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〔馬が一疋〕

賢治が封印した詩稿群(「第三集 詩稿補遺」分)
    〔馬が一疋〕
   
   馬が一疋
   米を一駄大じにつけて
   ひかって浅い吹雪の川を
   せいいっぱいにあるいてくる
   ひともやっぱり
   十本ばかりの松の林をうしろにしょって
   下ばかり見てとぼとぼくる
   駒頭から台へかけて、
   草場も林も
   山は一列まっ白だ
   上ではそらが青じろく晴れて
   マイナスのシロッコともいふやうな
   乾いてつめたい風を
   まっかうから吹きつければ
   その青びかるそらが、
   つい敵といふ気にもなる
   傘のかたちの林をしょって
   五十駄の収穫が六十駄になっても
   かくべつくらしは楽にならないと
   あきらめたやうなわらひを
   蓮華の花びらの形の唇にうかべ
   しづかに吹雪をわたってくる
   馬の髪はばしゃばしゃ
   びっしょり汗をかきながら
   吹雪に吹かれてあるいてゐるのだ

     <『校本宮澤賢治全集第四巻』(筑摩書房)>

《鈴木 守著作案内》
◇ この度、拙著『「涙ヲ流サナカッタ」賢治の悔い』(定価 500円、税込)が出来しました。
 本書は『宮沢賢治イーハトーブ館』にて販売しております。
 あるいは、次の方法でもご購入いただけます。
 まず、葉書か電話にて下記にその旨をご連絡していただければ最初に本書を郵送いたします。到着後、その代金として500円、送料180円、計680円分の郵便切手をお送り下さい。
       〒025-0068 岩手県花巻市下幅21-11 鈴木 守    電話 0198-24-9813
 なお、既刊『羅須地人協会の真実―賢治昭和二年の上京―』、『宮澤賢治と高瀬露』につきましても同様ですが、こちらの場合はそれぞれ1,000円分(送料込)の郵便切手をお送り下さい。

『賢治と一緒に暮らした男-千葉恭を尋ねて-』   ☆『羅須地人協会の真実-賢治昭和2年の上京-』   ☆『羅須地人協会の終焉-その真実-』

『「涙ヲ流サナカッタ」賢治の悔い』            ☆『宮澤賢治と高瀬露』(上田哲との共著)

◇ 拙ブログ〝検証「羅須地人協会時代」〟において、各書の中身そのままで掲載をしています。
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