271828の滑り台Log

271828は自然対数の底に由来。時々ギリシャ・ブラジル♪

頭部障害防止基準HIC1000って何?(その1)

2007-10-14 05:56:23 | 遊具
遊具の設置面の衝撃吸収性能を評価するために、落下時の最大加速度を重力加速度(G=9.8m/s^2)の200倍以下とし、頭部障害基準HICの値が1000以下に抑えることが検討されています。いずれの基準もアメリカの基準に倣う方向です。
加速度の大きさが200G以下というのは物理的な意味が明快なので誤解の恐れはなく、私も理解することが出来ます。しかし"HIC1000"はそうではありません。現在でもWikipedia日本版・英語版ともまだ記事が掲載されていないので、ごく一部の専門家が使う術語と言って良いと思われます。
私がこの専門用語を聞いたのは2年前です。遊具の設置面の衝撃吸収性能を測定する装置の開発プロジェクトの最終段階の会議に参加させてもらった時でした。初めて聞く"HIC1000"を知らなかったので、正直に「分からない」と質問し、後ほど資料を送って頂きました。

会議の席上、私の頭を過ぎったのは以下のことです。材料力学の始まりはティモシェンコの『材料力学史』(鹿島出版会,1982年初版)にあるようにガリレオ・ガリレイです。彼の最晩年の著作『新科学対話』は落下の法則を明らかにしたことで有名です。同書は四日間の対話で構成されています。第一・第二日が主に材料力学、第三・第四日に動力学が論じられています。その第一日目の対話でサルヴィヤチ(ガリレオの分身)をしてこう言わしめています。

「幼い子供は、自分の兄さん姉さん達なら、脚を挫くとか、頭蓋骨を打ち割るとかするやうな高さから落ちても、別段怪我をせずに済むんぢゃないかしら。要するに、小さい動物は大きな動物にくらべて丈夫に出来上がっているのですが、それと同じく、小さな植物の方が大きな植物より倒れ難いのです。」(岩波文庫版、上巻P25)

一般に相似な物体AとBとがあるとすれば、表面積と断面積は相似比の2乗に比例し、質量は3乗に比例します。同じ高さから落ちる場合、mghですから位置エネルギーは質量に比例するのです。物体の強度は断面積で左右されますから、大きな物体は強度が落ちるのです。また幼児の骨の弾性係数は大人より低いと推測できます。

  ↓ポチッと応援お願いします!
にほんブログ村 科学ブログ 技術・工学へ
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« CNC木工ルーターを導入し... | トップ | 韓国の大ブランコ大会 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

遊具」カテゴリの最新記事