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桜と絵本と豆乳と

今年の選書の心積もり

2018年01月03日 | 雑記帳

(20180103 打て!冬日のツーアウトフルカウント)

 美智子皇后の『橋をかける』という著書にこのような一節があるという。

「読書は、人生の全てが、決して単純でないことを教えてくれました。私たちは、複雑さに耐えて生きていかなければならないということ。人と人との関係においても。国と国との関係においても。」

 手にする本の違いは、まさに雲泥の差と思うが、複雑さを知りそれに応ずる気づきを得ようとする姿勢は似通っているかもしれない、などと不遜なことを考える。老眼は進むけれど、今年も「読みがい」のある本に出合いたい。今まで意識的ではなかったが、この齢になったらいくつか心積もりが必要になるだろう。


 ひとつは、数人の作家、ライターに絞って沢山読んでいこうということ。以前からその傾向があり、書棚を見れば偏っていることは一目瞭然だが、あと数人増やしたい。考えているのは、吉田篤弘、平川克美といった今まで単著を読んで「波長」が合うなあと感じる方々。それから没10年が過ぎた池田晶子の未読本。


 四度目になるだろうか、池田晶子の『残酷人生論』を元旦から読み始めた。相変わらず内容が頭に入ってこない。ただ、その文章に浸っているだけだ。それもいい。なんと言っても、この著は「わかる」ということそのものを取り上げているのだから。読書が教えてくれることは、書かれている中味でない場合もある。


 もう一つ、マンガの世界にあと二、三歩足を踏み入れてみようと思う。毎夜の睡眠導入は『酒のほそ道』(ラズウェル細木)だが、実は昨年少し範囲を広げている。コミックは実に多様で、改めて日本社会を知る格好の材料だと気づいた。糸井重里が「マンガを教育課程に」と提案したことも、今さらながら納得している。