猫 周公のコラム

スケッチとエッセイ

NHK「三つの歌」の再放送に拍手

2007年04月29日 | Weblog
いつもNHKの「ラジオ深夜便」を聴きながら眠ってしまうのだが、夕べはそうではなかった。
昭和28年に実況放送した「三つの歌」をカットせずそのまま放送していた。

このアイデアは実に素晴らしいと思った。
一言で言えば、どんな歴史本よりもリアルに時代を感じさせるものだった。

今の時代の中に生きている我々は、今の時代はどんな時代であるかがわかり難いのである。
当時の生の現実を放送で聴いてみると、「自分はこんな時代の中にいるんだ」と言うことがよくわかる。
そして、今の時代の社会風潮がいかに荒れてきているかがよくわかったのである。

この放送は54年前に宮田輝さんの司会で放送された、人気番組だ。
天地真佐雄さんのピアノに合わせて、歌詞を思い出しながら参加者に三曲歌ってもらうのである。

先ず気がつくことは、この時代の言葉は実に丁寧であったことだ。
宮田輝さんもそうだが、一般の参加者の言葉も「ございます」言葉である。
戦災後の復興期であったが時の流れが実にゆっくりしていたのであろうか?

そして、今の時代はいかに長寿社会になってきているのかが実感できた。
この時代の平均寿命は男が63歳で女は67歳であった。
放送の中で、参加者の年齢を尋ねるのだが、「59歳です」と答えると、司会者は「お元気そうで何よりです」と言っていた。
この時代は59歳となれば、もう老人に見られていたのではないかと想像する。
事実、自分の子供の時代は、確か定年は55歳くらいであり、60歳と言うとかなりの年寄りに見えた。
年寄りの概念が、明らかに10歳は若返っていると思った。

そして、この時代は娯楽が少なかったせいなのか、会場が盛り上がり(歌詞を忘れた出演者を)皆で助けてやろうという、会場に一体感が流れていた様子がよくわかった。
悪い意味での「現代の個人主義の行き過ぎ」を大いに反省させられた。

「ラジオ深夜便」でのアイデアは、かなりインパクトが強くいい番組であった。


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