https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180601-00000010-pseven-life 略
病気によっては加齢とともに進行が遅くなったり、治療の副作用が大きいため「あえて治さない」という決断が意味を持つケースがある。70代にもなると、生活習慣病対策も変わってくる。
脳血管障害などの原因のひとつとされるのが脂質異常症だ。血液中に含まれる脂質が過剰であったり、不足している状態を指す。
長らく「悪玉」と呼ばれるLDLコレステロールを下げると脂質異常症が改善するとされたが、現在では「下げすぎ」リスクが指摘されるようになった。医療経済ジャーナリストの室井一辰氏がいう。
「米国医療ディレクター協会は『余命が限られた人に安易にLDLコレステロールを下げる薬を処方してはならない』と注意喚起しています。LDLが不足すると病気が増えるとのエビデンスは今のところ存在せず、逆に高齢者はLDLが低いほど死亡率が高くなるという研究結果が出てきています」
日本ではLDLを下げる薬剤「スタチン」を処方するのが一般的だが、75歳以上の服用はリスクが大きい。
「スタチンの服用により吐き気や記憶障害、筋肉痛などの副作用が生じることがありますが、75歳以上についてはこれらの副作用に対する安全性が保証されていない。そのため、処方の際には慎重になるべきという見方が強い」(群星沖縄臨床研修センターの徳田安春医師)
また、服用コストがのしかかってくることも無視できない。
「費用の目安は年間あたり約3万円(自己負担3割の場合)。スタチンは一生飲み続けるタイプの薬なので、効果が得られないと感じたら医師に相談したほうがいい」(前出・室井氏)
脂質異常症とともに脳血管疾患の原因といわれているのが高血圧。その治療として最も多く行なわれているのが「薬物療法」だ。しかし、新潟大学名誉教授の岡田正彦氏は「降圧剤服用には慎重になるべきだ」と指摘する。
「加齢とともに血圧が上がるのは自然な老化現象であり、むしろ薬で血圧を下げすぎてしまうと脳や各臓器への血流不足を招くという説がある。『70歳以上は上が180、下が110までは降圧剤を服用しないほうが長生きする』というデータもあるほどです。私は、体調に異常がなければこの数値までは降圧剤を服用しなくても問題ないと考えています」
習慣で若い頃と同じ量の降圧剤を飲んでいると「効きすぎてしまう」ケースは多い。定期的な薬の見直しが必要だ。