「サンタ、マグノリア、
枝にいっぱいひかるはなんぞ。」
向う側の子が答えました。
「天に飛びたつ銀の鳩。」
こちらの子が又うたいました。
「セント、マグノリア、
枝にいっぱいひかるはなんぞ。」
「天からおりた天の鳩。」
諒安はしずかに進んで行きました。
「マグノリアの木は寂静印です。ここはどこですか。」
「私たちにはわかりません。」一人の子がつつましく賢こそうな眼をあげながら答えました。
「そうです、マグノリアの木は寂静印です。」
強いはっきりした声が諒安のうしろでしました。諒安は急いでふり向きました。子供らと同じなりをした丁度諒安と同じくらいの人がまっすぐに立ってわらっていました。
「あなたですか、さっきから霧の中やらでお歌いになった方は。」
「ええ、私です。又あなたです。なぜなら私というものも又あなたが感じているのですから。」
「そうです、ありがとう、私です、又あなたです。なぜなら私というものも又あなたの中にあるのですから。」
宮澤賢治の「マグノリアの木」の一節だが
・・・なんという禅問答
そういえば夢枕獏が賢治をモチーフにした小説の中で
こんな問答を何ページにも渡って繰り広げていたっけ
上弦の月を喰べる獅子〈上〉 (ハヤカワ文庫JA)
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発売日:1995-04
なぜこんな引用をはじめたかというと
学校の「マグノリアの木」が咲いていたからだ
ハクモクレンだ
マグノリア属の植物はコブシ・モクレン・ハクモクレン・・・
賢治のマグノリアの木はコブシだという定説だが・・・
気温が上がるにつれて大きく開く
セントマグノリア 天からおりた天の雀