すんけい ぶろぐ

雑感や書評など

沖野ヨーコ「きものがたり (2)」

2005-07-22 09:05:18 | 書評
アニメの「美味しんぼ」では、海原雄山は料理が不味いくらいで母親を蹴倒していたように記憶しているが、原作は、どうなんだろう? もし原作の漫画でも蹴倒していたのなら、父親と仲直りした山岡は腰抜けどころか人だ


「美味しんぼ」を読んでいますと、「なんで、こいつらは、たかだか飯のことで、こんなにも執着心があって、怒るんだ? そして、そこまで怒っていながら、なぜ、たかだか飯を食ったくらいで仲直りできるんだ? 恥ずかしくないか?」と思ってしまいます。

もっとも、多少、極端な設定にでもしなければ、毎週毎週、料理をからめたストーリーなんか考え付かないのでしょうけど。


「きものがたり (2)」。
毎回きものをからめた話をつくるのは、大変だろうなぁというのが作品の印象。

確かに宮尾登美子も「きものの思い出については、女は金輪際忘れはしない」と言っているけど、なにもそこまできものを執着しなくても(憎まなくても)…………、という登場人物ばかり。それに、結局はきものを通じて、わだかまりが解けて、善人である顔があっさりのぞける、というのも、なんと言いますか…………。

その印象は、他の読者も同じだったのか、この漫画は二巻で終了。

最後の話は、デパートの建て直しに支店長補佐の話。
最初に登場したときは、主人公の憧れの人物として、「かっこよくて、性格がよくて、有能で」という少女マンガにありがちな(そして現実には存在しない)、完璧な性格でした。
が、最終話の彼は、えらーくきものに対してトラウマを抱えている駄目人間。自分の過去にしばられて、強引に呉服売り場をつぶそうとする、しょーもない人間にされちゃってました。
いかにも打ち切りの臭いがする設定でした。


そんなこととは関係なく、印象に残った振袖への登場人物たちの評価。
「ママが着ろって言ったけど窮屈なだけだからヤダって言っちゃった」
「わたしも言われた 日本人はやっぱり着物だとかなんとか
 でも成人式に振袖着なくちゃならないなんて呉服屋の陰謀よね」
沖野ヨーコ「きものがたり (2)」6~7頁 講談社
こんなことを言っていた彼女らも最終的には、振袖の良さを認識することになるのですが…………、しかし「呉服屋の陰謀」というのも当たらずしも遠からずですよ。


きものがたり (2)

講談社

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