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しろばんば

2012年05月05日 | 全般・イベント

「しろばんば」という作品があります。日本ペンクラブの会長の要職にもあった井上靖の自伝的小説の一つです。「蒼き狼」「天平の甍」「額田女王」等、歴史的小説にも多くの作品を残しており、これら歴史物も楽しませてもらいましたが、井上氏の自伝的小説が好きで何回も何回も読み返しました。そして、また最近、さすがにボロボロの文庫本を買いなおしてしまうほど。
 
私が好きな理由は、主人公・洪作の少年時代に懐かしい郷愁を感じてしまうからのようです。実は、舞台は大正時代なので、いくらなんでも懐かしいと感じるような世代ではないのですが、いつの間にか、洪作たち、子供たちの世界を実体験したかのような錯覚に陥ってしまったようです。その世界は、不自由もあるものの何かとても伸び伸びとした、幸せな時代に思えるのでした。大いに遊んだ時代。遊びが子供にとっての学びの基礎であるとしたら、現代の子供は、大切なものに出会えていないのでは・・・そんな危惧を、覚えるのでした。子供の日ゆえ、なおさらだったかもしれません。
 
ちなみに、幼少時代の「しろばんば」の続編として旧制中学時代の「夏草冬濤(なつくさふゆなみ)」があり、浪人時代の「北の海」と続きます。そして、だいぶ経ってから、洪作少年、いや、小説家・伊上洪作が母のことを綴った「わが母の記」に続きます。今年度、日本アカデミー賞候補作との評判高い新作映画の原作です。(Nas)


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