スチレンボードで精密に作られた遊動円木の模型を翌日(08/12/04)社内でお披露目しました。発明者の一人近石さんも「変な模型」と表現していたように、皆も判断が出来ない様子でした。その後、私と社外のスタッフで実現方法を協議したのですが、リンクのパラメータをどうするかを巡って激論となりました。彼はリンクの長さをネジを使って変化させたいと言うのです。しかし私はこのような構造では強度、製作日程、コストを考えるとPCでリンクのシミュレーションを行って、まずオリジナルのジオメトリでどの様に動くか、これを確認したかったのです。
この日は夕刻に同業の先輩が褒章を受けられたのでその祝賀会が長野市内で予定されていました。資料とノートPCを車に積んで長野に出かけました。祝賀会ではお酒を適当に飲んで、二次会には参加せず、9時には寝て、翌朝は4時からノートPCを立ち上げてリンクの解析を始めました。
模型のリンクは、レバーが干渉しないような形状で作られていますが、リンクの解析ではそのような事情を捨象して、対偶(ペア)の位置と節の長さだけを考えます。朝食の前にはPC上でこのリンク機構を動かすことが出来ました。12月5日5:50でした。
イラストに示す点Mの軌跡を見て、今まで半信半疑だったものが確信に変ったのです。とっても嬉しかったのでホテルの部屋から関係者の皆さんにメールしてしまいました。
朝飯前は一組のリンク機構を動かしましたが、食後にこのリンクにもう一つ付け加えたモデルを作りました。そして人が乗る台を描いてみました。この遊具がどんな動きをするかおおよそ想像が出来ます。
帰宅してこの機構はどこかで見た記憶があることに気がつきました。手元にある機構学の本(森田著、実教出版)を開くと「ロバートの機構」が見つかりました。167ページ。
「これも両てこ機構である。図7-34に示すように、a=cとしたときリンクbの垂直二等分線上の点Pが、a,cの小角の揺動運動により近似直線運動をする。」
メカニズムを調べるときにいつもお世話になっているコーネル大学工学部のサイトで調べると、やはりありました。Approximate Four-bar Straight-line Linkage of Robertsと記され、これがモデルです。そしてJavaで動くInteractive Simulationもありますので、この機構をマウスでグリグリ動かして遊ぶことも出来ました。
この機構を発明したのはRichard Roberts (1789-1864)です。ファラデー(1791-1867)と同時代を生きた機械技術者で、略歴も分かりました。
この機構の面白いところは近似直線運動から外れた、曲率が両端で大きくなることを利用したことにあります。ロバーツが活躍した時代はリンクだけを使って直線運動(平行運動)を実現することが盛んに研究されていました。その理由を複動蒸気機関を発明したワットの業績を調べることによって理解することが出来ます。
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この日は夕刻に同業の先輩が褒章を受けられたのでその祝賀会が長野市内で予定されていました。資料とノートPCを車に積んで長野に出かけました。祝賀会ではお酒を適当に飲んで、二次会には参加せず、9時には寝て、翌朝は4時からノートPCを立ち上げてリンクの解析を始めました。
模型のリンクは、レバーが干渉しないような形状で作られていますが、リンクの解析ではそのような事情を捨象して、対偶(ペア)の位置と節の長さだけを考えます。朝食の前にはPC上でこのリンク機構を動かすことが出来ました。12月5日5:50でした。
イラストに示す点Mの軌跡を見て、今まで半信半疑だったものが確信に変ったのです。とっても嬉しかったのでホテルの部屋から関係者の皆さんにメールしてしまいました。
朝飯前は一組のリンク機構を動かしましたが、食後にこのリンクにもう一つ付け加えたモデルを作りました。そして人が乗る台を描いてみました。この遊具がどんな動きをするかおおよそ想像が出来ます。
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「これも両てこ機構である。図7-34に示すように、a=cとしたときリンクbの垂直二等分線上の点Pが、a,cの小角の揺動運動により近似直線運動をする。」
メカニズムを調べるときにいつもお世話になっているコーネル大学工学部のサイトで調べると、やはりありました。Approximate Four-bar Straight-line Linkage of Robertsと記され、これがモデルです。そしてJavaで動くInteractive Simulationもありますので、この機構をマウスでグリグリ動かして遊ぶことも出来ました。
この機構を発明したのはRichard Roberts (1789-1864)です。ファラデー(1791-1867)と同時代を生きた機械技術者で、略歴も分かりました。
この機構の面白いところは近似直線運動から外れた、曲率が両端で大きくなることを利用したことにあります。ロバーツが活躍した時代はリンクだけを使って直線運動(平行運動)を実現することが盛んに研究されていました。その理由を複動蒸気機関を発明したワットの業績を調べることによって理解することが出来ます。
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