるが、詳しい伝はわからない。
「すごし」は、寒く冷たく、骨身にこたえるようなさびしい感じをいう語。
「蒲団」が季語で冬。これはもちろん掛け蒲団。貞徳の『俳諧御傘』によると、衾(ふすま)は、哀傷や恋に関係が深いものとして意識されたようである。この蒲団も、そういう気持ちが底にあったものであろう。「寒し」も冬の季語である。
「李下が、連れ添った妻を喪(うしな)って、かなしみに沈んでいる。李下にとって、今は
独り寝のひきかぶって伏している蒲団が、寒く感ぜられているだろうか、それとも、この
夜ごろの寂しさが身に沁みているだろうか。寒さ、すごさ相まって、妻を喪うた悲嘆をい
よいよ深刻なものとしていることであろう」
底冷えや母の座椅子のきしきしと 季 己