猫 周公のコラム

スケッチとエッセイ

蒐集家 山本發次郎さんの魅力

2007年03月05日 | Weblog
日経新聞・日曜日の「美の美」で「蒐集もまた創作なり」という言葉を残した”山本發次郎”が取り上げられている。

「山本發次郎は’物を言う蒐集家だった’。その芸術論の根底にあるものは、世俗的な一切の権威を認めず、技巧を否定し、純粋無垢な自己表現の賜としての”天上超脱”の世界だった」と書いてある。

佐伯祐三の絵を日本では最初に評価し「最も真剣な作品を残した世界的画家である」と言って佐伯をたたえてやまなかった。
また、モディリアーニの裸婦像を「大胆不敵な美しさ」に魅了され、美術評論家でコレクターの福島繁太郎よりかなり強引に手に入れたようだ。

白隠についても「彼の絵は全然技巧を無視し、一切の外物にとらわれない、実にずぶとく傍若無人のもの」「人間の知能や常識を無視した不適美の表れ」と言っており「不適美」と言う言葉は山發さんの造語だ。

彼はまた、書家についてこんな言葉を残している「絵でも、腕で描くのではなくて心で描く白隠や千のものは、皆若きはそれほどでなくて、七十歳八十歳の晩年書きになるほど、気品が高くなっております」「大書家は例外なく、幼児からの不器用者であって、そうしてしかも三十歳や四十歳の若さでは、なかなかの偉い人でも大してよい字は書いておりません」

日経新聞を通じて「山發さん」に出会えたのは実にありがたい。


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