すんけい ぶろぐ

雑感や書評など

羽生生純「恋の門 ハンディ版 (1)」

2005-06-28 08:43:52 | 書評
なつかしいなぁ、「ペーゲー」


ネットを散策していると、ときおりコスプレした女性を見かけたりします。
時には体型や年齢を超えて、性別すら無理をしているコスプレがさらし者になっていることもありますが、たいていはけっこう綺麗なお嬢さんが、なかなか綺麗に撮れていることが多いです。

で、けっこう過激だったりします。

「明らかに男性の劣情に訴えるような服を、無料(ボランティア)で着ているのは、女性として楽しいのだろうか?」
と思ったりしますが、どうなんですかね。

パンツが見えない程度にスカートを短くするのと、同じ感覚なのでしょうか?


で、以前から気になっていた「恋の門」を手にしてみました。

うーーーーん、濃い。


ストーリーは自称・漫画芸術家の蒼木門(あおき もん)と、コスプレ大好きOLの証恋乃(あかし こいの)が繰り広げる愛の物語。

だから「恋の門」(恋乃門)です。(で、主題は、「あおきあかし」=「青春」ということなのか?)


ちょっとした設定の紹介で分かる通り、二人は漫画を中心にして、ちょうど対極に位置しております。

蒼木門は自分の漫画を、こう評しています。
俺の漫画は目で読むだけじゃ駄目だ
石の配列で読み
重さで読み
手触りで読むんだ
羽生生純「恋の門 ハンディ版 (1)」79頁 Beam comix
で、その漫画を初めて見た証恋乃は、こう内心で独白します。
これは… 人は必ず死ぬって事と同じくらい
この作品は決して本にはならない……
羽生生純「恋の門 ハンディ版 (1)」74頁 Beam comix
紙に石が張ってありますからね。印刷のしようが、ないです。

つまりは世人の理解を越えた、商業主義とは無縁の漫画をつくる男・蒼木門。


対して、女性はコスプレ好き。
同人誌をつくり、それで一千万を超える収益をあげている。
おそらくは、カリスマコスプレイヤー。

でありながら、会社では普通のOLをする如才のなさがある。
社会に迎合しながらも、自分の趣味を巧みに享受している。

つまりは世間に取り入り、商業主義にどっぷりとつかった漫画を楽しんでいる女・証恋乃。


そんな二人の、けったいなラブストーリーです。

けれども、意外とストーリー自体は、ありがち。

出勤途中で偶然に知り合ってしまうところや、会社でバカ正直に啖呵を切った男に女が興味を抱くところや、恋乃に憧れるブス・デブのストーカーを蒼木が助けるところや、初体験に失敗してしまうところとか、そのショックで旅に出てしまうところ…………等々。

要素を抜き出すと、そんなに目新しいところはないのですが、その独特の絵柄から発せられる(スクリーントーン皆無)全体の雰囲気は、物語を、微妙な方向に盛り上げてくれます。

こんな絵。

久しぶりに次巻が気になる漫画です。


恋の門 ハンディ版 (1)

エンターブレイン

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