壺中日月

空っぽな頭で、感じたこと、気づいたことを、気ままに……

サントリー美術館

2007年12月26日 10時58分52秒 | Weblog
 六本木・東京ミッドタウン内のサントリー美術館で、至福のひと時を過ごした。
 通常、火曜日は休館なのだが、今日は[メンバーズ内覧会]ということで、特別に会員のみ、13時30分~15時30分の間だけ入館できる仕組みだ。
 開館から閉館までの二時間、じっくりと、「和モード 日本女性、華やぎの装い」展にひたることができた。
 この日、訪れた会員は、5~60名ほどだったので、好きな作品の前で立ち止まり、心ゆくまで鑑賞できた。ありがたい好企画である。

 サントリー美術館の会員種別は四つあるが、個人では、私も入っている、年会費7,000円の[レギュラー会員]が、おすすめ。主な特典は、
 ① 会員証の提示で、本人と同伴1名まで、展覧会期中、何度でも入館できる。
 ② イヤホンガイド(1台=500円)が、無料で利用できる。
 ③ 展覧会ごとに美術館ニュース(年6回発行)が、送付される。
 ④ 展覧会ごとに1回、通常休館時に行われるメンバーズ内覧会(学芸員の展示解説付き)に、同伴1名まで参加できる。
 ⑤ 図録が10%割引にて購入できる。
 ⑥ ショップでの買い物が、10%割引となる。
 などなどである。
 会期中に何度も足を運ぶ私には、経済的に大助かりである。
 先日終了したばかりの、「鳥獣戯画がやってきた」展には、4回行って、図録も購入しているので、これだけで年会費の元は取れたことになる。
 が、何よりありがたいのは、会員証の提示で即、入館できることだ。
 「鳥獣戯画」展の際にも、40分待ちの行列ができていたが、並ぶことなく、すぐに入れた。並んでいる人たちには申し訳なかったが、「会員になっていてよかった」と、しみじみ思った。

 さて、「和モード」展であるが、
  第1章  小袖の和モード
  第2章  描かれた和モード
  第3章  化粧と嗜みの和モード
  第4章  髪形と髪飾りの和モード
  第5章  文明開化と近代の和モード
 の、5つに分けて、作品が展示されている。

 美術愛好家としては、「描かれた和モード」が最も楽しめた。
 江戸時代の邸内遊楽図や美人図、浮世絵などには、華やかな多くの女性の姿を見ることができる。絵画に描かれた女性の装いを追いながら、小袖や髪形、髪飾りの変遷も、興味深く見られる。
 「髪形と髪飾りの和モード」は、“光頭無毛”?の私にもけっこう楽しめた。

 クリスマスにちなみ、和モード展と同時に、サントリー美術館所蔵の《花鳥螺鈿蒔絵聖がん》の聖母マリアと幼児キリスト像が出ているのが、うれしい。
 この像に、同館蔵の《秋冬花鳥図屏風》を取り合わせているが、これは少々、こじつけに感じられる。
 「雪の積もった松や檜、槙の木が描かれており、松の下には赤い花をつけた椿が、地面には赤い実をつけた藪柑子も見えます。常緑樹の緑と、椿や藪柑子の赤はまさにクリス・マスカラー。雪の積もる松をクリスマス・ツリーに見立てた取り合わせです」と、解説にはあるのだが……。

 クリスマス・ツリーに用いられる樅にも、日本の正月の門松にも、背景には、冬の寒さにも衰えない常緑樹の生命力を尊ぶ信仰があるのだと知り、感動を覚えた。

 帰りに、東京ミッドタウン内のイベントホールで、CANTUS(カントゥス)のイノセントな響きの、エーデルワイスやクリスマス・ソングのメドレーを聴いた。
 CANTUSというのは、グレゴリオ聖歌やミサ曲などから、現代音楽まで、ふだん聞かれることの少ない合唱曲を、無伴奏で歌う、20代の女性8人で構成されている合唱隊。
 今日は、メンバー8人のうち5人の出演であったが、まっさらな歌声は、クリスマスの夕べの大気を輝かせ、聴く者の心を解放し、無にしてくれた。

 眼と耳とで、十二分にクリスマスを楽しんだ一日であった。


 ※ これは昨日、12月25日のものです。昨晩、投稿に失敗して、消失してしまったため、今朝、あらためて書き直しました。