脳卒中をやっつけろ!

脳卒中に関する専門医の本音トーク
 最新情報をやさしく解説します 

脳卒中にならない5か条 その三「危うきを避け」喫煙 その2

2011年06月21日 | 脳卒中
「最近は、禁煙補助薬もありますよ」と紹介すると、「お金がかかるのは困る」という患者さんがいます。そこで、喫煙でどのぐらいのお金がかかるのか、つまり禁煙するとどのぐらい節約になるのか計算してみました。
タバコは昨年10月に値上げされました。現在、マイルドセブン410円、セブンスター440円、ピアニッシモ440円など、300円前後から一気に100円以上値上がりしたのです。
そこで一箱400円として計算しても、20-80歳の間、一日一箱吸うと仮定すると、なんと876 万円もかかるのです!50歳、あるいは60歳から禁煙しても、上のように300-400万円も節約になります。それに、がんや脳卒中をふくむ様々な病気になりやすくなることも考慮に入れるともっと高額です。

禁煙補助薬にお金がかかるというのは、どうやら理由にはならなさそうですね!
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脳卒中にならない5か条 その三「危うきを避け」喫煙

2011年06月19日 | 脳卒中
本当に久しぶりに本論に戻ります。
日本脳卒中協会の予防10か条に「予防にはタバコを止める意志を持て」というものがあります。
上のグラフで分かるように、タバコを吸うことで脳卒中のリスクが上がるのです。
「喫煙=肺がん」という関係は誰でも知っていることですが、他のがんや脳卒中、心臓病も増えることが、すでに常識となりつつあります。
私も以前は喫煙者でしたので、タバコをやめる辛さはよく分かっています。
「禁煙なんて簡単だ。わたしはすでに100回はやっている。」というジョークがあるように、一旦禁煙しても、それを継続するのは大変です。
ただ最近では禁煙の補助薬などが色々出てきており、保険が適応されるようになっています。
次回から詳しく紹介したいと思います。

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脳卒中にならない5か条 その三「危うきを避け」続編

2011年06月07日 | 脳卒中
震災で中断してしまった脳卒中にならない5か条の続きです。
前回は高脂血症までお話ししました。
次回から心房細動以降をお話ししますね。
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脳卒中にならない5か条 その三「危うきを避け」高脂血症2

2011年03月09日 | 脳卒中
悪玉コレステロールを減らす!
「体の中に悪いものがある!」なんて言われたら、だれでも気になりますよね。私も実は悪玉コレステロールが高い時があるので、とっても気になります(笑)。みなさん、一緒にコレステロールのことを勉強しましょう!

さてコレステロール値を下げるにはいろいろな方法があります。その基本となるのが食事を改善する方法です。基本的に体に悪い油を減らし、体にいい油を増やせばいいのです。
なんだ、簡単ですね!

さて具体的にはどうしたらいいのでしょうか?

まず減らしたいのは「飽和脂肪酸」の多い食べ物です。難しい名前ですが、この「飽和脂肪酸」は、コレステロール値を増やす作用があるのです。ただ「飽和脂肪酸」といわれてもピンとこない方が多いと思います。
具体的にどんなものに含まれているかというと、やはり、肉、バター、卵、牛乳など「動物性の油」が多い食べ物に多く含まれています。私たちが好きなメニューに多く含まれる食材であるため、知らぬ間に必要量以上に摂取しがちです。
コレステロール値が高い人は、こういったものが多く含まれているメニューに注意しましょう。
焼き肉大好きな人!食べてもいいけど、ほどほどにしましょうね。
(でも焼き肉はおいしいですよねー、なかなか難しそうです)。

逆に増やしたいのは「不飽和脂肪酸」の多い食べ物です。この「不飽和脂肪酸」はコレステロール値を下げる作用があるのです。私たちの味方ですね!
さてこの「不飽和脂肪酸」は、植物性の油が多い食べ物に多く含まれています。具体的には、魚、なたね油などだそうです。オリーブオイルもいいようです。
同じ油でも、そんなに違うんですね!油がみんなダメなわけではないのです。

さて以上をざっと見ると、洋食メニューに多いのが「飽和脂肪酸」、和食メニューに多いのが「不飽和脂肪酸」、という印象があります。世界的に和食ブームというのは、こんなことが理由なのかもしれませんね。

毎日の食事にちょっと気を付けるだけで、確実にコレステロール値を改善することができます。悪玉コレステロールを減らす第一歩としてぜひ取り入れてみてください!
私もがんばります(^^)
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脳卒中にならない5か条 その三「危うきを避け」高脂血症

2011年03月05日 | 脳卒中
次は高脂血症です。
採血をした時に、コレステロール値は気になりますよね。
でもそもそもコレステロールって何でしょう?
実はコレステロールというのは決して悪いものではなく、私たちの体の中にあるさまざまな細胞の膜やホルモンなどの原料であり、体を維持するために必須なものなのです。

さてこのコレステロールですが、これは「油」なので、そのままの形では水(血液)に溶けません。そのため水と親和性のある蛋白と結合し、水に馴染みやすい安定な形態(リポタンパク)として、血液中に存在しています。コレステロールはこのリポタンパクの比重によって、5つに分類されています。

その中で体に悪い成分があるのをご存知でしょうか?
従来は、総コレステロール値が高いことが悪いとされてきましたが、最近では総コレステロール値よりも「悪玉コレステロール」と言われるLDLの値が重要であることが知られています。
上の図のように、LDLは動脈硬化を進行させるからです。LDLは脳卒中だけでなく、全身の血管病の大敵です。
しかし私たちの血液の中には善玉コレステロールといわれるHDLもあります。HDLは血管の中を掃除してくれる味方です。

ですから、悪玉であるLDLを減らして、善玉であるHDLを増やしたい!
そのためにはどうしたらいいのでしょうか?
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脳卒中にならない5か条 その三「危うきを避け」糖尿病 3

2011年02月27日 | 脳卒中
糖尿病の人は、血糖をコントロールしましょう!
でも、毎日血糖値を測るのは大変です。針を刺すのは痛いですよね。
インスリンを注射する人は仕方がないとしても、内服薬や食事療法の人は定期的な外来診察時の採血程度でコントロールしたいものです。

でも血糖は1日の中でも食前、食後で大きく変化することが知られています。ではどうしたらいいのでしょうか?

そのよい目標となる数値があります。それはHbA1C(ヘモグロビンエーワンシー)。この数値は、 過去1-2ヶ月の血糖値の状態がわかる値です。
このヘモグロビンA1Cは血糖のコントロールだけでなく、糖尿病そのものの診断にも用いられます。というのも、糖尿病の中には、ポイント採血の血糖値だけでは診断できない場合があるからです。この検査を行うことで、見過ごされやすいタイプの糖尿病も診断することが可能です。

上の図にあるように、ヘモグロビンA1Cは6.5未満にコントロールすることが重要です。
私は外来では「HbA1Cを7以下にコントロールしましょうね」と指導していましたが、糖尿病専門の先生と一緒に講演させて頂いた機会があり、「7では甘いですよ!」と教えて頂きました。
ということで、やはり「6.5未満」がいいのですよ、と説明しています。

糖尿病の皆さん、専門の先生とともにがんばってくださいね!

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脳卒中にならない5か条 その三「危うきを避け」糖尿病 2

2011年02月23日 | 脳卒中
糖尿病の続きです。

さて皆さん、糖尿病には2種類あることをご存知でしょうか?
「1型糖尿病」と「2型糖尿病」という2つのタイプがあるのです。

「1型糖尿病」というのは簡単にいうと、血糖を下げるインスリンというホルモンが何らかの理由によって出なくなってしまうことが原因でおこります。これは小児期や若い人に発症することが多いタイプです。
一方「2型糖尿病」は、インスリンは出ているのですが、肥満などによってインスリンの働きが悪くなったり、インスリンの量が減少することが原因でおこります。こちらは生活習慣が原因ですから成人に多いタイプです。

ところで...
日本では、糖尿病患者の8割以上は「2型糖尿病」で、最近の日本の生活様式の変化で、増加傾向にあることが知られています。
やはり、魚や野菜をずっと食べてきた我々日本人が、洋式の脂質の多い食事を多くとりはじめたことが一つの原因なのでしょう。
みなさん、メタボに気をつけましょうね!
ハンバーガーよりも和食の方が健康的ですよ。
でもやっぱりハンバーガーやポテトはおいしいですよね(^^;)

そんな訳で(?)、現在、日本の糖尿病の患者さんの数は、なんと250万人!ということです。
みなさん、生活習慣に気をつけましょう。

次回は糖尿病の予防と治療についてお話しします。
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家庭血圧の正常値について

2011年02月11日 | 脳卒中
KYさんから家庭血圧の正常値について質問がありました。
「このところ測ってみたのですが、血圧の目安を教えてもらえないでしょうか?現在150/85ぐらいが多いです。よろしくお願いいたします。」

このご質問に、脳卒中内科医の (waiwai)先生から下記のごとく、ご回答いただきました。コメント欄に頂きましたが、すばらしいコメントですので改めてここにご紹介いたします。waiwai先生、ありがとうございました。


2011-02-10 18:25:17
KYさん

私は脳卒中を専門とする内科医です。
お忙しい吉村先生の代わりに家庭血圧についてお答えします。

一般に高血圧は140/90mmHg以上とされていますが、家庭血圧での基準は異なります。
家庭血圧では135/85mmHg以上が高血圧、125/80mmHg未満が正常、125/75mmHg未満が確実な正常血圧と決められています。
では、125-135/80-85mmHgの間は…というと、正常高値とされ、高血圧の可能性があると判断します。

血圧は常に変動するものですから、一度測定して高値がでると、たいていはもう一度測定しますよね。
そして2回目は下がる場合が多いです。
この2回目の下がった値を血圧手帳に記載したくなると思いますが、脳卒中などになりやすいかどうかをよく反映しているのは1回目の血圧といわれています。
複数回測定した場合には、すべての値を記載するのがよいです。

御参考になりましたでしょうか?
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脳卒中にならない5か条 その三「危うきを避け」糖尿病

2011年02月09日 | 脳卒中
次に挙げる危険因子は糖尿病です。みなさん名前はよくご存知だと思いますし、多くの人を悩ませている病気の一つです。
糖尿病とは読んで字の如く「糖が尿に流れ出てしまう病気」です。しかし実際には尿に糖が出ることよりも、血液の中の糖分が高いことが問題なのです。
少し糖尿病について説明しますね。

私たちが食事をすると、食べ物の中に含まれている糖質が胃や腸で吸収されて「ブドウ糖」になり、血液中に入ります。
そしてこの「ブドウ糖」が血液の中をめぐり、インスリンというホルモンのはたらきで体内の細胞に取り込まれ、細胞の栄養となるわけです。このように私たちの体は「糖」で維持されています。「糖」は栄養分なのです。

ですから食事の後は誰でも血糖値は上がるものなんです。
健康な人の血糖値(血中のブドウ糖の濃度)は食事前で70mg/dlぐらい、食後の最も高い時で130mg/dlくらいです。しかし中には食後200mg/dl以上になる人がいます。
血糖値があまりに高くなると血液中の余分なブドウ糖が尿へと出てきます。この状態が糖尿病です。

さて糖尿病の症状としては、(1)血糖が高いことによる症状と、(2)高血糖が長期にわたるために起きる症状があります。

まず(1)としては無症状の状態から、のどの渇き(口渇)や尿が多く出る状態(多尿)、さらに重症の人では、あまりに血糖が高くなるために意識が障害されるようなことさえあります。

さて(2)としては、高血糖が長期にわたるため徐々に体中の細い血管(微小血管)が障害され、目や腎臓など体中のさまざまな臓器に障害を起こします(上図)。体の臓器はすべて血管から栄養を受けていますから、糖尿病の影響は全身に及ぶのです。糖尿病が全身病である理由がお分かりいただけましたか?

糖尿病治療の主な目的は、普段の症状(1)を抑えることだけでなく全身の合併症(2)を防ぐことにあります。
糖尿病を、「放っておいたら、悔い残る」理由はここにあります。

みなさん、健康診断の結果「糖尿病の疑いあり」と出たら、症状がなくても、すぐに専門医を受診しましょう!
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家庭血圧

2011年02月05日 | 脳卒中
高血圧の続きです。
みなさん、白衣高血圧ってご存知ですか?
そう、病院に行くと血圧が上がることをいいます。病院って緊張するんですねー。

さてそういう人はどうしたらいいのでしょうか?
そう、家で血圧を測って、メモに書いて持参すればいいのです。
この家で測る血圧のことを「家庭血圧」といいます。一番リラックスした状態で測ったこの血圧はとても重要です。

測り方を紹介します。
「朝起きて1時間以内、排尿後、朝の服薬前、朝食前」に測ります。
測る時の腕の位置は、心臓と同じぐらいの高さです。

これを毎日測定し、かかりつけのお医者さんにみてもらえば、最も正確な血圧管理ができます。
血圧の高い方は、ぜひ明日から実行してくださいね。
ちなみに血圧手帳は各病院や薬局に行けばたいてい無料で手に入ります。活用してください。


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