すんけい ぶろぐ

雑感や書評など

本宮ひろ志「サラリーマン金太郎 (30)」

2005-07-17 08:30:17 | 書評
ついに終幕


前回までの粗筋。

凶弾に倒れたヤマト前会長からの手紙には、「金太郎 お前は日本の元気だ」と書かれたありました。
それを見た金太郎は、ついに東京でサラリーマンに復帰することに決めます。

で、日本人を元気にするために選んだ仕事は、ヤマトへの復帰ではなく、コンドームの訪問販売員。
まぁ、確かに日本を元気にする代物かもしれませんね……………。


そんなこんなで、ついにファイナルの「サラリーマン金太郎 (30)」。

日本を元気にするため、次に選んだ職場は、総合商社です。

金太郎は、商社について、以下のように語っておられます。
商社の利益率は1~2%だ!!
そんな利益なら何もしないで
アメリカの国債でも買っておけばいい…
それなのに なぜ懸命に仕事をするのか!?
日本経済の潤滑油としての使命感だ!!
極論を言えば商社は社会資本のひとつだ!!
その自負だ!!
本宮ひろ志「サラリーマン金太郎 (30)」91~92頁 ヤングジャンプ・コミックス

その社会の潤滑油である商社で金太郎が画策したのは、建設作業の請負業。

で、直ぐに官僚から法律違反だと横槍が入ります。

もちろん、いつもの「ドリャー」調で反論です。
労働派遣法4条だとォ…
だからどうした…
こっちゃあなあ
てめえら役人がやるんだか やらねえんだか 先延ばししてんのをだァ
のんびり待っている程 時間の余裕はねえんだよ!!
本宮ひろ志「サラリーマン金太郎 (30)」166頁 ヤングジャンプ・コミックス

以前も書きましたが、「作者としては、金太郎を通じて、常に国家(さらには国境のない全世界)を射程に入れた一個人の創出を企んでい」るようです。
その実践の場としては、建設業の枠では収まらなくなり、商社が必要だったんでしょうね。(「サラリーマン金太郎」の連載終了後には「悪党」という政治漫画を書こうとしていたなぁ。挫折したみたいだが)

で、ついには金太郎の主張に対して、現役の総理大臣が「大変…勉強になりました…」とまで言わせます。


そんで、最終話。
日本を元気にできた! ということなんでしょうか、入ったばかりの商社も辞めてしまいます。

で、「International Bank」という外資系銀行で面接を受けているところで、終わります。

作者として、「今度は世界制覇だ!」ということなんでしょうか?

金ちゃん本人としては、
出世だの社長になるだの関係ねえよ……
俺はサラリーマンのプロになったる
本宮ひろ志「サラリーマン金太郎 (30)」223頁 ヤングジャンプ・コミックス
ということらしいです。


さて、今日の名言。選ぶの面倒臭いので、最後のセリフにします。
日本サラリーマン――――!!
矢島金太郎――っス
本宮ひろ志「サラリーマン金太郎 (30)」232~233頁 ヤングジャンプ・コミックス


サラリーマンの鉄則 その三十
「転職を繰り返し、一箇所に定住しない」


サラリーマン金太郎 (30)

集英社

このアイテムの詳細を見る