正月の新聞を片付けていたら、その時目に留まらなかった記事を思わず読み込んでしまった。その一つが「漢字」。地元紙では「さきがけこども新聞」として毎週1回紙面が設けられているが、新年3日に1枚(4面)という形式で出ていた。その4面目に干支である「犬」と「戌」が取り上げられ、特集されていた。
『字解』などをもとにしてあり、なかなか充実した内容だった。犬がそもそも神に捧げる「いけにえ」であり、その姿をもとにして象形文字が出来上がった。しかし「犬」を部分に持つ字が、戦後の漢字改革で「大」に変えられ意味がつかみ難くなった字が多い。「器」「戻」「臭」「突」などで、その点も触れられている。
「いけにえ」を漢字転換すると「生贄」が出てくるが、辞書には「犠牲」という字もある。そして『字解』などには「犬牲」としても載っている。それだけ人間との関係が近い動物だと改めて思う。人間が狩猟のために飼い始めた最初の動物であり、つきあいの古さとともに、人への貢献度が一番高いと言えそうだ。
その経緯から「犬」が「けものへん」(狐、猪など)のもとになったのかもしれない。象形文字であり右上の「`」は「耳」だと紙面に載っている。間違いないだろう。翻って「大」が人の姿を表すことを考えると、拙い警句が浮かぶ。曰く「犬に耳あり、人に耳なし」。犬はよく聞くが、人はそれほど聞かないものだ。