すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

何かを断念して時間を過ごす

2015年03月07日 | 読書
 【2015読了】28冊目 ★★★
 『路地裏の資本主義』(平川克美  角川SSC新書)


 本著から得る一つの結論、行動指針としての「ダウンサイジング」ということが挙げられると思う。

 この言葉は3年前、今の車を買うときに具体的に頭をよぎったことだ。
 そうしようと思っていたのに、直前までそんなふうに考えていたのに、結果的にダウンどころか、ややアップになってしまった自分とは、ナンダカナア…。
そんな心理を鋭く突き、ずばりと指摘された一文。
 
 自分が何を得たかということよりは、自分が何を断念できたかということの中に自分へのリスペクトは生まれます。


 先日のPTAの場で、教育目標である「ぜんしん」には「前進・善心・全身」と掲げてある三つの他に、四つ目として「漸進」があるというような話をした。
 「スピード化」と教育ということについても触れた。
 全否定はできないことにしろ、私たちは今の流れをもっと深刻に見つめるべきだ。
 医療や教育というビジネスになじまないものを、効率化という名のもとにそれに当てはめようとしているのではないか。
 とすれば、今一番大事にしていくべきは何か。
 友人たちと喫茶店をつくった著者の思いは、もうはっきりしている。

 この時代、というのは効率化が最優先する時代において、もっとも貴重なものとは何か。わたしなら、それは「時間」であると言いたい気がします。

 ここを読むと、実に様々なことが思い浮かぶ。
 「モモ」の時間どろぼうのこと、学校の日課表のこと、無為に過ごす日常のこと…
 「時間を大事にする」ことの内容を訊ねれば、それはまったく人生観、価値観なんだなとわかる。


 さて「資本主義」を題名に掲げている書なので、当然ながら「経済」「貨幣」のことが大きく取り上げられている。
 しかし「20億円をもらったら」という話も結局は「時間」の問題に集約されることを知ると、救われる気?にもなる。
 ちなみに、ビル・ゲイツと同い齢です。
 関係ないか。