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桜と絵本と豆乳と

ちょっと懐かしくちょっと難しく

2021年05月23日 | 絵本
 谷川俊太郎の詩を授業で扱ったのは、言葉遊びの類が多かった。それ以外はなんといっても6年生の『生きる』。読解、そして群読など、少し懐かしい。そう言えば『生きる』は小室等が曲をつけて歌っていた。あのアルバムは、もうとうの昔に手元にはない。久しぶりにじっくり読んだので、そんなことを思い出した。


『ほしにむすばれて』(谷川俊太郎・文 えびなみつる・絵) 


 「ゆうやけは よるの はじまり」と文が書き出され、中表紙には夕焼けと電線の絵が描かれている。あとのページは星空や月の絵が並び、「ぼく」による語りが展開される。内容の中心は星好きな「おじいちゃん」のエピソード、そしてその家族に継がれていく思い。すべてひらがなで記されていることも意味深い。


 よく「星空を見ていると人間がちっぽけな存在に思えてくる」といった表現を見かけることがある。現実に心からそうだと認識できる時間をいかに多く持つか…それが結構、生き方に関わるのではないかと考えた。天文に限らず、大いなる自然に対して、素直に向き合う大切さが迫ってくる話だ。素朴なタッチの絵が合う。


 「俊太郎特集」(笑)で最終候補に残った一冊。時間的な点と3年生には難易度が高いと感じたから取り上げなかった。やはりこれは高学年以上だ。それにしたってこの分量の言葉でストーリーをイメージさせるには、読みの説得力が要求される。明瞭な発音、語の押さえ、間のとり方、改めて意識させられる一冊だ。


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