「育ててくれてありがとうございました」
私の所に歩み寄り、その一言を伝えてくれました。
葛藤はあったと思います。
最後のレースを、浜松の地で泳いで終わりたかったのだと思います。
でも男らしかった。
恨み節も言わず、私との男の約束を果たしたのです。
人は自分にとって良い決断はすんなりと受け入れることはできるでしょう。
しかし苦しい決断は人のせいにしたくなるものです。
それでも彼は人のせいにはしませんでした。
毎日毎日、1年生の時からキチンと目を見て挨拶を続けてきました。
もちろん、うまくいかない日も含めてです。
こういうことを書くと「じゃあ挨拶したって夢は叶わないじゃないか!」と短絡的に考える人も多いでしょう。
少なくとも私は彼とは今後も一生涯付き合いを続けていけるでしょう。
そう、速さだけを求め人としてのあり方を振り返ることなく突き進めば、気づけば周りに人はいなくなります。
いたとしてもその「表面」だけに目を奪われた「表面だけの人」たちとの「表面だけの付き合い」で終わるでしょう。
後輩の学生が朝から『◯◯さんに「俺の分まで頑張れよ」と言われました』と言っていました。
彼がこうやって後輩の面倒を見てくれているだけで、チームは安泰です。
彼自身も今後の引退後の活躍に期待しますし、応援します。
いよいよインカレ。
やることを残さずにやるだけ。