Fresh以降の謎(Bill Lordan)~Sly関連ネタ #6 (#445)

2009年04月04日 | FUNK

暴動~Freshでは重大なメンバーチェンジを余儀なくされた。Drs.のGreg Erricoからやはり白人であるAndy Newmarkに替わり、BassはGrooveの要、Larry Grahamから弱冠19歳のRusty Allenに。さらにSaxにはPat Rizzoが加入し2管だったHornsが3管になり、サウンドに厚みが加わった。

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さらにStone Flowerレーベルの閉鎖で宙ぶらりんになっていた【Little Sister】がバックコーラスとして参加、Larryの脱けたVocalパートをカバーした。

SlyのFUNKは『Thank You...』で一度完成を遂げたと言えるだろう。『暴動』はそう言った意味でもかなり実験的であった。『Thank You...』以降のサウンドの変化はリズムセクションの交代によるところが大きいと共に、リズムボックスの導入が大きな鍵となっている。

Small Talk

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次の『Small Talk』ではDrs.のAndyが脱けて、Bill Lordanが加入、結局Slyのドラムは三代続けて白人であった(一時的に黒人のGerry Gibsonが参加)。Andyの複雑なビートかつ絶妙なプレイは評判を呼び、脱退後はRock系が多かったが、セッションプレイヤーとして引っ張りダコであった。

そして意外と言えばFUNKとは無縁のDan Hicks & The Hot LicksにいたViolinのSid Pageの加入である。何でViolinだったのか?この時期に結婚、そして子宝に恵まれた事もあり、もしかしたら癒しを目的としたのかなあ?まあSidのViolin、意外にいい味を醸しています。


『Small Talk』以降もSlyの薬物中毒?は相変わらずで、Live公演のキャンセル等が続き社会的信用は地に落ち、メンバーからも見離されて結果的には実の兄弟姉妹さえも離れて行く事になり、Slyはすっかり孤立してしまう。次のアルバム『High On You』はソロ名義で、Family Stoneのメンバーには数曲のバックアップ(もしかしたら『Small Talk』のアウトテイク?)があったようだが、すでにバンドとしての機能を果たしてなかった事は容易に判るだろう。


さて、経歴的にかなり異色で興味深いのがDrs.のBill Lordanである。今回彼を掘り下げてみたい。


まずBillはFamily Stoneに参加する前、Gypsyと言うプログレ・ロックバンドに参加していた。このバンドには2ndアルバム『In The Garden』('71)から参加したが、このアルバムには何とあのWillie Weeks(Bass)が参加していた。長身、細身、金髪で、スコーピオンズ(ドイツのハードロックバンド)にいそうなルックスはFUNKとは全く掛け離れていた。

In the Garden - Gypsy

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彼がSlyと知り合うきっかけはBobby Womackにあった。BobbyとParamount Studioで会う予定だったが彼が遅れてきたために、他のスタジオでレコーディングしていたSlyに遭遇することになる。

SlyのボディーガードのBubba(Slyの妹Roseの旦那)がBillがドラムスティックを持ってるのを見て「君ドラマーだろ?、ちょっと来てくれないか?」と声をかけてきた。Billが了解するとSlyがいるスタジオに連れて行かれ、「じゃあドラムに座ってそこにあるヘッドフォーンを付けてくれ」と言われそうする。さらにSlyが「これに合わせて好きなように叩いてみてくれ」と言って二曲演奏させられた。そうして終了するとSlyは開口一番「君、今からFamily Stoneのメンバーだ」。Bill「???」ありゃ、仕事が転がり込んできたぜ。それにしてもこれオーディションだったの?ってな経緯で『Small Talk』に参加したらしい。

当時Family Stoneにレギュラーのドラマーがいなかった(Greg脱退以降定めて無かった?)ため、レコーディングとツアーをできるメンバーを探していたらしい。そこでレコーディングした2曲とは『Livin' While I'm Livin'』と『Say You Will』である。この話から推測すると【Small Talk】のレコーディングも基本的にリズムボックスを使用してレコーディングされたようだ。2007年に出されたSmall Talkのボーナストラックを聴くと、『Time for Livin'』と『Loose Booty』の別バージョンが収録されている。前者はVolinパート以外はほとんど差し替えられて発売されていたのがわかる。この下手くそなドラムはもしかしたらSlyが叩いている可能性が大きい。Bassもきっとそうに違いない。本チャンのBassはBobbyが弾いているとも考えられる。それはこの曲が明らかにPickで弾いている事、前回のBobby Womackの関連で書いたが、Bobbyは半分以上の曲でBassを弾いていた事、さらに暴動でも彼がBassを弾いていたとも言われているからだ。Bobbyの『What The World Is...』にいた収録の『Check It Out』と言う曲がBobby=Bass、Bill Lordan=drs.のコンビで録音されているが、テンポは違うもののそのハネたビートとBassのフレーズがSlyの『Time For Livin'』にかなり似ているからだ。


Bobby Womack - Check It Out



BillはSlyとは一年契約だったのであろう、翌年の75年にはUKのJimi Hendrixフォロワーとして知られる、【Robin Trower】のバンドに参加している。その後Jack Bluesとのトリオ【B.L.T.】(Bruce, Lordan, Trower)を結成するなど、長期間Robin Trowerと行動を共にしている。現在はBill Lordan Experimentと言う自分のリーダーバンドで活動しているようだ。

For Earth Below/Live - Robin TrowerB0000011P5

Long Misty Days/In City Dreams - Robin TrowerB0000011P6

この『In City Dreams』の方には何とRusty Allenが参加している。Billの紹介と言うことなのだろうか?そしてプロデューサーにはJohnnie TaylorやThe Dramaticsで知られる【Don Davis】が迎えられている。Soul/FUNKファンとしてはちょっと気になるところである。しかし内容としては何となくFUNK寄りにアプローチしているようだが、中途半端であり残念ながら実験的な印象しか得られない。それにRustyの存在価値がそれほどあるとも思えない。ちなみになぜかクレジットが'Rustee'になっている。

BLT/Truce

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元Creamで知られるJack Bruceと言うRobin、Billのトリオはある意味オールスター的な組み合わせだ。Cream-Procol Halum-Sly & Family Stoneなんて60's末期を代表するバンド出身者の夢の顔合わせ?。youtubeで聴いてみたが、Jackが入ることでJimi HendrixとCreamの融合みたいに聞こえてしまうところが凄い!それにしてもこのレジェンド達と共演してきたBill Lordan、やはりただものではない。

Robin Trower - BLT 2-fer





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