内的動機の目覚め

それは子供時代を過ぎてほど遠くないある時点から将来達人になる者は、自分の専門分野へ取り組む姿勢が、傍目に見ても明らかに違ってくる事だ。ある瞬間から、こうした若者は強い内的動機付けを持ち始めるのだ。
被験者のピアニストの1人は、15歳の時人生が変わる経験をしたことを報告している。その時本人は偉大なピアニストが演奏しているところから、3フィートしか離れていないところに座っていた。『躍動的な旋律、豊かな表現力、研ぎ澄まされたまでの透き通った音と柔らかな音にただただ圧倒されていたことを覚えている。そのときから私はピアノに取り組むことを真剣に考えるようになった。ピアノで遊ぶことをやめ、暗譜で2時間好き放題弾く事もやめ、懸命に精進した』
このピアニストも子供の頃はピアノのレッスンを強要されていた。彼はいかなる意味でも、生まれつきの動機付けや高度な学習能力を持って生まれてはこなかったといっても差し支えつかえないように思える。しかし、彼はその瞬間に、その後ピアニストとしての人生を送るよう突き動かす内的動機に目覚めたのだ。