東武吟行のころ、美濃路より
李由が許へ文のおとづれに
昼顔に昼寝せうもの床の山 芭 蕉
李由(りゆう)へのたよりで、近くの歌枕 床(とこ)の山の縁で、「昼寝せうもの」と発想し、「昼顔」・「昼寝」と音を重ねて興じているわけである。
「東武」は、武蔵またはその東部の称。また、江戸の別称でもある。
「吟行(ぎんこう)」は、作句・作歌などのため、同好者が野外や名所旧跡に出かけて行くこと。
「床の山」は、いま問題の床山ではなく、滋賀県犬上郡にある歌枕「鳥籠(とこ)山」のこと。
「李由」は、滋賀県彦根にある光明遍照寺(明照寺)の住職。
季語は「昼顔」で夏。「昼寝」は、現在では夏の季語であるが、当時はまだ季語として意識されていなかったようである。貞享五年六月七日の作と考えられる。
「床の山に近い、あなたのおられる明照寺の庭には、いまごろは昼顔がさだめし
盛りだと思われます。その昼顔を見ながら、ゆっくり昼寝などしたいものですが、
お立ち寄りできなくて、とても残念です」
板橋は滝の雨とよ夏ゆふべ 季 己
李由が許へ文のおとづれに
昼顔に昼寝せうもの床の山 芭 蕉
李由(りゆう)へのたよりで、近くの歌枕 床(とこ)の山の縁で、「昼寝せうもの」と発想し、「昼顔」・「昼寝」と音を重ねて興じているわけである。
「東武」は、武蔵またはその東部の称。また、江戸の別称でもある。
「吟行(ぎんこう)」は、作句・作歌などのため、同好者が野外や名所旧跡に出かけて行くこと。
「床の山」は、いま問題の床山ではなく、滋賀県犬上郡にある歌枕「鳥籠(とこ)山」のこと。
「李由」は、滋賀県彦根にある光明遍照寺(明照寺)の住職。
季語は「昼顔」で夏。「昼寝」は、現在では夏の季語であるが、当時はまだ季語として意識されていなかったようである。貞享五年六月七日の作と考えられる。
「床の山に近い、あなたのおられる明照寺の庭には、いまごろは昼顔がさだめし
盛りだと思われます。その昼顔を見ながら、ゆっくり昼寝などしたいものですが、
お立ち寄りできなくて、とても残念です」
板橋は滝の雨とよ夏ゆふべ 季 己