すんけい ぶろぐ

雑感や書評など

松尾スズキ「恋の門」

2005-07-31 09:12:04 | 映画評
原作のあつさ(あつくるしさ)は、半減しております


「恋の門」の漫画を全て読み通したので、今度は映画を見てみました。

ストーリーは、原作をシャッフルして、再構成されていました。
大事なエピソードは、レイプ以外は盛りこまれていて、だいたい忠実。
ちょっとだけ、映画独特の味付けがされていましたが、まぁ、原作のファンであれば、楽しめる程度の逸脱なのでは?

が、映画単体で見た人は、ぎっしりもりだくさんで、困惑するかもなぁ。


画面は、漫画が「ヌッ」としていたのに対して、映画は「シャッ」という感じ。
ようは、ちょっとオシャレになっています。

蒼木の石だらけの小汚い部屋も、映画では生活臭をわざと描かず、いかにも「物語の部屋」という映りになっています。住みたい、とは思わずとも、「行ってみたい」くらいのレベルになっています。

ストーリーをただなぞるだけでは、存外オーソドックスな(古臭い)映画になったでしょうから、画面を個性的にしたのは、一つの方法だったのでしょうねぇ。

オシャレな雰囲気になってしまったのは、苦手な人は苦手でしょうけど。(と言っても、「世界の終わりという名の雑貨店」みたいな、空虚なオシャレ感は皆無です)


それよりも、なによりも、この映画は、無駄に豪華なキャストだな。

メインよりも端役がね。
庵野秀明、安野モヨコ、三池崇史、山本直樹、内田春菊、しりあがり寿、等々。セリフもないような登場人物に、中堅以上大御所未満の人間を、ゴロゴロ使っているよ。

そういうのが好きな人は、ニヤニヤして見れると思います。


肝心の松田龍平と酒井若菜の方は、まぁ、こんなもんか、と。

松田龍平も、「御法度」で見たときは、
「顔が良くて松田優作の息子というだけで、映画に引っ張ってきて、これから、こいつをどうするつもりなんだ?」
という感想しか抱けないものでしたが、「恋の門」では、まずまず俳優をしています。

原作のテイストを活かすとすれば、酒井若菜だと、美貌がちょっと足りないような…………気もしますが、ぶっとんだ演技ができる適度に美人(と言われている)女優を探そうとすると、まぁベストなのかな。
胸の谷間を、ちょくちょく見せてくれるので、そこらへんも楽しめるかと。


という感じ。
まぁ原作を裏切ることはない仕上がりになっているのでは?


漫画の感想。
羽生生純「恋の門 ハンディ版 (1)」なつかしいなぁ、「ペーゲー」
羽生生純「恋の門 ハンディ版 (2)」夫婦喧嘩は犬も……
羽生生純「恋の門 ハンディ版 (3)」父、登場。
羽生生純「恋の門 ハンディ版 (4)」芸術は爆発だぁ!
羽生生純「恋の門 ハンディ版 (5)」「この作品の存在そのものが芸術たり得ている」かぁ…………
羽生生純「恋の門 ハンディ版 (6)」田嶋陽子がなんと言おうと、普通の女性は白馬の王子様を待っているのでしょうか?


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