


故事成語類(実践問題その30)です。引き続き、「世説新語」から・・・。参考書籍:「世説新語(1~5)」(井波律子 訳注 東洋文庫・平凡社) *今回は読み・書きの難易度がかなり異なります*
難易度:よみ=易(準1レベル) 書き問題は実践問題30回目を記念して(^^;)
かき= きわめて難×2 (漢字そのものは難ではない)
です。どうぞトライしてみてください。
(よみ)
①「諸葛亮の渭浜に (次) るや、関中震動す・・・」
②「本の弟 騫、行きて還り、 (径) ち に入りて堂戸に至る・・・」
③「必ず大夏門の下で馬を (盤) らさん・・・」
④「我が父祖、名は海内に (播) く・・・」
⑤「王敦は既に下り、船を石頭に (住) め 、明帝を廃するの意あらんと欲す・・・」
(かき)
①「陽(よう)消すれば陰(いん)息す。故に天歩屯蹇(ちゅんけん)し、 (ヒハク) 象を成す。」
②「・・・丞相因って覚め、顧に謂いて曰く、「此の子は (ケイショウ) 特達、機警にして鋒有り」と。
③王子敬、病篤し。道家は上章して応に (シュカ) すべし。子敬に問う、「由来何の異同得失有りや」と。シュカ:道教(ここでは天師道)のしきたりで、懺悔をすることをいう。
④「我れ、任を方州に受くるを以て、我れ昔時の意を (カツヘイ) すと云う勿かれ・・・」(注):むなしくする、忘れる 意
⑤謝万は豫洲都督と作(な)り、新たに拝して、西に之かんとするに当たり、都邑 相い送りて日を累ね、謝は疲頓す。是こに於いて高侍中往(ゆ)き、径ちに謝の坐に就き、因って問う、「卿は今 節を方州に杖(よ)り、西蕃(せいばん)を (キョウリ) するに当たって、何を以て政(まつりごと)を為さん」と。・・・ (注)節を方州に杖(よ)る:一州の刺史、すなわち一方の長官となること。 西蕃:西藩。ここでは謝万の赴任する豫洲を指す。
<回答・解説>はこのあとすぐ(^^)


<回答・解説>
(読み問題)
① (やど) :次:小学…ジ、つぎ、つ(ぐ)中学…シ 準1…やど(る)、つい(ず) *「旅次」(旅の宿り、旅宿、また、道中。)とかの「次」は「やどる」意なんですね。
② (ただ) :小学…ケイ 準1…みち、こみち、さしわたし、ただ(ちに) *関連音熟語「径行」(けいこう) ← よく間違えるのが「直情怪行」の「怪行」(かいこう)
③ (めぐ) :中学…バン 準1…ハン、おおざら、めぐ(る)、ま(がる)、わだかま(る)
④ (し) :ハ、バン、ま(く)、し(く)、さすら(う) *うっかり焦ると「種を播く」の「まく」となってしまう?(^^)
⑤ (とど) :小学…ジュウ、す(む)、す(まう) 準1…とど(まる)
(書き問題)
① (否剥) :否・剥・屯・蹇は、すべて「易」の卦のこと。「屯・蹇」はとどこおり困難な状態をさす。「否・剥」は陰が陽を圧倒する形で、小人がのさばり賢者が志を得ない乱世をいう。陰陽道や卦に通じていないと、こりゃ解けないですねえ(^^;)でも「屯蹇」は過去、たしか読み問題で出た から、その時、奥深く勉強していた人は回答できたかも・・・。 屯:中学…トン 準1…チュン、たむろ、なや(む) 蹇:ケン、なえ(ぐ)、なや(む)、と(まる)、おご(る)、かたくな、ま(がる)
② (珪璋) :知っているかどうかですね。知らなければ全然出てこない語句ですね。「珪」は先の尖った玉、「璋」は珪を半分に切ったもの。「礼記」に「珪璋特達するは徳也」とあり、ずばぬけてすぐれたことをいう。礼記の文言と一緒に覚えておいたほうが良いですね、なんか、出そうな感じ?(^^)? 機警:機敏。素早く察すること。
③ (首過) :罪を懺悔すること。(参考)道教の教団の制度は2世紀頃の太平道に始まる。張角が立ち上げた宗教集団が太平道。実際の活動は「首過」 (天や鬼神への懺悔)や「符水」 (符を入れた水を飲む)などで病を癒すようなものだったが、後漢末期の不安定な時代に多くの信者を集め、やがて軍隊のような組織化を成した。そのため政府から弾圧を受けたが、184年ついに蜂起、これが黄巾の乱である。
④ (豁平) :問題(注)のとおり。 広辞苑にもネットにもなし・・・「字通」にもありませんでした。大漢和は未調査。
⑤ (疆理) :これは今回の書き問題の中では一番易しいかも・・・(^^)。「疆」の字は「封疆」で前回出題しましたね。この「疆理」は、その地域を統治するという意味のようですが、もともとは詩経の「我疆(きょう)し我理(り)し 其の畝(うね)を南東にす」(土地の区画を定め、地理の宜しきに従って治めて、畝を東西にも南北にもして、田地として開墾した。:詩経・小雅・信南山)が語源・出典みたいです。また、「先王の天下を疆理するは、物ごと土の宜をして其の利を布けり。疆は、界なり。理は、正すなり。物ごと土の宜とは、播殖の物、各々土宜に從うなり」ともあるようです。「疆理」という語句はあまり使われていないようですが、ネットでは、
「混一疆理歴代国都之図(こんいつきょうりれきだいこくとのず):略称疆理図(きょうりず) 」(1402年に李氏朝鮮で作られた地図。名称は「歴史上の首都一覧図」を意味する。)
疆理図(と同じか)
「・・・其の畝を疆理し、吏をしてこれを治めしむ・・・」(畝を疆理したとは薩摩藩が琉球で検地を行なったことを指す)
宋の程公説の「春秋分記(九十巻)」の中で構成された、「年表」「世譜」「名譜」「書(二十六巻)」「周天王事」「魯事」「大国世本」「次国」「小国」「附録」中、「書」の所で、暦法・天文・五行・疆理・礼楽・征伐・職官の七門に分けたものの中の「疆理」があるぐらいです・・・ほぼ同じような意味と思われます。なお、「疲頓(ひとん)」:疲労困憊する意・・・こっちの熟語も覚えておいたほうが良いですね
如何でしたか?書き問題は漢字一語一語は簡単でも、熟語の意味そのものがわからないと解けない問題が多かったと思います。
ではまた👋👋👋 たまに超難問で頭をリフレッシュしてみましょう(^^)また、作成してみます。
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