「どこかの国の大臣が「女性は産む機械だ」と発言した」
と どこかの国のマスコミが騒ぎ
どこかの国の議員さんが「やめろやめろ」と大合唱
私は大臣さんにもマスコミさんにも議員さんにも
含むところはないので
できるだけ客観的に考察してみようと思う
まず発言の全文を確認しなくてはなるまい
この大臣さんは少子化対策を担当しており
人口の現況についての話のなかで
|特に、2030年にたとえば30歳になる人を考えると
|今、7,8歳になってなきゃいけない。
|生まれちゃってるんですよ、もう、
|あとは生む機械と言っちゃなになんだけど、
|装置の数が決まっちゃった ってことになると、
|機械っていっちゃ申し訳ないんだけど、
|機械って言ってごめんなさいね、
|あとは生む役目のひとが、一人頭でがんばって
|もらうしかない。
|2030年はもう勝負は決まっていると
|よく役人に言われる
という発言をした。
「女性は産む機械だ」と直接は言っていないねぇ
彼の言いたいことは
「2030年に子供を生める人の数は既に決まっている」
ということだ
それが、こんな大騒ぎになったわけを考える
①マスコミの事大主義
前述の発言を
「大臣は女性のことを『産む機械』だと発言した」
と報道する姿勢は明らかにセンセーショナリズムだろう
文意をまとめる能力が無かっただけだとしたら
それはそれで問題だ
「視聴率を稼ぐためなら遣らせも捏造もかまわない
まして誇張することや
都合のいい所だけ使う事なんて捏造とは言わない」
というマスコミの姿勢がここにも出てきている
②比喩に対する狭量さ
比喩表現として人間を機械にたとえることが
それほどいけないことだとは私には思えない
「男は種出し機械だ」
「お前は役に立たない種出し機だね」
別に腹は立たない
「いい例えじゃないな」と思うだけだ
パスカルは「人間は考える葦」だと言った
筒井康隆は「人間は歩く糞袋」だと書いた
比喩表現に狭量になるのは
ただのことば狩りである
③議員さんはどこに怒っているのか
特に議員さん達を見て思うのは
彼女らは機械だという発言に怒っているのではない
「機械」発言無しに
「女性が子供を頑張って産まないと少子化になる」
と言われても、やっぱり怒っていたのではないか
女性が子供を頑張って産まないと少子化になる
というのも当然の話で
男が子供を産めない以上
女が子供を2人以上産まないと
算術的に人口は減るばかりなのだ
だが彼女らは出産について非常に敏感に反応する
女は不可侵な存在になりつつある
問題や創価学会の問題に似てきた
マスコミは女性を腫れ物に触るように扱わねばならない
↑
これも「女性をデキモノ扱い」したことになるのだろうか
議員さん達がヒステリックに騒げば騒ぐほど
女性の品位が地に落ちていくようで悲しい
こんな騒ぎの間に
肝心の少子化の問題が
議論されずに時が過ぎて行くことが残念だ
勿論、もしかすると少子化というのは
議論や対策なんて必要ない
必然的なものなのかもしれないけれど・・・
さて本の紹介をせねば
思慮の足りない大臣さんや
ヒステリックな議員さんにも
読んでもらいたい
チグリスとユーフラテス〈上〉
価格:¥ 720(税込)
発売日:2002-05
チグリスとユーフラテス〈下〉
価格:¥ 600(税込)
発売日:2002-05
文庫判も出てたのね・・・
チグリスとユーフラテスは
宇宙港を舞う蛍の名前であって
古代史の話ではない
1999年の日本SF大賞を受賞している
あらすじは詳しく述べない
原因不明の不妊症のために
滅び行く植民星の年代記である
滅びの約束された世界で子を産むことに対して
一人一人の女性が
それぞれの形で苦しみ足掻く姿
人類の最後に生まれた子供の苦悩と
それを叱りとばして救ってくれる女性
「レイディ」の目覚め
ああ
新井素子だ
誤読を恐れずに言えば
このお話は
作者が「自分の不妊」という無念を
自分への鎮魂歌として
更には全ての女性/人類への鎮魂歌として
昇華させた作品である
文体に好き嫌いはあるだろうが
私はラストシーンを泣きながら読んだ
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