博多住吉通信(旧六本松通信)

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歴史上最も重要なアメリカ大統領とは 4

2009年02月04日 | 時事
(昨日の続き)
 歴代アメリカ大統領の中で、ただ一人だけ、「相互確証破壊(Mutual Assured Destruction, MADと略します)」に制約されることなく自由に核兵器を操れる立場にいた人物がいます。誰でしょうか。
 それは第33代のハリー・S・トルーマン大統領(任期1945年~1953年)です。トルーマン大統領と言えば何といっても広島・長崎への原爆投下命令を行った人物です。老若男女の非戦闘員を含む数十万人の日本人(と連合軍捕虜や旧植民地から強制的に徴用された人々)に、歴史上初めて核攻撃を命令した人物です。そういう意味では日本人にとっては最悪のアメリカ大統領であるとも言えます。それは間違いありません。
 ところが次のようなこともしているのです。
 アメリカがニューメキシコ州アラモゴードにおいて最初の原爆実験に成功したのが1945年7月16日でした。それから1949年8月29日にソ連がカザフのセミパラチンスク核実験場で最初の核実験に成功するまでの4年間、アメリカは原子爆弾を独占していました。歴代のアメリカ大統領の中でただ一人、トルーマン大統領だけが相互確証破壊の冷酷無比な制約から自由だったのです。しかもB29 長距離爆撃機によってソ連領内に、かなり自由に原爆を投下できる能力を備えていました。そして遅かれ早かれいずれソ連は原爆開発に成功するだろうとアメリカ政府上層部は予測していました。
 トルーマン大統領としてはソ連が原爆開発に成功する前に、ソ連の大都市や工業地帯に大量の原爆を投下してソ連政府を屈伏させることも、やろうと思えば出来たのです。しかしそれをしなかった。これはこれで大変な決断だったと思います。
 こういうことを書くと、いくら何でもそんな非常識なことはしないだろうと思う方も大勢いらっしゃると思います。ところが、そんな非常識なことを真面目に進言している人たちもいました。時期は上記のそれとはずれますが、マッカーサー元帥は朝鮮戦争中に、中国東北部(旧満州)に原爆攻撃を行うべきだとトルーマン大統領に進言しています。そして更迭されたことは有名な事実です。
 またこんなことを言う人もいました。
 「どうせ(ソ連に)明日核爆弾を落とすなら、今日にすればいい。5時にするなら1時にすればいい。」こう言ったのはマンハッタン計画に参画し、今日のコンピュータの基本モデルを開発した天才科学者のジョン・フォン・ノイマン(1903-1957)です。タイム誌のインタビューに答えてこう言ったのだそうです。
 こういう人々がいたわけですから、上記の時期にソ連にアメリカが先制核攻撃をかけることも絶対にありえない話ではなかったのです。 
 もしそんなことになっていたらどうなっていたでしょう。(続く)

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