271828の滑り台Log

271828は自然対数の底に由来。時々ギリシャ・ブラジル♪

スプリング遊具(その2)

2007-06-27 19:46:13 | 遊具
これがスプリング遊具(その1)で紹介した製品の内部を示したCGです。動画の最後にチラッと表示されました。厚さ3/4インチ(≒19mm)の高密度ポリエチレンの円盤は角パイプに接合され、パイプは超高分子量ポリエチレンの摺動部品と接しています。角パイプの先端とスプリングの先端が繋がり、更にサブスプリングが伸び、その先端にゴムストッパーが付いています。角パイプを採用したのは円盤が不要な回転を起こさないためです。

スプリングの縦横比は(自由長/コイル平均径)で定義され、この比が大きいと荷重によって、バネが座屈を起こす原因となります。座屈現象を防ぐため、JISでは0.8~4を推奨しています。
この遊具の場合、ストロークを大きくしたいので「圧縮」ではなく「引っ張り」で使っているのです。先端のサブスプリングは適度な縦横比に収まるので圧縮で使えます。
では何故わざわざスプリングを二重化して複雑な構造になっているのでしょうか?このスプリング遊具の撓み(mm)と荷重(N)の関係を以下のグラフで示します。980Nが乗ってもまだ余裕があることが見て取れます。

体重の少ない幼児に対してもそれなりのストロークを確保しようとすれば、バネ定数を低くする必要があります。こうするとバネの自由長は必然的に長くなります。また体重の大きい児童や大人が遊ぶことも想定しないわけにはいきません。途中からバネ定数が大きくなることが望ましいのです。このことを実現するには不等ピッチバネ、円錐バネ、竹の子バネなどを使えば良いのですが、座屈やコスト面でブルーになってしまいます。遊具は単純であることで耐久性やメンテナンスで有利になるのです。

撓みに応じてバネ定数が変化する、つまり「非線形性」について考えていた時に参考にしたのがトランポリンについて書かれた大槻義彦さん火の玉教授)の本です。最近、TV出演の機会が少なくなってちょっと寂しいですね。書名は『サーカスの科学』(ブルーバックス、現在絶版!)です。

細いパイプの内部では区分的にバネ定数を変化させるのが精一杯でしたが、動作は問題ないと評価できます。実際に遊んだ人の感想は「5分跳ね続けると疲れる」とのこと。Webで「トランポリン」を検索すると「トランポリンダイエット」が見つかります。5分間の飛び跳ねが1kmのジョギングに相当するらしいです。

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(07/06/28追記)
数式のフォントがやや小さいこと、式の一部を訂正しました。また透過型GIFとして少し見やすくした積りです。数式はWord2003付属の数式エディタ3.0で書き、これをPDFに吐き出してIrfanviewでGIFに変換、このときに透過型にしています。数式はTeXで書くと素晴らしく綺麗なのですが、まだまだ私には敷居が高いようです。
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