今回は、令和6年-労基法・問1-D「出向労働者」です。
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「在籍型出向(出向元及び出向先双方と出向労働者との間に労働契約関係がある
場合)の出向労働者については、出向元、出向先及び出向労働者三者間の取決め
によって定められた権限と責任に応じて出向元の使用者又は出向先の使用者が、
出向労働者について労働基準法等における使用者としての責任を負う。
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「出向労働者」に関する問題です。
次の問題をみてください。
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【 H14-2-A 】
いわゆる在籍型出向の出向労働者については、出向元及び出向先の双方と
それぞれ労働契約関係があるので、原則として出向元及び出向先に対しては
それぞれ労働契約関係が存する限度で労働基準法等の適用があるが、その
うち労働契約関係の基本である賃金に関する事項については出向元のみが
使用者となり、それ以外の事項については、出向元、出向先及び出向労働者
三者間の取決めによって定められた権限と責任に応じて、出向元の使用者
又は出向先の使用者が出向労働者について労働基準法等における使用者
としての責任を負うものと解されている。
【 H12-1-D 】
いわゆる在籍型出向により出向先の指揮命令の下で労働する労働者について
は、雇用主である出向元は出向先での労働に関しても労働基準法の各条文
について全面的に使用者としての責任を負う一方、出向先は、その権限と
責任に応じて労働基準法における使用者としての責任を出向元と連帯して
負うにとどまる。
【 H19-1-A 】
いわゆる在籍型出向の出向労働者については、出向元及び出向先の双方と
それぞれ労働契約関係があるので、出向元及び出向先に対しては、それぞれ
労働契約関係が存する限度で労働基準法の適用がある。すなわち、出向元、
出向先及び出向労働者三者間の取決めによって定められた権限と責任に応じ
て出向元の使用者又は出向先の使用者が出向労働者について労働基準法に
おける使用者としての責任を負うものである。
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いずれも、在籍型出向の出向労働者に対する使用者責任は、出向元が負うのか、
出向先が負うのかを論点にしています。
【 H14-2-A 】では、賃金に関する事項だけ扱いが異なるような記述
があります。
【 H12-1-D 】では、出向元は全面的に責任を負うという記述があり
ます。
一方、【 R6-1-D 】と【 H19-1-A 】では、三者間の取決めに
よるとあります。
在籍型出向は、出向先と出向労働者との間に出向元から委ねられた指揮命令
関係ではなく、労働契約関係及びこれに基づく指揮命令関係がある形態です。
また、在籍型出向の出向労働者については、出向元及び出向先の双方とそれ
ぞれ労働契約関係があるので、出向元及び出向先に対しては、それぞれ労働
契約関係が存する限度で労働基準法等の適用があります。
すなわち、在籍型出向の出向労働者に関しては、出向元、出向先及び出向
労働者三者間の取決めによって定められた権限と責任に応じて、出向元の
使用者又は出向先の使用者が出向労働者について労働基準法等における
使用者としての責任を負うものとされています。
ですので、【 H14-2-A 】、【 H12-1-D 】は誤りで、【 R6-1-D 】
と【 H19-1-A 】は正しいです。
労働者派遣とは異なり、在籍型出向は、出向元及び出向先のいずれについても
労働契約関係がある、つまり、労働者としての籍を二重に有することになるので、
単純にどっちの責任と法的に決めるのは困難です。
その状況によって、判断をしていかなければなりませんので。
ということで、
当事者間の取決めによりましょうってことになっています。