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〈七一一 水汲み〉

七一一     水汲み     一九二六、五、一五、
   ぎっしり生えたち萓の芽だ
   紅くひかって
   仲間同志に影をおとし
   上をあるけば距離のしれない敷物のやうに
   うるうるひろがるち萓の芽だ
      ……水を汲んで砂へかけて……
   つめたい風の海蛇が
   もう幾脈も幾脈も
   野ばらの藪をすり抜けて
   川をななめに溯って行く
      ……水を汲んで砂へかけて……
   向ふ岸には
   蒼い衣のヨハネが下りて
   すぎなの胞子をあつめてゐる
      ……水を汲んで砂へかけて……
   岸までくれば
   またあたらしいサーペント
      ……水を汲んで水を汲んで……
   遠くの雲が幾ローフかの
   麺麭にかはって売られるころだ
              <『校本宮澤賢治全集第四巻』(筑摩書房)より>
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《鈴木 守著作案内》
◇ この度、拙著『「涙ヲ流サナカッタ」賢治の悔い』(定価 500円、税込)が出来しました。
 本書は『宮沢賢治イーハトーブ館』にて販売しております。
 あるいは、次の方法でもご購入いただけます。
 まず、葉書か電話にて下記にその旨をご連絡していただければ最初に本書を郵送いたします。到着後、その代金として500円、送料180円、計680円分の郵便切手をお送り下さい。
       〒025-0068 岩手県花巻市下幅21-11 鈴木 守    電話 0198-24-9813
 なお、既刊『羅須地人協会の真実―賢治昭和二年の上京―』、『宮澤賢治と高瀬露』につきましても同様ですが、こちらの場合はそれぞれ1,000円分(送料込)の郵便切手をお送り下さい。

『賢治と一緒に暮らした男-千葉恭を尋ねて-』   ☆『羅須地人協会の真実-賢治昭和2年の上京-』   ☆『羅須地人協会の終焉-その真実-』

『「涙ヲ流サナカッタ」賢治の悔い』            ☆『宮澤賢治と高瀬露』(上田哲との共著)

◇ 拙ブログ〝検証「羅須地人協会時代」〟において、各書の中身そのままで掲載をしています。
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