壺中日月

空っぽな頭で、感じたこと、気づいたことを、気ままに……

そぞろ

2011年04月13日 21時11分10秒 | Weblog
        盛ぢや花にそぞろ浮法師ぬめり妻     芭 蕉

 花盛りの江戸の繁盛を、当時の流行語を用いて、当世風に仕立てた句。出典の『東日記』よりみて、延宝九年(1681)ごろの作。それにしても、七・八・五の字余りで、調べはよくない。

 「そぞろ(坐)」は、何となく心のすすむさま。
 「浮法師」は、浮かれたった法師。
 「ぬめり妻」は、色恋などに浮かれた人妻。「ぬめる」は江戸初期の語で、ぬらぬらするとか、なまめく、色恋に浮かれる、などの意に用いる。

 季語は「花」で春。

    「まことに世は、いま花の盛りだわい。ひごろ人中に出て立ち交わらぬ法師や、
     家に閉じこもりがちなつつましい人妻までも、つい浮かれ出して、浮法師や
     ぬめり妻というべき姿となって、心もそぞろのさまであることよ」


      桜人ときにとびだす中国語     季 己